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はじめ通信・04なつのたたかい4−920

東京のビル開発促進が原因といわれながら
異常な猛暑の観測体制のお粗末さ


●きょう9月20日もむし暑い一日でしたが、真夏日ではなかったそうです。明日21日、都議会第3回定例会の開会日は32度くらいまで気温が上がる予報で、真夏日が2000年の67日を抜いて史上最高になるそうです。
 ところで今年の暑さをはじめ、台風上陸など異常ずくめの気象の中で、都心で39・5度という観測史上最高気温というのが7月20日にありました。
 ところが8月16日になって、この7月20日に、実は都心よりはるかに北の足立区江北地域で、さらに高い42・7度という気温が発生していたということが東京都から発表されたのです。

●なぜこの事実が判明したのか・・。
 実は、東京都環境科学研究所では、区部のヒートアイランドの実態を詳細に把握するため、区部106ケ所に温度計等を設置し、気象観測を行っていて、この観測網により、気象庁(大手町)において観測史上最も高い気温を記録した7月20日と、最低気温が観測史上最高を記録した7月21日の気温の分布状況が明らかになったのです。3年前からの測定網によるデータ測定が、まさに図に当ったといえるでしょう。しかし・・
 東京都は「今後この観測データを生かしてシミュレーションモデルを構築し、ヒートアイランド対策に活用していく」と述べていますが、1ヶ月も発表が遅れたのでは、暑さが9月まで長引いているとはいえ対策といっても今年は間に合わなくなるのは確実です。

●なぜ当日の気象庁の発表から約1ヶ月も遅れたのか・・。
 各地点の発表データの下に書いてあるように、区内106箇所の小学校などの百葉箱の温度計の観測データを集めるのは、研究所員が(おそらく一人で)足で回って、約一月半かかるからなのです。なんとお粗末な観測体制でしょうか。しかしそれすらなかった2000年の猛暑の際には、この足立など城北地域の異常高温の存在すらつかめていなかったのです。

●いまNHK報道をはじめ、専門家が口をそろえて、この都心をはじめとした異常な猛暑の原因の一つとして、石原都政が規制を緩和して促進させてきた旧「マンハッタン計画」・・つまり丸の内を中心に都心と湾岸部を、超高層のオフィスやマンションビルで埋め尽くすという大変な都市構想が、いまや大手を振ってまかり通っており、かつて「一極集中是正」などと言われていた時代と様変わりしてしまったことをあげ、「立ち並ぶビル群が、東京湾からの海風を遮断し始めている」として「東京ウオール」と名づけています。

●こうした指摘の真偽を、観測データで科学的に裏付けるためにも、環境科学研究所の研究は貴重ですが、問題は、石原都政が、自らの新たな自然破壊の科学的証明を、自らの研究所で行なうことに、いつまでも予算をつけているかどうか・・。それでなくても、データ収集に一ヵ月半もかかる研究体制が今後どうなるのか、こちらもしっかり観測網を広げておく必要がありそうです。

●8月16日に環境局が発表したデータの要約は、以下の通りです。

平成16年8月16日
環 境 局
観測史上最も暑かった日の区部の気温分布
(40℃超過地域等)について(速報)
 
(1)7月20日午後1時の気温の分布状況
 気象庁(大手町)で景高気温を記録した時刻(12時58分、39.5℃)には,足立・荒川・北区の境界付近に40℃を超えた地域が広がっており,渋谷・新宿・墨田区でも40℃を超えた地域がみられました。全観測地点のうら,8地点で40℃を超えており,最高気温は足立区江北で41.8℃でした。
(2)7月21日午前4時の気温の分布状況
 気象庁(大手町)で最低気温を記録した時刻(4時27分、30.1℃)とほぼ同時刻には,23区のほぼ全域で気温が29℃を超えていました。特に,都心部から沿岸部にかけての広い地域では30℃を超えていました。全観測地点のうち,32地点で30℃を超えており,最高気温は中央区勝どきで31.1℃でした。
(3)7月20日の最高気温は,42・7度C(午後1時40分,足立区江北)でした。

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