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はじめ通信・05勝利めざして5−621

青年会議所主催 都議選公開討論
福祉切りすて、ムダ使い、30人学級――都議選の争点うきぼりに
日本共産党そね都議の鋭い論戦光る

 6月20日夜、赤羽会館で東京青年会議所北区委員会主催の公開討論会がおこなわれ、そねはじめ都議をふくむ予定候補者6人が討論をたたかわせました。そね都議は終始論戦をリード。激しい議論となった福祉切りすて、ムダづかい、30人学級などの問題で、日本共産党対「オール与党」という論戦の構図が、くっきりとうきぼりになりました。
 他党派の参加者は、抽選番号順に、大松あきら氏(公明)、原田大氏(民主)、高木けい氏(自民)、戸枝大幸氏(無所属)、和田宗春氏(民主)でした。

●財政
「臨海」開発、海外視察――税金のムダ使いをキッパリやめよ 日本共産党
石原弁護、海外視察で筋違いの党攻撃 オール与党

 第1の設問は、財政に関する質問。「税収を確保するためには新しい地方税の創設が不可欠であると考えますか」との問いには、すべての候補者が「不可欠とはいえない」としたものの、財政のやりくりについては、「年度内使いきり方式の見直しなど会計制度の改革」(大松氏)、「公務員の数を減らして効率化」(戸枝氏)、「徴税を強め、不正経理を正す」(和田氏)などと主張しました。

 そね都議は、新しい税金は「必要なし」とした上で、次のようにのべました。「財政問題で大事なのは、税金の使い方とムダ使いをなくすことです。『臨海』開発は、都知事でさえ『建てなくていいものを建てさせられた』と失敗を認めているのに、すでに2兆円、これから1兆円も税金を投入することになります。この問題では特に、知事の責任とともに『ここまで来たらやめるわけにはゆかない』と推進をあおってきた自民、民主、公明の責任が大きい。

 もう一つの問題は、都議会の自民党、民主党、公明党が会派ごとに、10日足らずで一人平均148万円も使って海外視察に行っていること。航空費の往復割引も使わず、ガイドや通訳に支払う費用も高すぎる。議員自身が税金のムダ使いをしていれば、都のムダ使いも追及できないのではないでしょうか。海外視察はキッパリとやめるべきです。

 最近、民主党が『石原知事の良いところはアクセル、悪いところはブレーキ』などといっているようですが、この4年間、税金のムダづかいをふくむ都の予算すべてに賛成し、ブレーキを踏んだことは一度もありません。いま財政の支出に対するチェック機能が重要であり、石原知事にしっかりとものがいえる都議会にしてゆかなければならないと痛感しています」。

 この発言に対し、高木氏は「ムダ使いという話もあったが、石原都政は外郭団体の廃止、職員給与の引き下げ、都バスのラッピング収入など削るところは削り、新しい財政収入に努力している。百条委員会ではいろいろあったが、石原都政がやってきたことは改革路線としては全く間違っていない」、大松氏は「海外視察は、海外の先進的な福祉や社会保障の事例を都政にとりいれてゆくために地方自治体法にもとづいておこなわれているもの。共産党もいるところで決められた。『豪華海外旅行』という文言があるが、共産党もドイツやヨーロッパに200万円以上かけて行っている」などとのべました。

 そね都議は、すぐさま、「外郭団体や職員を廃止・削減したというが、削られた多くは文化団体や都営住宅関連など都民のサービスに関わる部門です。外郭団体のムダを正すというのなら、大型開発の第三セクターにメスを入れなければ、ラッピングバスの収入くらいでは穴は埋まりません。

 共産党が参加している海外都市交流は、海外視察とは性質が全く異なり、東京と友好関係を結んでいる都市との交流をはかるものです。それでも私自身が参加した98年の交流では、共産党として2人出せるところを1人に絞るなど経費節約を提案しました。会派ごとに自己責任でおこなう海外視察はその気になればすぐにでもやめられるもの。一人平均148万円というのは、都民の常識からみて高すぎます」と反論しました。

 大松氏はなおも「海外視察と都市交流の二つを区別しているようだが、共産党も税金で海外に行っていることは事実。こういう宣伝は、都民を惑わすもの」などとのべましたが、会派ごとの海外視察に対する反省や見直しについては何ら言及しませんでした。

