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はじめ通信10−0108
住宅問題シリーズNO.2
どう埋めるか?需要と供給のグレードギャップ

前回、具体的な住宅難民が、失業による寮追い出しやアパート家賃滞納、住宅ローン地獄などで住宅難民が次々広がっていると述べましたが、“難民”まで行かなくても、その予備軍として収入の半分近い住宅費で苦しんでいる人たちを含めると、いわゆる「ハウジングプア(住宅貧困層)」というべき人たちが、相対的貧困層約16%と同じか、より大規模に存在すると考えられます。

●しかし、一方で、全国には賃貸住宅の空き家が約400万戸あるといわれ、これに不在のままとなった個人住宅や売れ残りマンションなどを加えると、現状でも空き家の規模はハウジングプアの半分ぐらいまで達するかもしれません。

●北区での私の実感は、空いている住宅には年収200万円程度のハウジングプアの人たちが入れる住宅より、売れ残り分譲マンションや、家賃10万円以上の賃貸住宅が多いように思います。つまり需要と供給のグレードギャップが大きなネックだと感じています。

●もともと政府が進めてきた個人住宅推奨路線は「正社員がローンでやっと買える」ギリギリの自己責任の押しつけで支えられていました。
 10年来、年収が下がり続ける中で、多くの勤労者が住宅入手困難で賃貸から出られず、その家賃さえ払えなくなる流れができているのです。
 個人として最大の買い物である住宅に、資本主義の矛盾が最も鋭く表れるのは必然で、もはや「自己責任」の市場任せでは成り立たないことは明らかです。

●前回、北区の大きな特長として、都営住宅の建て替えなどで現に空き家がかなり発生しており、本格入居まで何年か空いている住宅など、失業者のつなぎを含めて活用できるという問題を提起しました。

●もう一つの方法として、分譲マンションで平均2割といわれる空き家や、公団や都民住宅も含め高額家賃で入居のない空き家住宅などが北区だけでも、1万戸前後はあると予想され、これをハウジングプア階層に提供するための、グレードギャップを埋める家賃補助等の政策が行政によって取られる必要があるし、これによってかなり効率的に住宅供給の道が開ける可能性があるのではないでしょうか。

(写真は、都庁から湾岸部を望んだ風景。東京タワー周辺のオフィスや高級マンションも、かなりの空きがあると見られます。)

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