可能な限り秘匿戦力として表に出す事の無い事を基本方針としていた士郎達が何故動いたのか?

やや時を遡る。

『ならぬ、ランサー令呪を持って命ずる、バーサーカーと共にセイバーを討て』

その台詞を耳にした瞬間、士郎は事態がのっぴきならない程追い詰められた事をはっきりと自覚した。

「爺さん」

短く士郎はマスターであり養父に呼びかける。

『士郎・・・』

それに応じる切嗣の声は苦りきっていた。

「・・・世の中何が起こるか判らない、だからこそ面白い・・・至高の名言だと思わないか?」

士郎の突然の言葉はこの現状と全く関係のない雑談の様にも聞こえるが、それは意味する所を切嗣は正確に理解していた。

『・・・動くしかないのかい・・・』

「・・・正確に言えばいくつか打開策の案はあるが、その中で最善だと思うのは俺が動いて事態を更に動かすしかないと思う」

確かに士郎の頭の中には打開策は三つ存在した。

まず一つは士郎自身が動きこの事態を再び混迷に持っていきどうにか幕引きさせる。

二つ目はランサーのマスターであるケイネスをこの時点で暗殺しランサー陣営の混乱を呼び込み、上手くセイバー達の撤退を援護する。

そして三つ目はこの際セイバーを切り捨ててアイリスフィールの保護を優先する。

どれも当然だが、長所、短所がある。

二つ目は成功すれば当然ランサーは脱落させるだろうし、成功しなくてもあのマスターの今までの言動から予測して自分の護衛にランサーを呼び戻す可能性がある。

そうなればどちらにしてもランサー陣営はセイバーを討つ所の騒ぎではなくなることは間違いない。

バーサーカーだけならば負傷したセイバーでも撤退出来る。

しかし、その反面、ケイネスが暗殺された事でランサーが不退転の決意の元、せめてセイバーの首級だけでも捧げようと決死でセイバーを討ちに来るかもしれない。

(いや、ディルムッドの性格からして十中八九そうするな)

そうなればセイバーの敗退は不可避、ケイネスを暗殺できただけで何も得る物は無かったと言う結末に終わるだろう。

また暗殺に失敗した場合でも、ケイネスが激昂して暗殺しようとしたこちらを見つけようと躍起になる可能性もある。

そうなって見つかれば最悪だ。

自分達と言う秘匿戦力が暴露され何も得る物は無かったという、目も当てらない結果を生むだけだ。

また三つ目を選択すればセイバーと言う最優のサーヴァントを失うが、そもそも、士郎達の目的は聖杯を手にする事ではなく聖杯戦争そのものを終焉させる事にある以上、むしろ枷も無く自由に秘密裏に動く事は歓迎すべき事だ。

