「おい金ぴかよ、さっき升を叩き壊していたが何か不満があるのか?」

先ほどの士郎に対する行動などまるで見ていなかったかのように的外れな事を口にするライダー。

そん名ライダーのあまりにもドライな対応に憮然とした表情をするアイリスフィールと唖然とした表情のウェイバーだったが、最大の被害者である士郎が表情を変える事もない為、口出しする事も出来そうにない。

「何か不満だと?あるに決まっている」

それに応じるアーチャーもまた先程の行為など忘却の果てに追放したかのように振舞う。

「??何が不満なのだ?まあここは酒盛りするにはいささか寂れた所であるが、その分余らがおるのだから問題でもあるまい」

「戯けが無知蒙昧が、王の器を問うために用意されたのがこの劣悪な安酒だと言うか?無礼にも程があろう」

「劣悪な安酒??」

アーチャーの暴言にライダーは首を傾げていたが、おもむろに自らの手に持つ枡でワインを汲むと再び一気に飲み干す。

「・・・そうかのぉ、この界隈じゃあ中々の一品じゃと思うのだが・・・おぉい!エクスキューター悪いが飲んでみてくれんか!」

「ちょっと待てライダー」

突然のライダーからの指名に士郎は素で突っ込んだ。

「?どうかしたのか?」

「本気で疑問だなって顔するな。何故完全な部外者である俺に振る。」

士郎の疑問にライダーはさも当然と言わんばかりに

「そりゃお前が完全な第三者だからよ。余とセイバー、それに金ぴかは王であるから此度の問答の当事者、そしてうちの坊主とセイバーのマスター、それに後ろにおる小娘では中立性は保てまい」

「あのなぁ・・・俺がここにいる時点でセイバー寄りだとは思わないのかライダー」

「その割にはセイバーになにやら邪険に扱われているように見えたが」

見ていないようでしっかりと見ているライダーに思わず顔をしかめる士郎だったが、これ以上の問答は無駄と悟ったのか、ため息一つついて自分用の升を投影すると一口分だけワインを掬うとそれを一息に飲み干した。

量が少ないとはいえ、その飲みっぷりは一応及第点に至った様で、

「おおっ良い飲みっぷりではないか」

ライダーは素直に賞賛し、

「・・・」

セイバーは賞賛はしない、だが非難もせず、ただただ我関せずとばかりに無表情を貫き、

「・・・ちっ」

アーチャーは心底不快だと言わんばかりに、わざと聞こえる様に舌打ちをする。

「・・・」

そんな賞賛・無関心・不快の中、しばし、眼を閉じて味覚に集中していた士郎だったが、

「・・・最高級品だと言う気はないがこいつを劣悪な安酒というのは誹謗しすぎだと思うが」

やがて下した評価は無難といえば無難なものであった。

それを鼻で笑いながら。

「はっ、所詮は無知な贋作者(フェイカー)よ。本物の酒を知らぬからそのような戯言をほざけるというものだ」

そう言いながらアーチャーの背後の空間が揺らぎ始める。

それが序盤戦でいやというほど見せ付けた無数の宝具が出現する前兆とである事は火を見るよりも明らか、ライダーと士郎以外は緊迫した面持ちで身構えるが、空間から出てきたのは剣でも槍でもないただの酒器だった。

