「・・・翠・・・珀・・・痛みはもう無いのか?」
「・・・は、はい・・・もう大丈夫です・・・」
「それよりも鳳明さんはどうなんですか?」
「俺は・・・体調は異常なまでに良くなった。・・・お前達のおかげだな」
事が終わり、体の汚れを水で洗い清めた後、布団で横になっていた時ふと俺はそんな事を聞いていた。
「・・・良かった・・・」
「なあ、ところで・・・どうして外で出されるのを嫌ったんだ?」
「えっ?・・・そ、それは・・・契約の為です。鳳明様・・・」
「契約?」
「はい、感応能力の契約を行うには異性同士が交わっただけでは駄目なんです。御互いの体液が交換されてそれで初めて契約が行われた事になるんです。・・・それに・・・もう一つ個人的な理由もあるんです・・・」
「個人的な?」
「はい・・・」
そこまで言うと二人とも顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「・・・言いたくないのなら、これ以上追及する気は無い。それよりもそろそろ寝ろ。お前達、相当疲れただろうから」
「鳳明様・・・そ、その・・・ここで寝てもいいですか?」
「その・・・昔も寝たじゃないですか?ですから・・・」
「・・・」
俺は軽く笑うと、「勝手にしろ」と一言だけ言った。
夜も相当更けた。
今俺の両隣には翠と珀が本当に幸せそうな表情で寝ていた。
「・・・翠・・・珀・・・すまない・・・」
そうぼそりと呟くと、二人を起こさないように部屋をそっと出た。
庭にでるとそっと月明かりを見上げながら半ば無意識に自分の胸に手を当てた。
「・・・やはり感応をもってしても・・・押さえ込む事は不可能か・・・」
そう、翠と珀の感応能力はかなり強力だった。更に言えば二人掛りで行ったのだ。
しかし、それでも俺自身に残された時間は短い。
この魔眼の呪いは俺の想像を絶する強さを誇っているようだった。
「・・・しかし、時間は出来た」
それでも俺の時間は多少、延びた。
それこそ、三日が二月強に延びたに過ぎなかったが、それでも今の俺には充分すぎる時間だった。
そう、あの妖術師の息の根を止め、この職を辞し、七夜の森で法正に当主の座を譲るのは充分すぎる。
(その後は・・・その後はどうする?・・・多分死ぬかな?・・・馬鹿馬鹿しい。その後はその後だ。俺は俺らしく後悔の無いように進もう・・・)
一人ふふっと笑った。
と、そこへ
「七夜殿も月見ですか?」
「?・・・ああ、これは紫晃殿」
俺の後ろに何時の間にか紫晃が立っていた。
「やはり眠れないのか?」
「はい・・・眼の前でお師匠が殺されたというのに私は何も・・・」
「それは違う。あれにはどうしようもない。酷な言い方だが、貴女ほどの腕では返り討ちが関の山だ。復讐心は持ちすぎればろくな結果を生みはしない。自重する事だ」
「はい・・・ところで七夜殿、声が大きすぎましたよ」
「!!」
俺は微かに紅潮するのを自分でも自確していた。
「・・・聞いていたのか?」
「はい・・・最も私は途中からでしたけど。まあこの様な展開になるのは目に見えていましたけれど」
「?」
「だって翠様も珀様もお師匠には儀礼的な挨拶でしたのに、七夜殿には満面の笑みを浮かべて・・・」
「そうか・・・」
「すみません余計な事を・・・ですが七夜殿とお話が出来て少し気が楽になりました。私もそろそろお休みさせていただきます」
「ああゆっくり休まれるといい」
そんな会話を最後に俺と紫晃は別れた。
「どちらにしろ明日の事に思いを馳せるのは今日生き残る事が最低条件だからな・・・さっさと寝るか・・・」
後書き
今回はかつて技量不足であえて書かなかった十八禁場面を出す事にしました。
(多少は読めるものになったと思いますので・・・)
ただ、そう言ったものを嫌う方がいる可能性がありましたのでその場面のみ切り離して、本篇はそれ無しでも話として成立
させる様にしましたがどうでしたでしょうか?
また中篇では先生までも出してしまいました。
この人もレンと同じく出る予定は無かったんですけど・・・
本当にこのゲームのキャラは強いです(苦笑)
次回の五話から志貴の方でもバトルシーンを出していきます。
またその際にオリジナルの武器や技を出しますので楽しみにされる方は楽しみにしてください。