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はじめ通信・子どもと教育のはた4−831
「つくる会」教科書採択に、抗議が国内外から噴出

●26日の都教委で、戦争賛美の「つくる会」教科書が圧倒的多数で採択されたことに、都民はもちろん、国外からの批判や抗議が相次いでいます。
 中国外務省は、「日本の歴史教科諸問題の実質は、日本が過去の中国への侵略の歴史を正しく正確に認識し対応できるかどうかだ。日本は歴史問題に関してこれまでに表明してきた態度と承諾を切実に実行し、正確な歴史観をもって若い世代を教育すべきだ」との声明を発表。
 在日韓国人の青年団体も抗議と質問状を教育委員長に送りました。

●韓国のソウル市長からは、事前に、次のような丁寧な、要請の手紙も着ていました。

日本国東京都知事 石原慎太郎様

 東京都政の発展に向けてご尽力なさる知事に対し、心より敬意を表します。
 ソウル市と東京都知事は、1988年の友好都市協定を結んで以来、さまざまな分野での交流を通じて友好関係を深めてまいりました。
 さて、来る8月26日にある東京都立最初の中高一貫校の白鴎高校の教科書採択と関連し、最近、東京都教育委員会の顧問として、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーと支持者が任命されたことを伺って手紙をお送りすることになりました。
 歴史は、見る観点によっていろいろな解釈方法があるとは思いますが、「つくる会」で作られた扶桑社の教科書は、勧告と日本の歴史を記述するに当って今までとはあまりにも違った観点に立っており、両国の良識ある歴史家と国民の憂いの対象になっている状況です。
 今後、韓国と日本の将来を担っていく青少年が、より客観的な視覚で歴史に接することができるよう、東京都教育委員会で勧告と日本の前輪湯工関係に配慮して慎重に判断していただくことを要請いたします。
 なお、相互の文化理解と今後の両都市の友好関係の増進のため、小・中・高・大学の青少年に対して積極的に便宜を提供し、案内する準備が整っております。
 改めて、知事の後輩をお願いするとともに、知事のご健勝と東京都の限りない発展を祈念いたします。

   2004年8月16日
ソウル特別市長  李 明博

●また、中国、韓国、日本の歴史教科書の執筆者の連名で次のような抗議文も発表されています。

日本の東京都立中高一貫校が「つくる会」教科書を採択したことへの抗議文

 東京都教育委員会が、東京都立中高一貫校において、新しい歴史教科書をつくる会(「づくる会」)教科書(扶桑社版)の採択を決定したことは極めて重大なことであり、東京都の歴史認識問題における後退を示しています。歴史学者として私たちは東京都の今後の政治動向に心配すると同時に、東京都教育委員会の決定
に厳しく抗議の意を表明します。
 皆さんもご存知のように、「つくる会」の歴史教科書は「大東亜戦争史観」に満ちた教科事であり、日本の歴史教育を戦前や戦時中の教科書に後退させるものです。いわゆる「大東亜戦争史観」と「大東亜共栄圏」の思想は、明治維新後の日本によるアジア蔑視の表現であり、戦後の日本がもしこうした考え方から抜け出そうと考えるならば、真摯に戦争兼任と向き合い、一国主義の偏狭な世界から抜け出しアジアのなかへと向かわなければなりません。また、人権を尊重する角度から、戦争犯罪の歴史に深く反省しなければなりません。このようにしてこそ日本はアジアや世界各国の国民の理解と許しを得ることができ、国際社会における地位を向上させることができるのです。
 ところが残念なことに、「つくる会」の歴史教科書が掲げる歴史観は、依然として戦前の「脱亜論」と「アジアの盟主」という考え方の影響を受けており、戦前の「皇国史観」を広め、日本は「神の国」であると紹介するなど、過去の侵略戦争と戦争責任の認識に曖昧な態度を採っています。さらに「つくる会」の公民
教科書は、日本の平和憲法を攻撃し、アジアを見放して偏狭かつ独りよがりな考え方で日本の利益だけを考えています。「つくる会」の『新しい歴史教科書』が広める歴史観は、戦前や戦時中の歴史教科書における主張と基本的に一致しており、戦後日本の民主主義が発展してきた方向に逆行するものです。また、グローバル化の進む世界的な発展にも逆行するもので、これは日本を新たな戦争の道へと引きずり込む教科書だといえます。だからこそ日本では絶対的多数の学校において2001年はこの教科書を採用しなかったのです。
 しかし現在、東京都教育委員会は、新設中高一貫校において「つくる会」が編纂した危険な『新しい歴史教科書』を採択することに固執しています。これに対し私たちは極めて重大な関心を払い、また厳しく批判せずにはいられません。
2004年8月26日
     中日韓三国共通歴史副教材中国側執筆者
        歩平・栄維木・李仲明・下修躍・王希亮・
         蘇智良・朱成山・劉燕軍・張連紅