黄金の瓶に、宝石がさり気無く散りばめられた杯が三つの。

その杯に瓶からは輝くような澄み渡った琥珀色の酒が注がれる。

「これは王からの慈悲だ。とくと味わい思い知るがいい。これこそが王にふさわしき酒だとな」

「おおこれは重畳」

そんなアーチャーから差し出された酒を躊躇することなく・・・むしろ嬉々として手にするライダー。

セイバーもはじめは躊躇っていたのだが、王の器を問うこの問答で酒を拒否するという選択肢はないのか結局拒む事無く受け取った。

それと同時であろうか

「うおっ!!こりゃあ美味い!!」

歓喜に満ちた喝采の声がライダーの口から発せられ、それに釣られる様に、セイバーも杯に口を運ぶ。

酒が口内に運ばれた瞬間今まで味わった事のない幸福感がセイバーの体内で爆発する。

それは口内からのどに注ぎ込まれると最高潮に達し、その味は筆舌に尽くせぬほどの美酒でその美味さのあまりに嗅覚や味覚は無論の事五覚悉くが吹き飛ぶほどのものだった。

「すげぇなこりゃ!!人の手で作られたもんじゃねえだろう、よもや神代の代物かこりゃ」

ライダーの賞賛をさも当然と言わんばかりに自分の杯を傾けるアーチャー。

座る場所もいつの間にやら上座に移動している。

「当然ではないか。我の宝物庫には最上の代物しか置いておらぬ剣であろうが酒であろうがな。これで判ったであろう王としての器の大きさが」

「ふざけるなアーチャー」

酒に一瞬だけ自分を見失いそうになりながらもアーチャーの言葉を聞き逃す事が出来なかったのだろう、セイバーが凛と喝破する。

「酒で王の器を計る等聞いて呆れる、そもそも戯言は道化の役割だ」

「はっ、さもしい事この上ないな。宴席、それも王の器を計る場に酒はおろか肴の一つも供せれぬ輩こそ王の名に相応しくないのではないか?」

セイバーの剣幕に顔色一つ変える事無く、アーチャーは鼻で嗤いながら一蹴した。

「こらこら双方とも、言い分がつまらぬぞ」

アーチャーの嘲笑に言い返そうとしたセイバーをライダーが遮る。

不服そうな表情で口をつぐんだセイバーを尻目にライダーはアーチャーに視線を向ける。

「アーチャー、この酒は至宝の杯に注がれるに相応しいまさしく極上の酒、だが我らが求める聖杯は酒器ではない。今行われているのは王の器を計る事もさる事ながら誰が聖杯を手にするか相応しいか問う聖杯問答、ならば貴様がどれほどの大望を聖杯に託すのかそれを聞かせてくれねば始まらぬ。貴様も仮にも王と名乗る以上はここにいる全てを魅せられる大言を吐けるのか?」

先程まで上機嫌で酒を煽っていたのと同一人物とは思えないほどの重厚な重みと深みのある声のライダーに不快そうに眉をひそめながら、

「雑種風情が我を差し置いて仕切るな。そもそも聖杯を『奪い合う』というこの聖杯戦争そのものが理を外しているのだぞ」

アーチャーの口から発せられた言葉に、怪訝そうに眉をひそめるライダー、セイバー、そしてそんな二人にあきれ返ったように嘆息しながら

「そもそも聖杯か?あれは我の所有物だ」

いきなり飛び出した爆弾発言に全員が言葉を失う。

「世界に存在する宝物の悉くはそもそもの起源は我の宝物庫に遡る。時が経ち過ぎていささかならず散逸したきらいはあるが、今もなお全ての宝物の主有権は我にある」

そんな声を失った一堂を尻目にアーチャーが当然のように言い放つ。

そんなアーチャーの演説が一区切りついた所でライダーが代表してアーチャーに問いかけた。

「アーチャー貴様、聖杯が自分の所有物と言うたな。じゃあ貴様聖杯を持っていた事があると言うのか?その正体を知っておるというのか?」

ライダーの追及に対するアーチャーの答えは一同をさらに絶句させるに十分なものだった。

「知らぬ」

アーチャーはライダーの問いかけにただこの一言で否定してのけた。

「知らぬ??そりゃどう言う事だ?聖杯は貴様の所有物だと今貴様自身が言っておったであろう、にもかかわらずそれを知らぬとはどう言う事だ?」

「雑種共の尺度で物事を測るな痴れ物が。我が財の総量は当の昔に我の認識を超えている。だがな、『宝』があるというのであれば、どのようなものであれ我が財。それを勝手に持ち出しあまつさえ所有権を競い合うなど盗人猛々しいにも程があろう」

