朝食後、コムイ室長に呼ばれたので室長の部屋へ向かいました。

 もちろん神田(案内役)も一緒です。




「あ!おはよう。朝早くからゴメンねー」

「おはよう、リナリーさん。構いませんよ」

「リナリーで良いよ。それに敬語もナシね」

「は…うん」




 嬉しいな。女の子と仲良くなるのは久しぶりな気がする。

 最近はずっと旅ばかりだったから、親しい友達を作れなかったんだよね。




「で、に何の用なんだよ」




 うわ…神田ってば愛想悪ッ!

 判ってたとはいえ、リナリーは女の子なんだから、もう少し優しく接しても…

 でもリナリーはそんなこと気にもしないかのような態度だった。




のね、能力の事を知っておきたいのよ。良いかな?」

「うん。私も話しておきたいと思ってた所だったから」

「なら丁度良いわね。もう少し待ってて貰える?まだ兄さんが「おっはよ〜」




 バタンとドアを開けて、コムイ室長が部屋に入ってきた。

 昨日初めて会ったんだけど、ヒューズさんと同じ感じがするのは気の所為かな?

 雰囲気とかノリとか話し方とか、何処となくヒューズさんを髣髴とさせる。

 これで家族バカだったら間違いないよ(笑)




「お早う御座います、コムイ室長」

「おはよー、君。夕べは良く眠れた?」

「はい!素敵な部屋を有難う御座いました」




 そう、新参者の私なんかには勿体無い位の部屋を与えて貰ったの。

 個室で家具も揃ってる。

 安いホテルよりもよっぽど良い部屋なのよ。




「気にしない。君が気に入ったなら、それで良いよ。リナリーもおはよう」

「おはよう兄さん。今からの能力を見せて貰うんだけど」

「お!良いね〜。丁度見たいと思ってたんだ。じゃ、お願いね」




 え?いきなりお願いと言われても…

 何をすれば良いのかな?

 とりあえず、練成すれば良いのかな?




「ん?どうしたの?君」

「いえ…いきなりお願いといわれましても…何をすればいいのかなと」

「何か作れば良いんじゃねぇのか?」

「何から何を作れば良い?材料は?錬金術は科学技術だから、無から有は作れないのよ」




 神田だって、いきなり呼ばれて「何かしろ」って言われたら困るでしょ?というと、「確かに」と呟いていた。

 そんな困っていた私に助け舟を出してくれたのが、リナリーだった。




「あ!これで何か作れない?」




 どん!と重そうな音を立てて、リナリーは何か機械のような物を机の上に置いた。

 見たところ、まだ未完成のようだけど……




「リナリー、これは何?」

「兄さんの新しく発明している部品よ。これから何か作れない?」




 え!?コムイ室長の発明品の一部?

 そんな物を材料にしちゃって良いのかな?

 現に室長は「ヤメテー!お兄ちゃんの発明品!」とか言って泣いてるし(汗)




「え?良いの?リナリー」

「良いの良いの。兄さんの発明品なんてろくな物がないんだから」

「でも、泣いてるよ…?」

「これを材料にしなくてもいいけど、後から絶対ににも被害が出るよ?」

「間違いねぇ」

「じゃぁ、これを別の物に練成するね☆」




 と言ってもなぁ。何を作ろうか。

 あ!そうだ。

 パン  パシィ

 蒼紫色の光が発生し、室長の発明品(途中)だった物が、コムイ室長の像に変わった。

 神田は既に練成を見ているからそうではないみたいだけど、リナリーと室長は凄く驚いていた。

 初めて見るから仕方ないか。

 私も初めてアクマを見た時は驚いたもの。




「凄いねー。今のが錬金術?」

「そうだよ。錬金術はね、ものの流れを理解し、分解し、再構築するの」

「と言うことは、さっきのボクの部品を理解して分解し、この像に再構築したのかな?」

「はい」

「ふぅん。神田君の話だと、地面から壁や剣、銃を作ったらしいけど」

「えぇ。土中の金属分子を使い、作ったんです」

「さっき無から有は作り出せないと言ったけど、錬金術は万能じゃないのかい?」

「違いますよ。錬金術は科学技術なんです。基本は円の力。それに法則も存在します。等価交換と質量保存の法則です。
一の物からは一の物しか作れませんし、水属性の物からは水属性の物しか作れません。それに…」