アイリスフィールも教会に保護して貰えば万事問題は無い・・・筈だった。

だが、そこでネックとなるのが昨日の遠坂邸での三文芝居。

あれを見た士郎と切嗣は共通の疑惑を抱いていた。

『監督役と遠坂は秘密裏に通じているのではないのか?』と言う深刻な疑惑を。

そしてそれはアサシンの生存を確認した時点で更に深刻なものに変貌を遂げていた。

更にはアサシンが生存していながら、アサシン脱落と申告して教会に保護を申し出たのは遠坂時臣の弟子であり監督役の息子。

余りにも出来過ぎている、裏に何かあると勘ぐるのが自然だ。

そんな所にアイリスフィールを預けるなど正気ではない、リスクが大き過ぎる。

そんなメリット・デメリットを天秤に乗せて判断し最もまだましな結果を生みだせる可能性があるのが士郎が動く事だった。

『・・・仕方ないか・・・僕もそれが一番ベターだと思う。士郎、アイリとセイバーの援護を』

「ああ、でも・・・出るとなればそれ相応の収穫も分捕ってくるさ」

切嗣の心労を労わる為かあえて軽い口調で言う士郎に切嗣も微かに表情が綻び、口調もやや軽くなる。

『頼む。アイリには僕から伝えて置く』

「うん、頼むよ爺さん。じゃあここからは再び念話で」

そう言ってからインコムを外しコンテナに置くと躊躇いも無く跳躍した。

今まさにセイバーに躍り掛かろうとするランサー・バーサーカーに狙いを定めて、

「投影開始(トレース・オン)」

生前から、そして今でも最も篤い信頼を置く宝具を具現化させて

「猛り狂う雷神の鉄槌(ヴァジュラ)!」

解き放った。








「むう・・・」

ランサーのマスターの死刑宣告を耳にした瞬間、それに誰よりも不快感をあらわにしていたのは完全な蚊帳の外にいる筈のライダーだった。

「おい、坊主乗れ」

ほんの数秒だけの思考の後、ライダーはマスターである少年・・・ウェイバー・ベルベッドに声をかけた。

「は?」

一瞬何を言われたのか理解できなかった彼にライダーは深刻な表情で告げた

「あれではセイバーとして長くはもつまい。脱落は時間の問題よ」

「そ、それならそれで良いじゃないかよ、早くもセイバーが脱落なら」

自分達が討ち取れないのは残念だが、全サーヴァント中最優のセイバーが早くも脱落するのだ。

歓迎はしても自分達に拙い状況など生み出す筈がない。

だが、ライダーは違う認識を持っていたようで、

「たわけ!あのような戦場の華、あのような無粋極まりない横槍で散らせるなどあまりにも惜しいわ!それにそのような横槍の片棒を担がされるランサーもあまりに不憫よ!」

「はあ、なんだよそれ!僕たちがやっているのは戦争だぞ戦争!」

「そんな事判っておるわい!だからこそよ!」

「何がだからこそって・・・ふげっ!」

更に言いつのろうとしたウェイバーだったが、やはりと言うべきなのかライダーのデコピン一発でカエルが潰れたような声と共に弾圧された。

「良いから行くぞ!」

そう言ってウェイバーを小脇に抱え御車台に乗り込もうとした瞬間、

「投影開始(トレース・オン)」

「!」

聞き慣れぬ、だが聞き慣れた声がライダーの耳朶を打った。

頭上を見上げれば見慣れぬ・・・いや、見慣れた人影がいる。

この時、ウェイバーは未だライダーのデコピンの痛みに悶絶しており気付かなかった。

いや、この場にいた全員が気付かなかった。

ライダーの表情が不敵な、だが懐かしそうな笑みを浮かべていた事を。

 

士郎の手から解き放たれた鉄槌は真名通り雷となりランサー、バーサーカー目掛けて降り注ぐ。

咄嗟に離脱したランサーだったがバーサーカーは離脱などせず『猛り狂う雷神の鉄槌(ヴァジュラ)』を躊躇いなく二本の鉄棒を振るい、叩き落とそうとしたがそれは失敗に終わる。

「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)」

士郎の詠唱と共にバーサーカーの至近で『猛り狂う雷神の鉄槌(ヴァジュラ)』は爆発。

これだけの近距離では防御もへったくれもあったものではなく、バーサーカーは

「!!!!!!!」

言葉にならぬ咆哮をあげて吹き飛び、コンテナを次々と破壊しながら夜の闇に呑み込まれていった。

「おー、飛んだ飛んだ」

音も無く着地しながら意識しての軽い口調で軽薄な台詞を口にする士郎。

そんな士郎を全員警戒した面持ちで見やっていた。

バーサーカーを吹き飛ばすほどの破壊力を誇る攻撃、どう考えても普通の人間ではない。

十中八九サーヴァントだろう。

今まで既にセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、バーサーカーがその姿を晒している。

アサシンは既に脱落している以上消去法であのサーヴァントはキャスターと言う事になるだろう。

だが、肉弾戦は圧倒的に不利である筈のキャスターが何故前線に姿を現したのか?

