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はじめ通信・05勝利めざして5−519
30人学級へ、文部科学省に続いて中教審もゴーサイン
「表現・実験など活動量増加・相次ぐ賛成の意見」と

●5月10日の中央教育審議会の義務教育特別部会で、文部科学省が検討している国の小中学校の学級定数の現行40人から30人または35人への改善について基本的に合意し、それにともなう財政負担などについて検討されたもようです。部会では鳥取県の片山知事をはじめ部会委員が相次いで少人数学級への賛成意見を述べ、「20人を下回らないような方策が必要」などの意見はあったものの、原則として反対はなく、ゴーサインが出されたという結果が報じられています。

●この部会には、文部科学省によるこれまでの習熟度別少人数指導と少人数学級についての今年4月の調査結果が資料として出されましたが、それぞれの評価の部分を抜き出して比べてみると歴然としています。
 すなわち学習効果という点では、両者の評価にあまり差はありません。ところが生活面の効果という点で、同じ「不登校やいじめなどの問題行動が減少した」「児童生徒の基本的な生活習慣が身についた」という項目について少人数指導では「とてもそう思う」がそれぞれ6・5%だったのに、少人数学級では31%だったのです。明らかに少人数学級の実施によって生活面で劇的な効果が現われた学校が3割はあったということを表わしています。ここで、少人数学級はまだ国が認めているわけではないというハンディーを負っているにもかかわらず評価が高い点が注目されます。

●しかも少人数指導の評価の「その他」の項目で「少人数学級のほうが効果的である」との選択肢には「とてもそう思う」が43・4%、「そう思う」が38・4%と合計81・8%の圧倒的な肯定の回答に対して、少人数学級の評価の「少人数指導・ティームティーチングのほうが効果的」には合計して30・6%と、完全に差がついていることも、端的に学校での少人数学級の支持の高さを反映しています。

●3年前私も文教委員会で、「学習効果では少人数が良いが、生活面では一定の人数が必要」という都教委に対して、文部科学省の研究所の調査でも、学習面ももちろんだが、生活面の方が少人数学級の効果がはっきり現われている」ことを指摘しましたが、ようやく文部科学省の評価でも、そのことが浮き彫りにされたことは画期的だと思います。

●あらためて、都議会の各オール与党の少人数学級に対する粗雑で根拠のない否定論を振り返ると、これらの党は、これから一体どうやってつじつまを合わせていくのかと思います。いい加減なごまかしは許されません。なぜなら、これらの党が他の県では超党派で少人数学級実施に賛成してきたのに、東京都では石原知事や横山教育長にこびへつらい、少人数学級にあえておろかな反対論をぶち上げ、都民の請願を否決し、共産党の提案に悪罵を投げ続けてきたために、少人数学級にいち早く取り組んだ山形県などから、少なくとも5年も実施が遅れてしまったからです。

●私は、昨年秋に北区の小学校で見学した41人学級の大変な条件での国語の授業が忘れられません。もっと早く東京で少人数学級が実現していれば、あの子達はもっと早くから分りやすい授業を受けることができたはずです。
 これは子ども自身に自覚できることではありません。先生の目が届かないのをいいことに後ろのほうの子は勝手なことをやっていました。その瞬間はそのほうが楽しいでしょう。
 しかし私はそれを見て、悔し涙さえ出てしまいました。子どもたちが二度とないその学年のその教科の単元で、とり返しのつかない授業を受けていることを見てしまった大人の責任が痛切に問われていることを感じないわけにはいかなかったのです。

●東京新聞は、先日「文部科学省は小学校1・2年生で35人学級を来年度から検討」と報じました。私は中山文科大臣が「30人学級」という言葉を使っている以上、最初から30人の基準でスタートしてくれるよう切に希望したい思いです。
 確かに今までは55人から50人、45人、40人と5人ずつ減らしてきましたが、四〇人学級になってから25年・四半世紀がたっているのです。このあと何年待てば欧米並みの学級人数に改善されるかと考えると、ようやく改善されたころには日本でもう子どもが生まれなくなっているかもしれないという危惧さえ感じるからです。
 日本の国で子育てと教育のかかえる極めて困難な現状の最大の打開策は、思い切った少人数教育と、地域に完全に開かれた学校づくりだと、私は確信しています。


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