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はじめ通信10−0808
堀船水害についての都と首都高への要請文書

東京都都知事 石原慎太郎殿

7月5日の北区堀船・豊島地域で発生した水害に関する要望書

 今月7月5日に発生した北区堀船・豊島地域の水害被害は、首都高王子線建設工事に伴う石神井川の付け替え工事が行われていた区間の、溝田橋直近の下流護岸から大量の河川水が溢水したことによるものです。
 護岸沿いのたばこ産業、京北倉庫一帯や明治通りを湖の如く冠水させ、そこから流れ出た濁流が、明治通りや旧キリンビール通り、補助88号線沿いなどをも流れ、堀船・豊島地域一帯に深刻な水害被害をもたらしました。床上浸水は230棟、床下浸水は223棟にものぼり、商店や中小企業の営業も多大な影響を受けました。

 堀船地域では平成17年9月にも、首都高が東京都から管理委託を受けて施工した嵩上げ護岸のI型鋼が崩落し、水害被害を受けています。
 首都高は当初「この水害は天災であり、公団にいっさい責任はない。よって補償交渉には応じられず、見舞金で対応する」との姿勢でした。
 ところが、被災した住民の「鋼板をコンクリートに固定していたボルトが12ミリ径では弱すぎる」「以前の大雨で鋼板がずれたのを直す工事をしていた」などの証言を基に、日本共産党区議団も強く要請をして、都による調査と指導が行われました。
 その結果、10ヵ月後にようやく首都高により、都の管理委託と護岸整備の技術指導に反し、コスト削減のため現場のI型鋼の使いまわしで河川法違反の護岸かさ上げ工事を行っていたこと、I型鋼のボルトが腐食していたなどの工事ミスを認める、最終報告を出させることができました。
またこれを機に一定の経済的補償がなされるとともに、都の指導により護岸の再整備や防災計画の見直しなどが行われました。
 こうした経過にもかかわらず、今回再び水害被害を被った住民からは、「二度も被害にあうとはどういうことか」「5年前の教訓がいかされていない」「自然災害というが、到底納得できない」「川の付け替え工事、首都高の工事の影響があるのではないか」「集中豪雨はこれからも起きる可能性がある。対応が不十分だ」などの切実な声が寄せられています。
 今回溢水した護岸の箇所は、護岸高5、6bであり、下流の5.8bより20センチも低く、上流の護岸が657bで、前回事故により護岸の強度を増すなどの対策がなされた事を考えると、安全上もっとも危険な地点であったことは当然認識されていなければならなかったはずですが、その対策は行われておりません。
 河川管理責任者としての東京都の責任とともに、管理を委託した首都高への監督責任も、あらためて問われています。 よって私たちは都に対し、今回の水害被害について以下の対策をとられるよう強く要望します。

                      

1.7月30日の首都高による説明会にとどめず、都として今回の水害被害の原因の究明と責任の所在を明らかにし、住民への説明を行うこと。

2.被災住民・商店・中小企業などの生活・営業の被害に対する補償を、首都高に対し指導すること。都としても激甚災害法の適用を国に求め、もしくはそれに準ずる措置をとるなど生活・営業の再建への支援策を講じること。

3.首都高への管理委託のあり方を見直し、監督・指導を抜本的に強化するとともに、随時立ち入り調査を行い、溢水した護岸の嵩上げや補強を、他の工事に優先して直ちに行う等の緊急対策を実施させること。

4.石神井川全体の危険箇所を総点検し、上流地域から雨水を河川に流入させないための総合治水対策による地域の浸透機能の向上や貯留施設の整備、下水道本管やポンプ場などとともに、長期的には合流式下水道の分流式への改善などで、下流地域に負荷のかからない対策を講じること。
 2010年7月23日
   日本共産党 前都議会議員 そねはじめ
     同   北区議会議員団 

首都高速道路株式会社への申入れ

首都高速道路株式会社御中

7月5日に北区堀船・豊島地域で発生した水害に関する質問と要望書

2010年7月23日     日本共産党 前都議会議員 そねはじめ

                  同   北区議会議員団

 去る7月5日に発生した北区堀船・豊島地域の水害被害は、首都高王子線建設工事に伴う石神井川付け替え工事が行われていた区間の、溝田橋直近の下流護岸から大量の河川水が溢水したことによるものです。
 護岸沿いのたばこ産業、京北倉庫一帯や明治通りまでが湖の如く冠水し、そこからさらに明治通りや旧キリンビール通り、補助88号線沿いなどにも流出して、堀船・豊島地域一帯に深刻な水害被害をもたらしました。床上浸水は230棟、床下浸水は223棟にものぼり、商店や中小企業の営業も多大な影響を受けました。
 堀船地域では平成17年9月にも、御社が施工した嵩上げ護岸のI型鋼が崩落し、水害被害を受けています。