そんなアーチャーの返答にセイバーが呆れ返った。

「聖杯を己が所有物と断言するからどう言う事かと思えば、貴様の言はキャスターの世迷言と大差ない。どうやら錯乱したサーヴァントはもう一人いたようだな」

「いや、それはどうかな」

セイバーと違いライダーはアーチャーの暴言に怒りも呆れもしていない。

それ所か一人合点が言ったとばかりにしきりに頷いていた。

いつの間にやらアーチャーの酒を強奪して我が物顔で次々と飲み干している・・・どう言う訳か士郎に酌をさせながら。

アーチャーもその光景に一瞬だけ視線を向けていたが、すぐに視線を移す。

関心を向ける価値も無いと判断したのだろう

「なーんとなくじゃがこの金ぴかの真名、心当たりがあるぞ余には。まあ考えてみればイスカンダルたる余よりも頭も態度もでかい段階で思い当たる名は一つだけじゃったがな」

こちらもさらりと飛び出した爆弾発言に今度はアイリスフィール、舞弥、ウェイバーまでもが耳をそばだたてるがライダーはそれを素知らぬ顔でスルーするとアーチャーに再び問いかけた。

「では何か?アーチャー、聖杯を欲するのであれば貴様から承諾を受ければ問題は無いと言う事か?」

ニヤニヤ嗤いながらそう嘯くライダーを射殺しかねないほどの鋭い視線で射竦めるアーチャー。

「然り。だがな、貴様らのような雑種に我が財を下賜せねばならぬ理由がどこにある?」

「貴様・・・もしかしなくてもケチか?」

「戯言も程々にしておけ、我の恩情を受ける資格を持つのは我が朋友と臣下、そして我が国の民のみ。それ故に」

そこまで区切ってからアーチャーはライダーに微笑を向けるが、その微笑には温かみは一切無く嘲笑と呼んだ方が相応しかった。

「それ故にライダー、そしてセイバーよお前達が我の膝下にひれ伏すというのであれば杯の一つや二つ下賜してやらぬ事も無いがどうする」

「そりゃあ出来ぬ相談だのう」

どこまでも見下したアーチャーに声を荒げそうになるセイバーの機先を結果として制する形でライダーが帰す刀で拒絶した。

その割にはライダーの表情には覇気は無く、顎鬚をしごきながら首を傾げていた。

「つまりはこう言う事か?アーチャー、貴様には聖杯を求める理由は無い。聖杯に願う願望も無く聖杯戦争に参戦したと言うのか?」

「無論、だがな、我の財を狙う俗にしかるべき処断を下さねば王の沽券に係わる。すなわち筋道の問題よ」

「筋道か・・・つまりは」

そう言い掛けてライダーは杯に残っていた酒を飲み干してから士郎に再び注がせ、注ぎ終わった所で言葉を続けた。

「つまりは何だアーチャー、お主の筋道とはどのような義があり、どのような道理があると」

「法だ」

ライダーの問いに対するアーチャーの答えは簡潔極まりなかった。

「我が王として敷いた我の法だ」

その答えにセイバーの柳眉が逆立ったが、ライダーは感服したとばかりに大きく息を吐いた。

「・・・自らの法を貫き通してこそ王・・・認めざるおえないな、貴様もまた王よ。それも完璧なだ」

ライダーの降伏宣言とも取れる台詞にアーチャーは傲慢な笑みをさらに深いものとする。

だが、そこで終わらないのがライダーというべきか、すぐにいつもの不敵な笑みを取り戻し

「だがのぉ~余は聖杯が欲しいのさ。欲しくて欲しくて仕方が無いのさ。でだ、欲した以上は略奪してでもこの手にするのが余の流儀、なにしろ余はイスカンダル、征服王であるが故に」

