はじめ通信・子どもと教育のはた4−1116
(今年3月にメグミルクから指摘があって以下4月3日に訂正しました)
メグミルク(「(旧雪印)」を削除)を訪問・要請
企業の都合で学校牛乳をビンから紙パックに変えないで
●11月12日、北区議団で文教委員の本田正則区議、それに新日本婦人の会北支部事務局長で中3生の息子さんがいる渡名木さんとで、北区の学校牛乳を納入している日本ミルクコミュニティー(メグミルク)本社を訪ね、来年度から予定している企業都合による学校牛乳のビン包装から紙パック包装への変更方針を見直すよう強く申し入れました。
●きっかけは、8月に国立市議の小沢さんから「森永乳業が学校牛乳から撤退し、後を受け継ぐメグミルクなどがこれを契機にビンから紙パックに変更しようとしている」と情報が来たことでした。
それによると、森永は工場改築のため昨年から撤退を希望しており、おさえていた都教委も、来年度からやむをえないということになったもの。
また森永と共に大きなシェアを占めているメグミルクもビンから製造コストの安い紙パックへの変更を要請していることも分りました。
こうなると、来年度は森永の抜けた後とメグミルクの供給地域と、合わせて都内の4割程度は全てビンから紙パックになり、おそらく来年度以降、続ぞくと明治、興真、グリコなどの各社も紙パックに変更を言い出し、あっという間に都内全部が紙パックに変更されてしまうことは間違いありません。
●9月13日には、国立、多摩、東村山、小平、府中、国分寺などの市議団が都教委と交渉しましたがらちが明かず、都は包装の変更を認めていく方向で検討していました。
しかも紙パックのリサイクルについて、学校現場からは紙パックを切り開き洗って乾かす作業などは時間に余裕がなくてできないと訴えているにもかかわらず、都教委の担当者は、「企業のビデオを見る限りやってみれば割合簡単にリサイクルできるはず」などと企業側を代弁する発言までしています。
その後国立市は群馬県の乳業メーカーと独自に契約し、ビン牛乳を維持することになりましたが、多くの自治体は結論が出ていません。
●学校や父母や子どもの意見は、食感も良く容器はリターナルされる点でビン包装が良いというのが圧倒的。しかし多摩地域と比べ、23区では父母や関係者にほとんど事態が知られておらず、来春、急に紙パックになってからトラブルになる危険もあります。
そこで、紙パック変更について父母や関係者の反対の声を伝え、同時にメーカー側の変更希望の理由を聞こうということで本社を訪問したものです。
●メグミルクの森田広報部長は、「学校牛乳の社会的意義は理解しているが、2003年度売り上げ対比で(「毎年粗利で」から変更)8%以上の赤字で138億円の経常赤字(「債務超過」から変更)となり、経営を維持するためにはやむをえない選択。理解してほしい」の一点張り。しかしその中で、幾つかメグミルクの企業モラルを疑いたくなる事実も判明してきました。
(1)第一に、雪印が生乳で食中毒事件を起こし、雪印食品の牛肉偽装でさらに信用を失って会社解体に追い込まれ、ジャパンミルクネット(「ゼンラク乳業」から変更)、全国農協直販(「農協牛乳」から変更)などと合併してメグミルクになったのは、信用を回復することで牛乳製品の安定供給を確立するためのはずであって、今度は消費者にしわよせしながら黒字になるのを認めてくれといっても通用しないということです。
もともと信用が落ちて赤字体質になった雪印が、経営の厳しい2社と合併すれば債務超過になる危険が高いことは最初から見通されていたはずです。これでは、消費者に犠牲を押し付ける策略を最初から持っていたという疑いさえ感じさせます。
(2)第二の問題は、メグミルクが紙パックへの変更を機に、もともと赤字の学校牛乳部門を一気に黒字に持っていこうとしているらしいことです。
私が「これでメグミルク全体は単年度黒字になるというが、学校牛乳部門の赤字もなくなるのか」と聞くと、会社側は否定せず、「学校牛乳の黒字転換が、全てではない」という言い方でした。
たしかに日野工場を生乳以外の(「アイスやプリンなど加工型乳」を削除)製品に特化して集約効果による利益増もあるらしい。しかし何よりも、業務の多くを占める毎日の学校牛乳の収支自体が、紙パック変更で不採算から一気に黒字に変わるのが決め手であることは明らかです。
(3)紙パックの処理についても、会社側は回収せず、学校側で責任を持つよう提案しているというから、ずうずうしい。
入札で地域分担が決まってから、処分方法も最終的に決定されると回答していますが、森永の撤退後の多くを引き受ける場合の交換条件として考えているのでしょうか。
すでに紙パックに移行している大田、品川地域では、飲んだ後のパックはリサイクルせず企業が回収し破砕し焼却しており、他の地域でも企業責任の処分は可能だという都教委の説明とは微妙に違っています。
(4)例年なら1月ごろに行なう入札を、今回はくりあげて、12月ごろに予定しているとのこと。つまり、都教委側でも急いで決着をつけようという流れが強まっている気がします。
事実をより多くの父母、関係者に知らせ、子どものために本来どっちがよいのか、そのためのコストを誰がどう分担すべきなのかについて、子ども自身や父母、関係者の意見を聞く機会を、北区教育委員会はじめ関係機関がきちんと持つべきが当然ではないでしょうか。 |