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はじめ通信11−0202
国保料改定で誰が生け贄にされるのか(1)

●1月25日の北区の国保運営協議会(国保運協)で、来年度・2011年度からの国保料の算定基準変更案が、議長の「賛成多数」のとりまとめで了承されました。
(右の図は東京民報より抜粋)

誰も賛成しなくても「多数決」

●出席委員からは、改定案への疑問やさまざまな発言はあったものの、改定案に明確に態度(もちろん反対で)表明したのは共産党の山崎たい子区議(区議会の担当委員会の区民生活委員長として運協に出席)ただひとりでした。
 他の委員からは賛成も反対も明確な表明は無い上に、最終的に採決をしたわけでもないのに、議長は「空気を読むように」(傍聴者の感想)多数決を宣言したということです。

計算根拠をより”悪平等”に

●今回は例年の全体にかかる値上げ改定ではなく、国保の理念にかかわる制度変更です。
 今まで住民税を基礎に計算してきた国保料を所得額をもとに切り換えるのです。
 新たな算定のベースが所得税の額ではなく、扶養控除などを差し引く前の所得そのものだという点が重大です。

2割世帯の犠牲を8割にふりまく

●このやり方で計算すれば、加入者のうち扶養家族や障害者等のいる2割の世帯が、今まで控除されていた分、狙い撃ちのように1・5倍とか1・8倍など極端に保険料が上がることになります。
 反面、ひとりぐらしや高額所得の方などが値下げになるということですから、5分の1の人が生け贄にされる分を、残り8割の人に少しずつ分け与えるしくみです。
 国保加入者は区民の4割を占めていますが、その大半は実害が無いか少し値下げになるので、区民から反対の声は非常に起きにくいでしょう。極めて卑怯なやり口だと私は思います。

子育てや介護でがんばっている世帯への仕打ち

●”生け贄”にされる人たちというのは、多くの場合、扶養家族を抱え、障害者や高齢者の介護とか子育てで苦労しながら、自営業や非正規雇用で頑張って生活している区民なのです。値上げの当事者がこの仕打ちを知ったら何と言うでしょうか。
 国保運協で診療所の医師が、今35%の滞納者がもっと増えるのではないか。でも国策だからやむをえないという趣旨の発言をしたそうです。しかし私に言わせれば、これは今までの「国策」より悪質です。

社会保障とともに相互扶助さえ放棄するのか

●私たちは、国が全ての国民に健康で文化的な生活を保障する責務を負うという憲法25条の最大の要として、”国民皆保険”を下支えする”社会保障”制度であり、25%まで減らされた国庫負担をかつての5割負担に戻すことなしには、「高すぎて払えない」ほどの保険料、異常に上がった滞納率、それが払っている人の負担をまた重くするという悪循環を断ち切ることはできないと訴えてきました。これに対し国や北区の行政は「国保はむしろ相互扶助が基本」などと釈明してきました。

●今回の制度変更は、社会保障の精神を捨てて国の責任を後退させてきた上に、今まで扶養家族の多い家庭には少しでも負担を軽くして全体で分かち合ってきた”相互扶助”の精神さえそぎ落としていこうというものではないでしょうか。

●国保問題は、東京23区行政の退廃ぶりを象徴する問題として色んな角度からさらに考えてみたいと思います。

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