 その際、当初は「50ミリを越える予想外の降雨による自然災害であり、見舞金で対応する」との御社の姿勢でしたが、管理を委託していた東京都の調査と指導によって、コスト削減のため現場の余材を使った違法な護岸かさ上げ工事や、ボルトの腐食などの施工不良を認める最終報告を提出し、これを機に一定の経済的補償がなされ、都の指導により護岸整備の修正や防災計画の見直しなどが行われました。

 こうした経過にもかかわらず、今回再びの水害被害を被った住民からは、「二度も被害にあうのは5年前の教訓が生かされていないからだ」「自然災害というが、到底納得できない」「川の付け替え工事、首都高の工事の影響があるのではないか」「集中豪雨はこれからも起きる可能性がある。対応が不十分だ」などの厳しい批判が寄せられています。

 今回の石神井川護岸の溢水は、北区の説明によると、溝田橋下流の右岸約70メートルにわたり発生したとされますが、この箇所は、護岸高5、6bであり、下流の5.8bより20センチも低く、上流の護岸が6、5〜7bで、前回事故により護岸の強度を増すなどの対策がなされた事を考えると、安全上もっとも危険な地点であったことは当然認識されていなければならなかったはずですが、その対策は行われていませんでした。

 現在この個所には土嚢が積まれており、北区は御社から「現場の資材を緊急に活用した」と説明されたとしていますが、前回の事故後対策に比べ、きわめて見劣りする内容に、強い疑問を感じざるを得ません。

 よって私たちは御社に対し、今回の水害被害について以下の対策をとられるよう強く要望いたします。
                   

1. 7月30日の説明会までに、今回の水害の原因究明と責任の所在を明らかにして下さい。そのためにも以下の点を解明してください。

(1)5年前の水害事故の後、都の指導で護岸整備計画の修正と、防災計画の見直しを行ったと聞いていますが、その対象範囲に今回の溢水場所は入っていましたか。入っていたならば、どのような護岸とし、どのような防災対策をこの場所に施すとされていたのですか。

(2)前回事故があった場所の事故後の修理を下流側に延長し、今回の護岸も1メートル程度の高さのかさ上げを実施していれば、溢水はかなり防げた可能性があると考えますが、どうですか。

(3)溢水個所のさらに下流で都の管理・施工による護岸整備が行われ、その護岸の高さ(A.P.5・8メートル)と今回の溢水場所の高さ(5・6メートル)をすり合わせる鋼材によるかさ上げ工事が途中で停止されていますが、その時期はいつで、理由は何ですか。

(4)水害発生後に土嚢を積んだ理由は、次の水害を防ぐためですか。それならなぜあの程度の高さにしたのですか。

(5)平成9年に行われた水流模型実験の結果でも、50ミリ降雨で川の水位が護岸の上端に最も接近すると想定されたのが、前回の事故発生地点と、次が今回の発生地点でした。にもかかわらず、なぜ今回の場所が最も低い高さ(A.P.5・6メートル)で残されたのですか。

(6)この場所で20年にわたり高速道路建設に伴って石神井川の付け替え工事が行われてきたことが、今回の水害にも影響を及ぼしているという認識はありますか。

2.護岸工事における安全対策上の不充分点を率直に認め、今回の被災住民・商店・中小企業などの生活・営業への被害に対する補償について誠実に検討し、地元の要望に応えることで、御社の責任を果たすよう要請します。

3.本来、一級河川の護岸は、都道府県が直接管理すべきであり、ましてや石神井川のように、集中豪雨のメッカとも言うべき練馬区をはじめ、いくつもの自治体を流域とする都市河川の場合には、上流での降雨が全て下流の北区堀船地域に集中し、大きな水害の危険をもたらすことを考慮すれば、御社が高速道路工事の長期間にわたって、工事区間の護岸整備全般に渡る管理責任を果たすことは、きわめて困難になっていると考えます。現行の管理委託方式についての見直しを都に求めるべきです。

4.溢水した護岸を含め溝田橋下流両岸について、直ちに上流と同等以上の嵩上げや補強を、他の道路工事などを後回しにしても、直ちに実施するよう強く要請します。

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