●ソウルの教育委員会からも手紙が来ています。

        日本国の歴史歪曲教科書についての書信

日本国 東京都 教育委員殿

 ご清勝にお過ごしの事と存じます。日々教育のために献身されている教育委貞の皆様のご苦労に敬意を表します。
 世界の歴史に関する教育は、国家間の相互理解と信頼を基礎として推し進めていかねばなりません。
こうした過程を通して国家間の善隣友好と未来指向的発展が成し遂げられると信じます。
 韓・日両国は1965年の国交正常化以後39年間、歴史についての相互理解と信頼を発展させようと努力してきましたが、こうした意志は1998年10月の「韓・日パートナーシップ共同宣言」と2004年3月の「韓・日首脳会談」を通して確認されたところであります。特に日本国東京都と大韓民国ソウル特別市は1988年以後姉妹友好都市として相互発展と友好増進に努力しつつあります。
 この間、両国の努力にもかかわらず歴史を歪曲した教科書発行と採択が両国の友好増進努力において懸念の種となっています。
 世界歴史は観点によってその理解に差が生じる事もありますが、地球村時代の歴史観点は相互理解と信頼を基礎にして未来指向的観点から始められねばなりません。
 この間、大韓民国政府は歴史を歪曲した教科書の内容に対して何度も修正要求をしましたが、いまだに受け入れられず、2001年度にはソウル特別市の姉妹友好都市である東京都で歴史叙述の問題性と危険をはらんだ教科書が採択されるという事態が発生しました。
 育ち行く青少年に歴史認識の根本と健全な世界観を形成させねばならない教科書にまで侵略と加害の歴史を正当化する等の歪曲した歴史叙述を載せ、それを学校の教科書として採択することはまことに遺憾なことです。
 我々、ソウル特別市教育委貞は東京都で再びこうした事態が起こる事を憂慮し、この意見をお伝えして2004年8月に中高一貫校で扶桑社の歴史歪曲教科書が採択されないように、韓日両国の友好関係に困難が生じないように努力して下さることを希望します。
 日本国の多くの知識人と市民団体が歴史歪曲教科書に関して、両国の善隣友好関係と未来指向的発展のため努力して下さっていることに対し心から感謝申し上げ、今後も共生のための歴史意識と行動において韓日間友好関係をさらに広げていくことができるよう望みます。
 我々、ソウル特別市教育委貞は大韓民国と日本国が過去の痛苦を克服し、よりよい善隣友好関係を築くことを祈願し、東京都教育委員の皆様の安寧と幸福を願いながら、この一文を差し上げます。
ご健康にお過ごしください。
2004年8月24日
大韓民国ソウル特別市教育委員会 教育委員一同

●すべてのアジアの国々を敵に回して、都教委はどんな歴史教育を子供につぎ込み、どんな「国際人」を育てようとしているのか・・考えれば考えるほど、恐ろしいことに思えます。

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