それにその姿、黒のロングコートにやはり黒の服。

デザインから見ても太古のそれではない。

比較的新しい時代の英霊なのか?

だが、それだとキャスターのクラスの該当は難しいのではなのだろうか?

そんな思惑が交差する中、埒があかないと思ったのかランサーがおもむろに口を開く。

「貴公、何者だ?」

質問は極めてシンプルだったが、これしか言いようがない様子だった。

「何者と言われても・・・通りすがりのサーヴァントと言えば良いのか?ディ・・・ランサー」

思わず真名を口にしかけたので慌てて訂正する。

もはや真名は判明しているが、不用意に真名を口にして、士郎自身の事に関して不要なぼろを出しかねないと思い自重する。

「・・・質問を変えよう。何故に姿を現した?姿を現す事がどれほど危険な事が理解していないとも思えぬがな、キャスター」

本心からなのか、かまを掛けたのかは不明だがランサーは士郎の事をキャスターと呼ぶ。

それをあえて無視して士郎は返答した。

「いや、なに偵察でここに来たんだ、俺としてはどのサーヴァントが脱落しようが序盤戦が有耶無耶の内に終了しようが別に気にもしなかった。セイバー、ランサー、ライダーの真名も把握したし大収穫だったからな。ただ・・・」

そう言って士郎は彼には似合わない侮蔑の笑みを不器用なりに浮かべる。

「ただ、ランサーのマスターの戦争指揮っぷりがあまりにもお粗末、と言うかど素人としか言いようのない無様なもんだったから思わず教授をしたくなった。なんだあの指揮は。あんな事の為に令呪を使うって単細胞にも程がある」

その途端、先程ウェイバーに浴びせかけていた殺気を更に濃密にしたそれを士郎一人にぶつける

しかしこの程度、生前の数多の死線の中で浴びせられたそれと比べればそよ風にすら感じない。

故に士郎は失笑と酷評一つで受け流した。

「おいおい、姿隠して殺気を飛ばしたって怖くも何ともないぞ。それとも本心を暴露されて逆切れか?まあどちらにしても、それじゃあランサーと言う虎の陰に隠れて威張り散らす鼠じゃないか」

それにウェイバーは卒倒したくなった。

時計塔で神童とも呼ばれウェイバーからしてみれば恐怖と同意語である筈のケイネスを、ここまでこき下ろした人物など士郎が初めてだからだ。

『・・・ほう、言ってくれるではないか・・・たかがサーヴァント風情が』

「ほらそれだ」

しばしの沈黙の後絞り出すように吐き出されたケイネスの台詞を遮る様に士郎が呆れた声を出す。

「たかがサーヴァント風情、その言葉を出せる時点であんたがいかに聖杯戦争を舐めているのかがよく判る。そもそもマスターとサーヴァント、この関係は五分五分である筈だ。マスターがいなければサーヴァントは戦闘はおろか現界だって出来ないしサーヴァントがいなければマスターは一日持たずに死ぬ。両者は持ちつ持たれつであると思うんだが、俺の認識は間違いか?そこら辺はどう思う?」

『・・・・・・』

士郎の問い掛けに無言だけが返答だった。

「それに・・・俺はともかく、セイバー、ランサー、ライダー。誰も彼も生前から数多の修羅場を潜って来た歴戦の猛者揃いだ。本来だったら三歩後ろで影を踏む事無く、地べたに額擦りつけて教えを乞わなくちゃいけない程のな。それとも何か?ランサーのマスターあんたはランサーを上回る修羅場を経験した百戦錬磨なのかい?まあ違うだろうな。そうだったら子供の様に物陰に隠れている筈は無いか」

沈黙と抑えきれない程の怒気が辺りに満ちて行く。

『そうか・・・では・・・早速だが教授して頂こうではないか。セイバーを討てる絶好の好機に令呪を使わずしていつ使うのか・・・さぞかしご立派な智謀を持っているようだが』