アーチャーを目の前にしての大胆不敵な挑戦宣言であったが、アーチャーは怒りはしなかった。

その代わりに絶対零度の殺意の笑みの片鱗を眼にだけ浮かべ

「ほう、なるほどな・・・そうであるならば非もあるまい。お前が我の法を犯し我の財を奪おうというのであれば、我は法をもって貴様の流儀もろとも裁きの鉄槌を下すまで。問答の余地は無い」

こちらも大胆不敵にその挑戦を受けてたった。

「なるほどな、であれば後は剣を交えるのみよ・・・だがな、アーチャーまずは此度の問答を終わらせてからにしようか、殺し合う事はいくらでも出来るというのも」

「当然だ。それとも貴様、我の格別の恩情を捨て置くとでも言うのか?」

「それこそ冗談であろう、このような美酒一滴たりとも捨て置けるものか」

仲が良いのか悪いのか判断に困るような交流を続けるアーチャーとライダーだったがそこに今まで置き去りにされていた三人目の声が割り込んだ。

「征服王、貴様は自称であるにしても聖杯の所有権が他者にあるという事を認め、それを承知の上でそれを力ずくで奪うというのか?」

声は静かであるが言葉の節々に棘があり、アーチャーとライダー二人の手前勝手な論法にフラストレーションが相当溜まっているのが誰の眼にも明らかだった。

「ん?当然であろう。余が敷いた王道は『征服』、すなわち『侵し』、『奪う』・・・この一点に始まり、この一点で終わるのだからな」

問われたライダーの返答は世の絶対真理を解くかのような自身に満ち溢れていた。

それに対してセイバーは表情を変える事は無かったが、わずかに握り締められた拳が震えているのを士郎は見逃さなかった。

(相当きているな。こりゃ下手に刺激を加えれば一気に爆発するな)

そう判断しても第三者に過ぎない士郎にそれを止める術は無い。

そんな士郎の内心を知らずにセイバーは重ねて問いかけた。

「征服王、そこまでしてまで何故聖杯を求める?聖杯に何を求める?」

その問いかけにライダーは表情を変えた。

それも全員の予想外の形に。

ライダーは照れくさそうに笑うとまずは杯の酒を一気に飲み干してから再び士郎に酌をさせてそれから答えた。

「受肉だ」

一瞬全員の時間が止まった。

聖杯を使いそのような事を願うなど予想すらしていなかったのだろう、マスターであるウェイバーに至ってはパニックのあまり思わず詰め寄ってしまった程だ。

「お、おおおおお前!どう言う事だよ!受肉って!!世界征服が目的じゃ・・・ぎゃわ!!」

やはりというのかお約束というのかデコピンでマスターを鎮圧する。

「馬鹿者、杯に世界を獲らせ、それを譲り受けてどうして血が滾ろう、胸が躍ろう。征服とは己が身で成し遂げ、己自身に託す夢、聖杯に願うのはその為の第一歩だ」

「・・・雑種、貴様よもやと思うがそのような本末転倒な事の為に我に、我が敷いた法に挑もうと言うのか?」

さしものアーチャーもライダーの願いは予測の範疇外だったのだろう、唖然とした表情で問いかけるが当のライダーはどこまでも真剣そのものだった。

「本末転倒?何を言っておる。考えても見よ。我らはサーヴァントマスターの魔力で現界しているいわば闖入者のようなもの、貴様はそれで満足するのか?余は不足だ、不満だ!!今の世に現界した以上、余は一個の生命として根を下ろしたいのだ」

その言葉は誰の耳にもこれ以上ないほどライダーの本心がひしひしと伝わった。

「何でだよ・・・なんでそこまで受肉に・・・肉体にこだわるんだよ」

思わず問いかけたウェイバーの脳裏には今までのライダーの奇癖・・・常に実体化を好み霊体化をこれでもかとばかりに拒み続けていた事を思い出す。

ライダーの言うようにこの聖杯戦争に壊れて呼ばれたサーヴァント達はいわば現象、人と同じように喋り、着飾り飲食が出来たとしても本質は幽霊に過ぎないとは言え、ライダーの態度は徹底していた。

