とブックマンの話が終わる間、俺は別室で二人を待っていた。
待つのは嫌いじゃねぇよ。
それがなら尚更だ。
だが、アイツと一緒となると………
「ユウー。なぁ、ユウってばー」
ラビが話しかけてくる。
チッ。煩せぇな。
テメェと喋ってると疲れるんだよ。
無視だ無視。
「おーい。聞こえねぇの?ユウー、ユウちゃんってば」
「その名で呼ぶなって言ってんだろ」
「何だ。聞こえてんじゃん」
……………チッ(怒)
ニヤニヤ笑いながら、ラビが言う。
仕方ねぇな。の話が終わるまで、ラビで時間をつぶすか。
「で、何の用だ?」
「だけどさー、最近入団したのか?」
「いや。入団して1年以上経つぜ」
「マジで!?くっそーー。もっとこまめに教団に帰ってれば良かったさ!」
ラビが地団駄を踏みながら、悔しそうに言う。
おい…まさか………
「なぁなぁ。って美人だよなvスタイルも良いしvオレ本気で狙っちゃおうかなv」
コイツもかっ!!
が美人なのは判ってる。性格が良いのもな。
だけど…何でこんなにもてるんだよ!!
しまりのない顔で笑いながら「が戻ってきたら積極的にいくさ〜」
と言っているコイツに釘を刺し解くべきだな。
「言っておくが、テメェがを狙っても無駄だぜ」
「何でそんな事言うんだよ。やってみないと判んねーだろ」
「いや、判る。無駄だ」
即答した俺に腹が立ったのか、ラビは眉を顰めた。
「断言するのには、それなりの理由があるんだろうな?」
「あぁ、あるぜ。は俺の恋人だ」
「………………は?マジで?ユウはのどんな弱みを握ったんさ?」
俺が?の弱みを握った…?
つまり、テメェは俺がを脅して付き合ってると思ってんのか?
冗談じゃねぇ!
俺が以上に愛してる奴なんていないんだよ。
「テメェの考えはよく判った………」
腰に下げてある六幻に手を掛け、抜刀しようとしたとき。
「じょ…冗談さ〜〜。ユウがそんな事するはず無いよな(焦)」
慌ててラビが言う。焦ってるのがバレバレだ。
まぁいい。これでラビも諦め…
「そっかー。はユウと付き合ってんのか
だったら、ユウの話題で仲良くなって、その後に積極的にいけば…v」
てないのかよ(怒)
ちょっと待て!テメェは俺からを奪えると思ってるのか?
アクマすら射殺せそうな目つきで睨むと、ラビは嬉しそうに俺に話しかけた。
「なぁなぁユウ。何でと付き合う事になったんさ?そもそも、どうやって知り合ったんだよ」
「テメェに教える必要なんてない」
「ふーん…だったらに直接聞くもんねー。
あ!これを切欠にして、もっと仲良くなればいーじゃん♪
そしたら、もしかしてがオレの事を好きになってくれるかもv」
「そんな事ありえないな。むしろ、そうなる前に邪魔してやる」
その言葉をきっぱり否定した俺を、ラビは珍しそうに見ていた。
何なんだよ(怒)
「いや…今回ばかりはユウも本気なんだなぁって」
「今回ばかりって、どういう意味だ?」
「だってよー。ユウの女遍歴を見るとなぁ…」
何でラビがその事を知ってるんだ?
テメェに言った記憶なんて無いぞ。
「え?そりゃオレは未来のブックマンだしv」
関係ねぇ!それは絶対に関係ねぇ!
つか、今までの奴らなんてどうでも良いんだよ。
そもそも本気じゃなかったんだ。
だがは違う。
もうのいない生活なんて考えられない。
が俺から離れていくと考えるだけで、怖くてたまらない。
それだけに夢中なんだ。
「ま、ユウの過去はには黙っとくなv」
ラビが笑顔で言う。
コイツがそう言うなら大丈夫だろう。
ラビは約束を破る奴じゃない。
その点は安心だが…なんだ?その笑みは…
すっげぇ嫌な予感がする。
「ってさ、すっげぇ抱き心地が良さそうだよなvなぁ実際どうなんだ?」
………くだらない。
ラビらしいと言えば、ラビらしいが。
そんな事いちいち…いや、待てよ。
ここで決定的な事を言っておけば、ラビも諦めるだろう。
「いー感じだぜ?」
ニヤリと笑いながら言う。
するとラビは、目を輝かせて俺の話に食いついた。
「やっぱり!!だよなぁ。だって…」
「二人とも楽しそうね。何が良い感じなの?」
部屋から出てきたが、ラビの言葉を遮る。
どうやら、ブックマンとの話が終わったらしい。
これで漸くラビから解放される。
「二人とも楽しそうに話してたね。ラビとユウって仲が良いのね!」
「もちろんさ〜〜。何てったって、オレ達は親友「になったつもりはない」
俺の即答に、ラビは『の』の字を書きながら蹲った。
鬱陶しい事この上ない。
そんなラビの様子を、冗談だと判っているのだろう。
は笑いながらラビに話しかけた。
「ほらほら、落ち込まないの。元気を出して、ね?」
「は優しいなぁvどう?今度二人で遊びに行かない?」
テメェ…どさくさに紛れて、何を誘ってんだよ!!
よほど六幻で斬られたいらしいな(怒)
「ラビと二人で…かぁ。そこで六幻を抜こうとしている人の許可が出たら良いわv」
「えー?それじゃ一生無理じゃんか!」
当たり前だ!誰がテメェと二人で出かけさせるか!
が汚れる!!
もういい。こんな奴は無視して教団へ帰ろう。
ラビ達は滅多に教団へは帰らない。
おそらく今回も、このまま次の任務へ行くだろう。
の手を取り、教団への帰途に着こうとしたとき。
「あ!ユウ達も教団に帰るんだろ?一緒に帰ろうぜー♪」
「………ちょっと待て。今何つった?」
「だから、オレ達も教団へ帰るんだよ。な?ジジイ」
「ジジイ言うな馬鹿弟子が。あぁ。ワシらもそろそろ帰ろうと思ってたんじゃ」
「そうそうvそれに、コムイにも呼ばれてっからなー」
「あ!そうなんだ!だったら、皆で一緒に帰りましょう♪」
マジかよ(怒)
折角と二人きりになれると思ったのに!
ブックマンは兎も角、ラビ!テメェは邪魔なんだよ!!
そう怒鳴りたいが、ラビに言っても無駄な上、になに言われるか判らねぇ。
結局、教団まで4人で向かったんだ。
道中、二人きりになれたかって?
あのラビがいて、なれるはずないだろッ!!(怒)