最後の部分には嫌味と皮肉が込められていたが士郎は特に気にもする事無く、皮肉に皮肉で返した。

「智謀と呼べるほどご立派なもんじゃない、ほとんど悪知恵さ。俺がランサーのマスターだったらランサーの意を汲みセイバーと組んでバーサーカーと戦わせる」

その言葉に我が意を得たりとばかりに頷くのはライダー。

「判っておるではないか!戦場の華は愛でるに限るからのう!」

「いや・・・そんな高尚と言うかご立派な理由でセイバーとの共闘を言った訳じゃないんだけ・・・ど・・・」

ライダーの賛同に苦笑した士郎だったがライダーの表情を見て背筋が凍る感覚を覚えた。

ライダーのその表情・・・粗野であるが誰も彼も惹きつけてやまない豪放な笑みに思わず。

(まさか・・・ばれてる?)

確信は無いし証拠も無い、ましてやセイバー、アルトリアの様な直感も無い。

だが、こういう時の嫌な予感は嫌な程的中するのだが

(ま、まあ、所詮経験則に過ぎないしきっと今回は外れているな、気のせいだ気のせい。うん)

強引に自分にそう言い聞かせ、この件は考えない様にした。

「ほう、と言うと?」

そんな士郎の心境などお構いなしにライダーが質問を重ねる。

「あ、ああ・・・俺としてはあくまでもランサーは後衛に専念させてあくまでもセイバーの支援に徹しさせる」

「??それではあまり意味が無いように思えるがのう」

「そうか?ランサーの『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』でバーサーカーのなんでもかんでも宝具にするあの能力を防ぐ、隙を見つけて『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』で治癒不可能の傷を負わせる。それだけでも十分な援護になると思うが」

士郎の言葉にライダーはなるほどと大きく頷く。

ランサーの『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』のバーサーカーとの相性は先程見て判るとおり、それに加えて『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』は長期戦においてこれほど嫌な効果は無い。

そんな二つの宝具で支援される、相手にとってはこれほどの嫌な支援はそうそう無い。

「能力を封じられた上での徒手と剣での戦いだ、どちらが有利に事を運べるかなんて火を見るより明らかだ、上手くいけばバーサーカーを討つ事が出来る。そうでなくとも撤退にまで追い詰める事は確実な筈」

バーサーカーに更なる切り札があれば話は別だがと付け加える。

「で、バーサーカーを退場なり撤退させるなりした後で改めてセイバーと尋常な勝負をさせる。まあその時にはセイバーは連戦に次ぐ連戦で少なからず疲弊している筈、対してランサーは援護に徹しさせ可能な限り力を温存させる。それでだライダー、あんたに聞きたいがまともに考えてどっちの方が有利だと思う?」

「そりゃ無論ランサーの方じゃろう・・・むむ、そうなるとランサーのマスターは使わんでもいい令呪を使ったと言う事か?」

「そう言う事だ。少しここを使えば俺の様な半人前でも出てくる作戦が出てこないんだ。ど素人と呼ばずしてなんと呼べばいいんだ?なあランサーのマスター、是非とも学のない俺に教えてくれないか?」

