「た…ただ今戻りました…」

「お帰り、くん。おや?疲れているみたいだけど、どうしたんだい?」

「いえ…別に…」






炎舞う想い 2







 恨めしそうに二人を見るも、神田とロイは未だに睨みあっている。

 は溜息をつきつつ、コムイさんにロイを紹介した。



「コムイさん、彼が『焔の錬金術師』のロイ・マスタング大佐です。
 で、ロイ大佐。こちらが科学班室長のコムイさんよ」

「初めまして、ロイ・マスタングです」

「こちらこそ初めまして。コムイ・リーと言います」

Mr.リー。いつも私のがお世話になって」

「だからは俺のだって言ってんだろ!!」

「いやいや。くんの錬金術は重宝していますよ」

「ははっ。確かにの錬金術は凄い。私の部下にしたいくらいです」

「確かにくんは、何をやらせても完璧ですよ。ところで、Mr.マスタングはどのような錬金術を?」

「私の専門は焔ですね」

くんのように、土中の金属原子を使って練成などは?」

「出来なくもないですが、専門外です」



 明らかに神田を無視して会話を進めていくロイとコムイ。

 怒りのオーラを徐々に上げていく神田。

 その様子をハラハラしながら見ている

 明らかに関わりたくないと目線を逸らしている科学班メンバー。

 誰かこの中に、神田を宥める勇者はいないのか!?



「シカトとはいー度胸だな…」



 神田の怒りが静かにMAXになり、六幻を構えようとしたとき。

 じりりりりりりり

 電話の呼び出し音が鳴り、みんな一斉に電話を見る。

 偉いぞ電話!!そして電話をかけてきた見ず知らずの人!!

 キミに『ナシスタイミングで賞』を授けよう。

 良いぞ!天晴れだ☆

 はいソコ!ネーミングセンスがないとか言わない!

 それは私が一番知ってるから(自覚あり)



「はーい。コムイだよ♪うん、うん。判った。ありがとね。キミ達も気を付けてね」



 電話を切り、コムイは達を振り向く。

 コムイの表情は笑みが浮かんでるものの、目は真剣だ。

 恐らく任務に関する電話なのだろう。



くんと神田くんに任務だよ。イギリスの南部でイノセンスが見つかったんだって。
 今探索部隊が確保してるけど、近くにアクマがいるかもしれない。向かってくれるかな?」

「あぁ」

「判りました」



 短く答え、はロイの方を向く。

 そして申し訳なさそうに謝罪をした。



「ごめんなさい。セントラルに送っていくの、任務後になってしまいます」

「すまないね、Mr.マスタング。今いるエクソシストはくんと神田くんだけなんだ」

「と言う訳だ。テメェはここで大人しく待ってろ」



 と、嬉しそうに言う神田。

 任務はともかく、ロイと離れれる上にと二人きりになれるのが嬉しいのだろう。

 厳密に言えば二人ではないが、探索部隊の人達が神田に逆らえるはずがない。

 早速の手を取って任務へと赴こうとしたのだけれども…



Mr.リー。私も行っても構わないだろうか?」

「「「は?」」」

「私もアクマと言うものには興味がある。実際に行って確かめてみたい」

「で…でも大佐!危険ですよ!」

「それは賛成できないねぇ」

「足手纏いだ。ついて来んな」

「足手纏いにはならないさ。も私の強さを知っているだろう?」



 そう言われ、はロイの強さを思い出した。

 肉体的な強さだけでなく、戦術的にも長けているロイ。

 『あの』エドですらロイには敵わなかった。

 ロイはよりも強いのだろう。

 それでもには賛成できなかった。

 いくら強くても、イノセンスの適合者でない限りアクマを倒せないのだ。

 そしてロイはイノセンスを持っていない。

 不安がある以上、はロイを連れて行きたくなかった。



「今から行くのは戦場だ。戦場を知らない奴が行く所じゃねぇんだよ」

「残念ながら戦場を知っているんでね。アクマを破壊できなくとも、市民を避難させることぐらいはできる。
 どうだろうか?
Mr.リー」

「うーん…じゃあ今回だけ特別という事でどうかな?」

「「コムイ(さん)!!」」

「正直言って、人手は欲しいんだ。Mr.マスタングは強いんでしょ?だったら手伝って貰おうじゃないか。
 その代わり
Mr.マスタング。貴方もアクマ相手に無茶はしないでくれ」

「あぁ了解した」



 頷くロイに、コムイはちょっと待っててと言い、いったん部屋から出て行く。

 暫くして戻って来た時、その手には教団のコートがあった。

 それは紛れもなくエクソシストの黒いコート。



「とりあえずコレを着て。教団コートは衝撃を吸収してくれる。今着てるよりも防御力は高いはずだよ」

「ありがたく借りていこう」



 ロイはコートを受け取り、それを着る。

 教団のロングコートはロイに良く似合っていた。

 ロイの黒髪と黒いコートは、ロイの美貌をより一層引き立てている。

 また軍人としての貫禄があり、事情を知らない者にはエクソシストに見えるだろう。



「わぁ!ロイ大佐、良く似合ってますよvエクソシストみたいです!!」

「では、私はのためだけのエクソシストになると誓うよ」

「…へっ!?」



 ロイはの指を持ちあげ、口付けしようとした―

 が、その前にその手は神田によって奪い返された。

 またまた神田vsロイの睨み合いが始まる。



「いい加減、私との邪魔をしないでくれないか?」

「テメェこそ、いい加減にしろよ。俺のに手を出すんじゃねぇ」

「もぅ!いい加減にしてよッ!!」



 相変わらずの口論を始める神田とロイ。

 二人を必死で宥める&諌める

 三人の様子を楽しそうに見ているコムイ。

 絶対に関わるもんか!!と決め込んでいる科学班メンバー。

 と言うか…三人ともさっさと任務に行け。







 こうして、今回の任務にロイも同行する事となった。

 は不安を抱えたまま任務につく。

 果たして、このメンバーで任をが遂行できるのだろうか…?










後書き
と言うわけで、大佐も一緒に任務へ。
教団コートを着ている大佐を書きたかったんですけどね(苦笑)
さんと神田さんと大佐で任務地へ…
これはまた波乱がありそうですねぇ。
さんが苦労しそうです^_^;
次はいよいよ任務…かな?
まだ終わる気配がありません(マテ)

紫青様のみ転載可でございます。

 

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