その時はウェイバー自身ライダーの気まぐれかわがまま程度にしか考えていなかったが。

「それこそが『征服』のみならず全ての基点であるからだ」

ライダーは己の 節くれだった手を握り締めてその拳をじっと見つめていたがすぐに呟く様にどこか己に言い聞かせるように呟いた。

「己の身体一つで我を張り、天と地この世界全てに挑みかかる。それこそ『征服』という行いの始まり、自らの身体だけを頼みに始め、推し進め、最後には成し遂げる、それでこそ我が覇道は成就される。しかし、今の余はその基点である肉体すら事欠く有様、それでは何も始める事も出来ぬ。誰に憚る事もないイスカンダルの肉体を得なければならぬ」

この問答でこれ以上無いほど真摯に、だが、静かな声で自らの願いを語るだライダーにアーチャーは何か言うでもなくただ静かに杯を傾けていたがその口元は明らかに今までのそれとは違っていた。

見下すような嘲笑ではなく同じ土俵上に立つ事を認めたような・・・判りやすく説明すれば自分の目の前に現れた侵入者を、待ち焦がれていた対等な挑戦者と認めた絶対王者の笑みというのがもっとも近いのかもしれない。

それは嘲笑しか見ていなかった一同からしてみればその笑みは背筋が凍りつき砕け散るような今まで体験した事もない悪寒を覚えさせるに十二分なものだった。

「決めたぞライダー・・・いや征服王、貴様は我がこの手で殺す。貴様は我が審判を下すに値する賊だ」

「ほう、ようやく貴様のお眼鏡に叶ったと言う事か。だが、貴様こそ覚悟して置けよアーチャー。聖杯のみならず貴様をぶち殺した暁には貴様の宝物庫からその全てを奪い尽くしてやるからな。これほどの美酒の味、余に教え込んだ事を後悔させてやるぞ」

確かに笑い合っていると言うのに、アーチャーとライダーの周囲には緊迫とした空気が満ち溢れ、火花が言っているような幻想すら見えた。

そんな和気藹々と言うのか一触即発というのか判断に困る空気を作り出していた二人だったが、この酒宴に参加していながら笑みすら浮かべていない三人目がいる事を覚えているだろうか。

セイバーの胸中は憤懣やるかたない思いで満ちていた。

王道を問う、その明文を信じ自らの信じる王道を堂々と掲げる気でいたセイバーにとって、ライダーとアーチャー、二人の遣り取りに入り込む余地はなかった。

二人のそれがどうしようもなく正しかったのではない、どうしようもないほど彼女の奉ずる王道からかけ離れたものであったからだ。

国の為でも民の為でもなくただただ、己の為のみ。

セイバーは胸中で二人をそう断じた。

清廉を旨とするセイバーにとって二人の論法は暴君のそれに過ぎなかった。

アーチャーはもとより論外、ライダーは武人として個人としての潔さは認めるしかない。

だが、それを差し引いても詰まる所は己の欲より端を発したものでしかない。

自分がその胸中に秘めた願いとは比べようのない・・・いや、比べる事もおこがましい自分本位の願いばかり・・・

今参戦しているサーヴァントの誰であろうとも聖杯を譲る事は出来ないが、とかくこの二人には負ける訳には行かない。

「おうそういえば忘れる所であった。セイバーまだ貴様の本音を語ってはおらぬが貴様はどうなのだ?」

そんな内心の決意を知ってか知らずか、ようやくライダーに水を向けられてセイバーは静かに二人の暴君に向き合う。

自らの願いこそ至高であると、我が王道こそ真に誇るべきものであるとそう信じセイバーは自らの願いを口にする。

「私は」

そしてそれは

「我が故郷の救済を願う」

この聖杯問答の本当の意味での

「万能の願望機をもってして我が祖国ブリテンの滅びの運命を変えてみせる」

ゴングを鳴り響かせた。

ActⅢ-Ⅵへ                                                                                             ActⅢ-Ⅳへ