電車に乗って帰還中。線路は続くよ何処までも〜
…て、似た様な事を以前に言ったわね(3話参照)
神田と共に任務を終え、合流したブックマンやラビと教団へ帰ってる最中です。
ガタンガタンと電車に揺られながら見る風景は、とてものどか。
少し前までアクマと戦っていたとは思えないわ。
「電車…かぁ。懐かしいわ」
「急にどうした?」
小さく呟いたつもりだったんだけど、以外と声が大きかったみたい。
隣に座っている神田が、訝しげに聞き返した。
「ん〜?こうやって電車に乗ってるとね、『あの世界』の事を思い出して」
「そう言えば、って異世界から来たんだよな」
私の前に座っていたラビは、興味津々といった感じで会話に加わった。
因みに、ブックマンは神田の前に座っているわ。
どうしてラビが私が異世界から来たのを知ってるのか?
それはね、私が話したからよ。
どうせ黙っていてもいつかは知られるんだし、私の事は教団内でも有名だもの。
「のいた世界って、どんなんさ〜?みんな錬金術を使えるんか?」
「みんなじゃないわ。仕組みを知ってないとネ」
「ふむ…ならば錬金術ができる者とできない者で格差が出てこぬか?」
「そうですね。ですから『錬金術は大衆の為にあれ』って言う言葉があるんですよ」
「なぁなぁ!オレも錬金術って使えるかな?」
「ん〜…試してみる価値はあるんじゃないかな?」
「ホントか?オレやってみたいさ!!」
「ワシも興味あるな」
ラビだけじゃなく、ブックマンも使ってみたいのね。
えっと…錬金術を使うときって、ただ闇雲に練成陣を描けばいい訳じゃないの。
紋様にはそれぞれ意味があるし、なによりも錬金術とは何かを知らなくちゃいけない。
「嬢もそこから勉強したのか?」
「いいえ。私の場合は小さい頃から錬金術が身近にありましたから。
物心つくときから練成陣らしきものを描いてたって、両親が笑ってました」
「そういえば…の両親も錬金術師だったよな」
神田の言葉に、私は大きく頷いた。
『医学的錬金術』
本当の両親が研究していた錬金術。
自宅と診療所、研究所が全部同じ建物内にあったから、錬金術に囲まれて育ったようなものよね(笑)
あ!だからと言って理論を学んでない訳じゃないの。
先生の家に引き取られてから、初めに教えて貰ったのは理論だったもの。
「私の場合は逆ね。体で覚えてから理論を知ったわ」
「俺達も先に体で覚える事は可能か?」
「ん〜…不可能ではないと思うけど………難しいかも」
「えー!?できないんさ〜?」
だって…ねぇ。
私は紙とペンを取り出し、それに練成陣を描いてラビに渡す。
「例えばこの練成陣を使って、練成してみて」
ラビは紙を見つめながら、一生懸命発動させようとしている。
けれども、何も起こらない。
ブックマンも同様に試してみたけど駄目だったわ。
発動できなかった事に、ラビは不満そう。
何回も挑戦してるんだけど、やっぱり発動出来ないみたい。
「くっそ〜…やっぱり駄目だ」
「諦めんか馬鹿弟子。それで嬢。錬金術を発動する為の理論とは何なのだ?」
私が先生から初めて教えてもらった事。
これを理解するまで、錬金術を使うのを一切禁止されたわ。
その後、エド達も一緒の問題を出されてたわね。
ま…まぁ私はエドやアルみたいに無人島に放り込まれなかったけど。
でもこれが錬金術の基礎になってる事は間違いないの。
それはね………
「『一は全、全は一』」
「「「『一は全、全は一』?」」」
あ、みんな驚いてる…というか困ってるわね。
まぁ、私も最初に聞いたときは、意味が判らなかったもの。
因みに私が出した答えは、エド達と一緒。
あとから先生に聞いて驚いちゃったわ(笑)
「一は全、全は一…つまり一と全は等しいって事だろ?」
「ん〜…でもなぁ、一と全は正反対さ?」
「だが違う方面から見たら、答えが出るのかもしれぬ」
三人とも結構悩んでるみたいね。
当分答えは出ないだろうし。
こののどかな風景をみながら、幼い頃の思い出に浸ろうかしら。
結局、教団に着くまで神田達は考えてたけど、答えは出なかったみたい。
その後に私なりの答えを教えたんだけど、やっぱり錬金術は出来なかったわ。
ラビ、すごく悔しそうな顔をしてた。
よっぽど使って見たかったのね(笑)
後書き
色々考えた結果…・・・…教団への帰り道にしました。
ホントーに考えたんですよ。vsアクマにしようかと…ネ。
でも新年会編でラビが『錬金術を見た事ない』と言ってしまったので^_^;
きっとラビなら錬金術を使ってみたいと言うのではないかと予測の上のお話です(笑)
それにしても…神田とラビだなんtだなんて…
両手に花ですよね!! (笑)
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