苦笑し、ケイネスに殊勝に教えを乞う様な問いをする士郎。

だが、その表情と自分の頭部を指さしながらと言うその仕草、更には台詞とは裏腹のとことん相手をおちょくる様な口調、全てが台無しにしていた。

ケイネスから返答は一切ない。

自らの過ちに気付き恥ずかしさのあまり答える事が出来ないのか、ケイネスから見て侮辱されあまりの屈辱と怒りに言葉を発する事が出来ないのか。

おそらく後者だろうと士郎は内心で結論付けると更なる追い打ちをかけた。

「なあライダーのマスター」

「へっ?」

突然話を振られて今まで蚊帳の外だったウェイバーが素っ頓狂な声を出す。

「あんたに聞きたいんだが、あんたにとって令呪ってのはなんだ?」

「えっ、そ、そりゃたった三回しか使えないサーヴァントの絶対命令権であり各々の陣営が持つ最後にして最強の切り札だけど」

突然の質問に面食らった為だろう、頭が考えるよりも口の方が勝手に動いた。

「そうだな、少なくとも令呪を使用するのは、あらゆる知恵とあらゆる手段を尽くして、それでも打つ手がないと判断した時にようやく使う最終手段、使用には慎重に慎重を期して少なくとも衝動的に、まかり間違っても目先の功に焦って使用するなんて事は無い筈だよな」

「えっ?あ、ああそうだけど」

「なあ聞いたかい?ランサーのマスター、あんたさっき彼を凡才だとか凡庸だとか色々侮辱していたようだが、その凡人ですら理解している令呪の重要性に気付かずに令呪を浪費したあんたはなんだ?どうしようもない、救いようも無い愚者と呼べばいいか?」

士郎の言葉を聞いてようやくウェイバーは、自分がケイネスの挑発に一役買った事に気付いた。

だが、ウェイバーは間違った事は一つも言っていない。

もしも士郎がアイリスフィールや他のマスターに聞いても同じ事を言っただろう。

ましてや士郎達エクスキューター陣営にとって令呪は更に重要な代物、たった三回の宝具使用権でもある。

だが、士郎があえてウェイバーに話を振ったのは、先程ケイネスがウェイバーを侮辱していたからだ。

ケイネスが見下していたウェイバーでも判っている簡単な事を何故ケイネスが理解していないのか。

それを言外どころかストレートにケイネスに問いかけて。

『き、貴様ぁ・・・』

これ以上無い侮辱、屈辱を受けてようやくケイネスが発した声にはもしも声で相手を殺せたらと思うほどの殺意が滲み出ていた。

「ん、逆ギレか?教授してくれと言ったのはあんたの方だぞ、何をそんな・・・おっと、いきなり攻撃はどうかと思うんだが、ランサー」

士郎の言葉を遮ったのは真紅の一閃だった。

「そこまでにしてもらおうキャスター、我が主に対するこれ以上の中傷や誹謗、断じて見過ごす事は出来ぬ」

「いや、どちらかと言えば批評なんだがな、それとランサー、一応忠告。忠義、忠臣は大変素晴らしいと思うが、盲目に付き従う事が必ずしも主君の為になるとは限らないぞ」

「っ・・・」

士郎の言葉に思わず口を噤んだランサーだったが

『ええい!何をしているかランサー!セイバーの前にさっさとその無礼者を討ち取ってしまえ!!』

ヒステリックなケイネスのわめき声に弾かれる様に槍を構える。

「おいおい、徹底的に論破されて癇癪かそれも無礼者って・・・まるで子どもだな。と言うかやっぱり一度は挫折や敗北を知らないと人間成長はしないって事か」

そうぼやきながらその眼光をランサーに向ける。

「・・・苦労しているなランサー」

「苦労だなどと思った事は無い」

「・・・どんな相手であろうと仕えると決めた以上は主君か・・・相変わらず不器用だな・・・ディルムッド」

「??」

士郎が最後に発したランサーの真名には、懐かしさとどこか寂しさが声に混ざっていように思え訝しげに表情を歪めるが、身体は士郎をその槍で引き裂かんと地を蹴る。

士郎も内心で最後の最後で思わず声に感情を込めてしまった事に舌打ちしながら体勢を構え直す。

そしてランサーの一閃をぎりぎりで回避するや、曲芸の様に身も軽くランサーの肩に乗ると、そこを踏み台にして跳躍、いつの間にかセイバーに迫ろうとしていたバーサーカーに跳び蹴りを食らわせていた。

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