が本部に来たのは、昨日の夕方。
それからまだ半日も経ってねぇのに、何でこんなに話題になってんだ(怒)
を見つけ、連れてきたのは俺だぞ。
他の奴らに手出しなんてさせるもんか。
俺は今、にあてがわれた部屋へ向かっている。
を連れて食堂へ向かうためだ。
夕べ別れる時に
『神田、お願いがあるの。私一人だと迷いそうだから、明日の朝迎えにきて』
と可愛くお願いされたら、断れねぇだろ。
まぁ、断るつもりは無いけどな。
そんなわけで、俺はの部屋へ向かっていた。
だが!歩くたびに俺のイライラが募っていく。
その理由は……
「昨日、神田殿が連れていた女性は…」
「あの人、凄く美人じゃねぇ?」
「すっげー美人だった!って名前らしいぞ」
と、すれ違う奴らのほぼ全員がのことを既に知っていたからだ。
しかもそいつ等の殆どがに何かしらの好意を持ってやがる。
クソッ!エクソシストでもない奴等が何言ってんだ。
は渡さねぇ。
幸いは『挨拶』の件を信じてくれたようだし、次の手を打って行くべきだな。
あ?あの『挨拶』は嘘に決まってんだろ。
俺の故郷でも、あんな『挨拶』はしねぇよ。
あれはにキスするための口実だ。
それにしても…あんな簡単に信じるとは思わなかったな。
「、準備はできたか?」
部屋のドアを叩きながら、中に居るに問いかける。
流石(?)の俺でも、いきなりドアを開けるようなことはしない。
今はまだ…な(ニヤリ)
すると、ややあってからがドアを開けた。
「あ、神田だ。迎えに来てくれてありがとー」
にっこり笑いながら言うは、物凄く可愛い。
こんな可愛いを、あいつ等になんか渡すものか。
それと、が着ている服は昨日と同じものだ。
後で服や日用品なんかも買ってくる必要があるな。
「後で下の街に買い物に行くぞ」
「え?何で?」
「お前の服や日用品が必要だろう」
「でも、私お金が…」
「そんな心配必要ねぇ。俺が買ってやる」
「でも!それじゃぁ神田に申し訳ないよ」
俺はエクソシストとしてかなりの給料を貰っている。
それに普段俺はあまり買い物なんかしないから、沢山ある。
こういう時に使ってこそ、男だろう?
は最後まで反対してたが、どうしても必要になる物だし、最終的には頷いてくれた。
「給料が入ったら必ず返す」とか言っていたが、その辺は聞こえなかった事にしておこう。
そんなやり取りをしながら、俺達は食堂についた。
俺と懸命に話し(説得)をしていたが、は道を覚えたのか…?
まぁいい。俺が毎朝(強調)迎えに行けば良いことだ。
カマ口調の料理人に料理を作って貰い、それを持ってテーブルに座る。
少し遅れて、も俺の隣に座った。
今日はに時間を合わせた事もあり、食堂には人が多い。
エクソシストは俺だけだが、イノセンスに選ばれなかった奴等が沢山居た
俺の近くに座る奴は居ないが、こちらをちらちら見ているのが感覚で判る。
正確には俺じゃなくを見ているのだろう。
チッ。どいつもこいつも、うざってぇ。
に手を出さないように、釘を刺しとくか。
「」
「ん?何?」
「そう言えば、朝の『挨拶』をしてなかったよな」
小声でに言う。
『挨拶』云々を周りに聞かれたら意味がない。
といっても、食堂は何時もざわついてるうえに、俺達は離れた所で食べてるから無意味だったか。
そんな事を考えながら、呆然としているの肩を抱き、こちらに寄せこめかみに口付けた。
もちろん、周りの奴等が見ていることなんざお見通しだ。
寧ろ見せ付けるためにやっている。
「かかかか神田――――!?こここんな所で…!」
「減るもんじゃねぇし、良いだろ?」
「良くない!だって人がいっぱいいるんだよ!?」
顔を真っ赤にさせ、怒鳴る。
俺が肩を引き寄せていなかったら、立ち上がってただろう。
キスだけで真っ赤になるなんて、は可愛いな。
「は『挨拶』してくれねぇのか?」
「や…だって人が沢山…」
「『郷に入れば郷に従え』だろ…?」
耳元で低く囁く。
「っ…!」
お?体がびくって反応したぞ。
そうか、は耳が弱いんだな(ニヤリ)
「昨日はしてくれただろ?こめかみにキスするだけだ」
「で…でもぉ…後でじゃ駄目?」
涙目で見上げてくる。
ヤバイ。その顔は反則だろ。直撃した。(何処にだ/汗)
(必死に耐えながら)じっと見つめていると、は覚悟したらしく恐る恐る顔を近づけた。
ちゅv
触れるか触れないかの様なキスだったが、これで良しとするか。
目的は達成された。
他の奴らは『挨拶』の事を知らねぇから、俺達が恋人同士だと思うだろう。
恋人だとは思わなくても、俺が好意を抱いているのは確実に判ったはず。
これで、簡単にに手を出せなくなった。
それでもを狙う奴がいるかもしれねぇって?
はっ!俺に喧嘩を売る奴が居たら見たいもんだな。
この朝の出来事はすぐに教団中に流れるだろう。
何せ、俺らしくない行動だ(自覚あり)
さらにも関わっている。
噂にならないはずがない。
その後、は慌てて食事を食べ、急いで食堂から出て行った。
食堂の様子を横目で見ながら。俺も後を追う。
静まり返った食堂内と悔しそうな奴等の顔を見て、後はをゆっくり口説けばいいと考えていた。
今後、厄介なヤツが出てくるとは夢にも思わずに………
後書き
今回は神田さん目線です。
ウチの神田さんは策士なんですよ。
目的の為なら手段を選びません!
でもちょっとヘタレ(笑)
ところで黒の教団は給料制で良いのでしょうか?
細かい設定は気にしないで下さいね。
私の書きやすいように進んでいきます(マテ)
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