列車に乗ってぶらり旅。線路は続くよどこまでもと歌いだしたい気分なのですが…

ちょーっと待って下さい。

 かなり大事なことを忘れているのです(汗)

 行く宛なんか私にはないし、おにーさんは良い人そうだから連れて行かれるのに不服はないよ。

 でもね…?

 自己紹介くらいしようよ。









 

「ねえ、ねぇってば〜。黒服のおにーさん」

「何だ?」

「連れて行かれるのは良いとしてね?自己紹介しない?私は。おにーさんは?」

「神田だ」

「神田…かぁ。神田って呼んでも良い?私はで良いよ〜」

は一体何者なんだ?お前もエクソシストなのか?」




 『エクソシスト』。さっきのおねーさんもそんな事を言ってたなぁ。

 そもそもエクソシストって、悪魔祓いの人でしょ?

 元の世界じゃ、エクソシストなんて話の中だけの人だったし。

 あ、でもアクマがいるなら、エクソシストがいてもおかしくないか。

 ここでエクソシストについての知識がもっとあれば、誤魔化すことができたかもしれないけどね。

 生憎、その知識は持ち合わせてない。

 そもそも錬金術師は科学者だから、非現実的なモノは信じてないの。

でも下手に誤魔化すと、事態が悪化しそうだし(というか怖いし)

 正直に話しちゃいますか。その方が、絶対後から楽だ。




「私の事を話す前に、聞きたい事があるの。私の力、どこから見てた?」

がいきなりアクマとあの女の間に壁が現れた所からだ」

「って事は、ほぼ最初からかぁ。良かった…職探しのとこは見られてない

「あ?何か言ったか?」

「ううん!何でもない。私はね、異世界から来たの」




 あ、神田が変な顔してるー。これは絶対「お前何言ってんだ?」って顔だわ。




「信じてないでしょ」

「信じられるかっ!」

「信じる信じないは勝手だけど、事実なんだもん。それに信じてくれないと話が進まないよ」

「……………本当なのか?」

「本当です。とりあえず、神田が信じてくれた前提で話すよ」




 そう言って私は元いた世界の事、この世界に来る事になった経緯を話した。

 この力も話したよ。

 賢者の石の事は話そうかどうか迷ったけど、結局話した。

 それがこの世界に来る事になったきっかけなんだもの。

 何より、隠し事が下手な私は隠しておいてもばれる自信があります(マテ)




「ねぇ神田。私の話が突飛な事だって判ってる。でもね、本当なの。神田には信じてほしい」

「ここまで話されちゃ疑ってねぇさ」

「信じてくれるの!?」

「信じられなくても事実なんだろ?が嘘言ってるようには思えねぇ」

「ありがとう!神田。神田に出会えて良かったよ☆」

「………なぁ、はいつか元の世界に帰るのか?」

「さぁ?今はまだ帰る方法が判らないから何とも…」

「来た時と同じ方法は?」

「無理よ。第一、また真理には会いたくない。何を通行料として取られるか判らないもの」

「通行料?」

「そう。錬金術は等価交換が原則なの。今度は体ごと持っていかれるかもしれない」

「持っていかれたらどうなるんだ?」

「さぁ…?もしかしたら死ぬんじゃない?」

「死……マジ?」

「うん、大マジ」

「大変だな、錬金術も…」




 そうかな?小さい頃から当たり前に錬金術がある世界だったから大変だとは思わないよ?

 むしろ、あんなアクマと対峙している神田達の方が大変だと思うよ…

 

 ……………そっか。アクマか。

 神田が言うには、アレは機械なんだよね。

 科学者としての血が騒ぎ始めてきました。

 アクマを研究してみたいです!

 それに、人を襲うのはかなり許せないですね。




「ねぇ神田。今から何処に行くか判らないけど、私アクマを倒したい。どうすれば良い?」

「エクソシストの本部、黒の教団に向かっている。話はそれからだ」

「そこに行けば、エクソシストになれる?」

「エクソシストになるには、イノセンスの適合者にならなきゃ駄目だ。
だが、はイノセンスを持ってねぇのにアクマに攻撃できた。
だからイノセンスに適合しなくても、もしかしたらその能力でエクソシストになれるかもしれないな。
今まで前例が無いから何とも言えねぇが…」

「そっかぁ。一番良いのはイノセンスに適合することだよね?」

「あぁ」

「適合すると良いなぁ」

「俺もがエクソシストになれる事を祈ってるぜ。とならパートナーを組んでも良いと思ってる」

「うん!私も神田と一緒に仕事できたら嬉しいな」




 神田と一緒なら心強い。

 だって神田って強い上に、色々と詳しそうだし。

 私がドジしても、上手くフォローしてくれそうだもん(笑)