●福祉
福祉切りすて厳しく批判、福祉充実の具体的提案しめす 日本共産党
数字のトリックで福祉削減の実態隠す オール与党

 第2の設問は福祉問題でした。「今後の東京の福祉政策で、どのようなより良い政策をお考えですか」の問いに、それぞれが「国、都、区がやるべき仕事をきっちり分担する」(原田氏)、「子育て、少子化などをこれまでの児童福祉から独立させ、新しい福祉のカテゴリーをつくる」(高木氏)、「介護予防でのマンパワー確保、障害者の自立支援を」(和田氏)、「シルバー人材センターの仕事をもっと民間にふりわける」(戸枝氏)などと主張。大松氏は、共産党が提案した子どもの医療費助成拡充を求める決議に都議会公明党が反対しているにもかかわらず、「(子ども医療費は)通院も中学3年まで都として助成金が出るようにする」などとのべました。

 そね都議はまず、先の発言で大松氏が「美濃部都政では6%だった福祉予算が石原都政のもとでは9%台に。今年度は2200人の職員を削減し、福祉保健予算は過去最高となった」などとのべたことに対し「美濃部都政の時は福祉予算が11倍、鈴木、青島都政でもわずかながら福祉費をのばしていますが、石原都政のもとではマイナス0・88倍と、福祉予算を削減していることは事実です。実際に使った額で計算すると856億円が減らされています。この予算をとりもどすことがまず第一です」と反論。続けて、「国が計画している7兆円にものぼる国民負担増、それと連動してあがる24種類もの公共料金の値上げをくいとめながら、都政では重度要介護者への介護手当支給、マル福の存続、シルバーパスの負担軽減、子ども医療費助成を小中学生まで広げることなどの緊急要求実現にとりくみたい。これらは300億円弱で可能です。福祉制度の利用者の負担を抑えながら、必要なサービスが受けられるようにすることが大事で、受けとる年金以上に本人への負担を強いる介護保険改悪はひどすぎます。

 民主党は最近、保育園への都加算補助を全廃してクーポン券を配るという提案をしていますが、補助をなくせば保育園はつぶれてしまうし、逆にクーポン券発行で予算がオーバーし、まったく非現実的です」とのべました。

 これに対し、高木氏が、「福祉が削られているというのはまったく違う。平成16年から17年にかけて福祉保健予算が442億円、6・5%も増えている」などと発言しましたが、そね都議はあとの発言で、「私が6年間でこれだけ福祉を削ったと数字も示しているのに、前年からののびだけをとりだしてあたかも福祉を削減していないかのようにいう(のはフェアでない)」と反論しました。

●教育

「日の丸・君が代」の強制をやめ、30人学級を一日も早く 日本共産党
「起立しない教師の処分は当たり前」 オール与党

 第3の設問は教育問題。「教育分野においては地域に根ざした施策が重要ですが、現在の東京都教育委員会は対応できているのでしょうか」の問いに、冒頭、そね都議が発言しました。

 「都教委は、都民の要望にまったく応えてようとしていないどころか、学校や大学などへの命令や介入がひどすぎると思います。学校の卒業式などで、『日の丸・君が代』を乱暴に押しつけて、生徒が立って歌わない場合は教師を厳しく処分するというやり方、これはまさに生徒の心の自由を奪っていることで、許されないと思います。

 それから今、都教委ががんばらなくてはならないのは30人学級だと思います。すでに東京と香川をのぞく45道府県が独自予算で実施しており、私たちがおこなったアンケート調査でも、実施したすべての県で『やってよかった』『子どもが勉強でも生活でも生きいきとして元気になった』など歓迎の声が寄せられました。東京では、石原都知事がだめだといえば、他の県で賛成している党も反対にまわってしまう。区市町村が独自にやろうとしても都の権限でやらせない。いくらなんでも横暴が過ぎると思います。北区では小学校で4割近く、中学校で6割以上が31人以上の学級なので、一日も早く30人学級を実現させたいと思います。実際に40人の学級を見学させていただきましたが、ほんとうに授業を成り立たせること自体が大変だとわかりました。

 最近では国の文部科学大臣も中教審の会長も来年度導入への具体的検討に入ってきて、都教委だけが完全に取り残された状態です。一日も早く30人学級を実現させたいと思います」。