 知っている限りの錬金術に関する事をコムイ室長に話した。

 室長は頷きながら、そして時には質問をしながら私の話を聞いてくれた。

 そんな中、呆然としている神田とリナリー。




「神田は言ってる意味、判る?」

「俺がわかる訳ないだろ…」




 申し訳ないけど、錬金術が存在しないなら、この二人のような反応だと思っていた。

 コムイ室長とこんなに話が出来るとは以外だったよー。

























 † † † † †



 コムイとが、の能力について話をしている。

 錬金術の話らしいが、俺には全く判らない。

 コムイも今日初めて錬金術を見たはずなのに、どうして話が判るんだ…?

 俺だけが話しについていっていないのかと思ったが、リナリーもどうやら判らないらしい。

 あれだけ難しい話をされると飽きてくる。

 さっさとを連れて部屋から出たいが、本人が話し込んでるから無理だな。

 っつーか、に近づきすぎだ(怒)




「神田」

「………」

「神田。聞いてる?神田」

「……………」

の事だけど」




 …だと?

 最初はリナリーの呼びかけを無視しようと思った。

 そんな事(酷)より、コムイとの方が気になる。

 だが、の事となると話は別だ。




「……何だよ」

「今朝の食堂での事、既に噂になってるわよ。貴方達、付き合ってるの?」




 もう噂になってるのかよ…流石に早いな。

 でもこれで、俺を敵に回してまでに手を出す奴はいないはずだ。

 リナリーの質問にも、適当にはぐらかせば良いだろう。




「で?どうなの?付き合ってるの?」

「関係ねぇ」

「神田が答えてくれないなら、に根掘り葉掘り聞いちゃうよ?」




 に!?それは…マズイ。

 そんな事をされれば、あの『挨拶』が嘘だと気づかれる…!

 ならばいっそ、付き合っていると言うか…?




「でもは昨日この世界に来たばかりで、しかもアクマに襲われたんでしょ?
となると、神田と付き合う程の心の余裕はないよね。
神田と付き合ってる噂は、神田の策略かな?」




 くっ…リナリーは何でこんなに鋭いんだ?

 流石はコムイの妹だ…




「図星でしょ」

「……………あぁ」

、美人だもんねー。しかも神田の好みにピッタリだったんでしょ?」

「……………」

「まさか神田が人を好きになるなんて思ってもみなかったわ」




 …どういう意味だよ(怒)




「悪かったな」

「誰も悪いとは言ってないわよ。そうだ!色々と協力してあげるね」

「はぁ?何言ってんだ?」

「だって女の子同士の方が話しやすい事も多いでしょう?」

「それは…そうだが」




 

 まぁ確かに女同士じゃないと話さない事も多いだろう。

 おまけに、この教団内で女と言うと限られてくる。

 必然的にとリナリーは仲良くなるだろう。

 実際、さっきも仲よさそうに話していたな。

 そう考えると、リナリーの協力があった方が都合がいい。




「よろしく頼む」

「うん。任せてよ。それに私もを気に入ったもの。仲良くなれるわ、絶対!」






後書き
さん、無事にエクソシスト就任です。
おめでとうございます!
イノセンスの内容については、また後ほど。ふふふ(笑)
それにしても、この兄妹が無事に出せて良かったです。
リナリー可愛いですよね!
因みに、ウチのリナリーはさん至上主義になると思います(笑)
ところで、アレンとの出会いはどうしようかな?
オリジナルでも良いですか?
それとも原作ストーリーを入れた方が良いのかな?
どちらがいいですか?



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