「私、絶対イノセンスの適合者になってみせるね!」

「あぁ。期待してるぜ」




 そう言って、神田は私のこめかみにちゅっと口付けた。




「かかかかか神田――――!?何?何したの///

「何って…俺流の挨拶だけど?」

「え?挨拶…?この世界はそうやって挨拶するの?」

「いや、そんな事ない。俺が生まれた国の挨拶だ」




そっかー。神田の故郷の挨拶なんだ。

あんな挨拶は慣れていないから、恥ずかしかったよ。

神田は恥ずかしくないのかな?

ずっとあの挨拶をしてるから慣れちゃったのかなぁ?




「なぁ、。『郷に入れば郷に従え』って諺を知ってるか?」

「へ?うん、まぁ一応」

「なら話は早い。もこの世界に来た以上、こっちのルールに従わなくちゃならない」

「う…うん。だから…?」




 神田が意地の悪い笑みを浮かべながら私を見ています。

 背後に見えるブラックオーラは、私の気の所為だと思いたい…(汗)

 蛇に睨まれた蛙って、こんな気持ちなのかな。




「この世界では、相手と同じ挨拶をしなくちゃなんねぇんだ。
つまり、俺がさっきのような挨拶したから、も俺に同じ挨拶をしなくちゃいけないんだぜ」

「うそー!!じゃあさっきの挨拶は取り消し!私は何もされてない!!」

「そんなに俺と『挨拶』するのが嫌なのかよ…」

「だって恥ずかしいじゃない!」

「回数こなせば慣れるだろ」

「でも最初のうちは恥ずかしい!」

、残念だが一度起きた過去は変えれねぇぞ。ほら、諦めて『挨拶』しろよ」

「え?今ここで?」




 ノオオオオォォ!聞いてませんよ!そんな事―!!

 こんな外(列車の中)でキキキキスするんですか?

 いくら挨拶だと言っても、キスはキスだよ?

私には刺激が強すぎます!

踏ん切りがつかず躊躇っていると、神田が更に恐ろしい事を耳元で仰いました。




「あんまり待たせると、更に凄い『挨拶』をするぞ…」

「っ!?更にって…挨拶って今のだけじゃないの?」

「あれは最も軽いやつだ。初めて会ったから軽い『挨拶』にしといたが、激しい『挨拶』が良かったか?」

「めめめめめめ滅相も御座いません!!」




 これ以上の激しい挨拶は私には耐えられません。

 っていうか、激しい挨拶って何デスカ―――――?




「このまま逃げ…」

「黒の教団が何処にあるのか知ってんのか?」

「う…(汗)」

、早くしろ」

「うぅ…(滝汗)」




 神田は絶対に諦めてくれしそうにもない…よね。

 仕方ない…覚悟を決めます!




「か…神田…あのね、少し屈んで…?」

「あぁ」




 ちゅv




「っやああぁぁ!恥ずかしい!神田はよく平気だね」

「慣れだろ。小さい頃からこの挨拶だからな」

「そっかぁ。慣れるまでの我慢かぁ」

「俺としては、激しい『挨拶』も覚えてほしいがな」

「ん?何か言った?」

「いや、何も言ってねぇ」

「ふぅん。ねぇ、他の人にもこの挨拶をしなくちゃいけないの?」




 だとしたら、凄く恥ずかしいんだけど…




「この『挨拶』は俺しかしねぇよ。と言うか俺だけにしろ!間違っても他の男にはやるなよ!良いな!!」

「う…うん、わかった」




 何をそんなむきになってるんだろう?

 変な神田―。










 まぁ、そんな感じで色々ありましたが、私達は無事に黒の教団に着きました。

 入り口前で変な門番(?)に




『セエエェェェフ!!』



 

 って叫ばれて吃驚しましたが、何の事だったのかな?

 その後、コムイ室長さんやリーバー班長さん、リナリーさんを紹介して貰いました。

 彼らに全てを話すと、やはり驚かれたけど、信じてくれた。

 でもみんな良い人達だね。

 コムイ室長さんが、変に目を光らせてたのが気になったけど…

今は、神田が教団の本部内を案内してくれてます。




ここが私の新たな生活の場。

私に何が出来るか判らないけど、精一杯頑張っていこうと決めた。





後書き
如何でしょうか…
私の中の神田はこんな感じな人です。
っていうか、どんな『挨拶』だよ、おい…(汗)
こんな感じの神田ですが、よろしければお付き合い下さいませ。


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