 このあと各候補が「区教委に人事権を。教育現場では一人に一台のパソコンを」(戸枝氏)、「一番大切なことは教員の資質の向上。教員をよくして教育をよくする」(大松氏)、「『君が代・日の丸』の強制は遺憾。教育委員会を住民が選ぶ公選制に」(和田氏)などの意見をのべました。

 高木氏は「国旗・国歌は強制をしているのではない。これまでの扱いこそが不当だった。都教委が通達をだして徹底しなければならなかった現状こそ問題だ」などと主張。続けて「都教委が通達でいっているのは、@国旗は会場の壇上正面に掲げる、A教職員は国旗にむかって起立し国歌を斉唱する、B教職員の服装は厳粛かつ清真な雰囲気にふさわしいものに、C式典を妨害したり起立しないなどの教職員は処分する、の4つで、これは当たり前のこと。これがやられていなかったこと自身が問題だ」と、「日の丸・君が代」の押しつけを当然視する考えをしめしました。

 これに対し、そね都議は、文部科学省の全国調査で、学校現場では約8割が少人数指導よりも少人数学級の方がよいと答えている結果をしめすとともに、「『国旗・国歌』の問題では、日の丸をどこに掲げるか細かく指示すること自体が非常識だと思いますが、生徒の心、自由を奪っているということが最大の問題です」と反論。高木氏はさらに、「学習指導要領に書いてあることを当たり前にやりなさいといわざるを得ないところに問題があるといっている。教育というのはセレモニーをやらせるところだから、ルールを決めて都教委がそれをやらせるようにすることは当然だ」などと発言しました。

 30人学級問題に関し、戸枝氏が「学習集団としては少人数でよいが、生活集団としては大人数がよいのでは。北区では一学級の人数はすでに平均で28人。30人を切っている。いまやっている習熟度別でいいのでは」と発言、そね都議は、すぐさま次のように反論しました。

 「一回授業を見たほうがいいのでは。(習熟度別のように)科目限定では、それが終わると大人数に戻ってしまう。それなら学級自体を30人以下にした方が効果があがるし、生活面ではいくらでも工夫ができることは、全国の例がしめしています。

 『日の丸・君が代』については、教育委員会が細かいことまで決めるということは、やってはいけないこと。学校のことは学校が決めるというのが教育基本法にもかかれている大原則です」。

 このあとさらに、大松氏が「30人学級だと15人、16人のクラスがいっぱいできてしまう。集団的な社会性を養う上では弊害」と、また原田氏が「先生方は『楽だから』、と少人数を望むが、生徒の立場にたって考えるべき」などとのべ、あくまでも30人学級を拒否する発言に固執しました。

●都政と北区

ワンマン都政と「オール与党」の都議会こそ変えなければ 日本共産党
石原知事への批判・注文は一言もなし オール与党

 最後の設問は「東京都と23区の役割はどのように変えていくべきだとお考えですか。北区をどのような街にしていきたいとお考えですか」で、それぞれ「教育、文化に力を入れた町づくりを」(高木氏)、「財源委譲で北区の自立をめざす」(原田氏)、「福祉を充実させ若い人が安心して暮らせるよう、池袋を中心とした都市に再編してゆく」(戸枝氏)、「教育委員会の公選制を」(和田氏)、「防災対策に力を入れる」(大松氏)などと主張しました。

 最後にそね都議は、次のように発言を結びました。「高齢者、障害者、子育て世代のための施策を充実させ、災害・環境対策に区が全力をあげることが大切で、こうしたことを区がやろうとした時に、都が全面的に援助することが大事なのですが、『都市再生』にばかり力を入れている石原都政の基本姿勢は問題です。

 特に最近、知事がほとんど登庁せず、かわりに浜渦副知事が都政を牛耳るというワンマン都政の実態が暴露されました。こうした石原知事のやり方を、ほとんどの会派が認めてしまい、『オール与党』という状況をつくりだしてきたことが、石原都政の横暴を許してきた原因だと思います。

 今日の討論を聞いても、福祉でも教育でも予算を削った事実さえ認めようとしないし、中教審でさえ圧倒的に支持されている少人数学級を非難して石原知事の主張に追随する姿勢がうきぼりになりました。これを変えなければならないというのが、私の結論です」。

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