「も〜〜。何でそんなに機嫌が悪いのよ?」
「別に。機嫌なんて悪くねぇよ」
「今の神田の機嫌が良いなら、世界中誰もがお祭り気分よ」
「チッ」
舌打ちしながら神田は横を向く。
これは図星を指された証拠。
一体何が気に入らないのかしら…?
任務後、いつもの様にコムイさんに連絡を入れたの。
そうしたら、近くにエクソシストがいるから合流してくれって言われたのよ。
どうやら、私の事について話して欲しい人がいるらしいのよ。
その人の名は『ブックマン』って言うんだけど…
この話を神田に言ったら、機嫌が悪くなったのよ。
神田と『ブックマン』って仲が悪いのかしら…?
「違ぇよ。ブックマンじゃない」
ブックマンじゃないとしたら、一体何が原因なのかしら?
考えていたとき、私達の目の前に『何か』が降ってきたの。
………………えぇ!?人ぉ!?
「よっしゃ!着地成功さ〜♪」
え?え?誰!?
降って来た青年をじっと見つめる。
彼の着ている服は…形は違うけれど教団コートよね?
シンボルも入っているし…
と言う事は、彼もエクソシスト!!
「やほーユウ。久し振り〜〜」
「え?神田の知り合い?」
「人違いだろ。俺は知らねぇ」
神田があっさり言い捨てたの。
すると彼は膝をついて涙を流していた。
って…神田さん…明らかに貴方の名前を言ってましたよ?
「酷いさ〜〜。親友のオレに対して」
「親友になったつもりはねぇよ。つかユウって言うな」
「ユウは冷てーなぁ。なぁアンタもそう思うわねぇ?」
「へ?え…?あの………?」
空飛ぶ青年がいきなり話題を振ってきたけれど…
一体誰なんですか?
「ところでアンタ誰?そのコートを着てるって事はエクソシストだろ?
美人って言われない?名前は何て言うさ?」
矢継ぎ早に質問されて戸惑う私に、彼は更に質問してくるの。
いや…本人に悪気は無いんだろうけど…口をはさむ間が無いのよ(汗)
どうしようか困っていたとき。
ヒュッ
神田が六幻を抜刀し、彼の首元ギリギリで止めたの。
流石の彼も喋るのをやめたわ。
笑顔のまま冷や汗をかいている。
「テメェは喋りすぎなんだよ。が困ってんだろ」
「わ…悪ぃ。オレが悪かったさ。だから六幻をどけてくれ(汗)」
彼が大人しくなったのを確認してから、神田は六幻を鞘に納めたの。
その様子に安心した彼は、改めて私の方を向いて自己紹介してくれたのよ。
「ハジメマシテ、ラビっす」
「初めまして。と申します。えっと…ラビって呼んで良い?」
「もちろんさ〜。オレもって呼ぶな」
「うん。よろしくね、ラビ」
「なぁなぁもエクソシストなのか?」
「えぇ。私のイノセンスはこのピアスなの」
「ピアスがイノセンス?どういう対アクマ武器なんだ?」
「それは―」
説明しようとしたとき、ラビがいきなり吹っ飛んだの。
正確には誰かに蹴られて。
代わりにその場に立っていたのは、一人の老人。
この人がラビを蹴ったの!?
「おぬしが嬢か?」
「え?あ、はい。初めまして、と申します。貴方は…?」
「ワシはブックマン。ブックマンと呼んでくれ」
ブックマンが差し出した手を握り返したわ。
でも…何で私の名前を?
尋ねてみると、ブックマンはコムイさんに聞いたと教えてくれた。
話を聞いてみると、ブックマンは歴史の裏側を知ってるらしいの。
人知れず歴史に隠れていく事実を語り継ぐのがブックマンの一族らしいけど…
「おぬしの事は室長から聞いた。異世界から来たらしいな」
ブックマンのこの言葉を肯定すると、ラビが目を輝かせてやってきたの。
ラビ…復活するの早いね(苦笑)
「って異世界から来たのか?前にいた世界ってどんな所?何でここに来たんさ?」
いや…だから矢継ぎ早の質問は困りますって(汗)
と言うよりも…この腰に回っている腕はなんなのかしら…?
ラビってスキンシップが好きなのかな?
でも、そろそろ離してくれないと………
「テメ…に触るとはいー度胸だな…」
黒神田降臨
ものっそ神田さんが怒ってますよ。
地を這うような声に、ラビはビクッっと肩をすくめた。
今の神田さんなら、アクマでさえも避けて通りそうな勢いです。
一触即発の雰囲気の中、ブックマンの深い溜息が聞こえたわ。
「嬢、こ奴らなぞ放っておけ。実はおぬしに聞きたい事があってな」
「私に…ですか?」
「今までの世界の事、この世界に来た理由、そしておぬしの能力じゃ。
この世界では、おぬしのような能力を持った人はおらんかった。
裏の歴史を語る者として知っておきたい」
「あ、はい。構いませんよ」
「では、別の部屋へ行こうか」
ブックマンと一緒に、別の場所へ移動したわ。
ここだと、神田とラビの言い合い煩いんですもの。
願わくは、戻ってきたときに、この辺り一体が破壊されてない事ね(苦笑)
二人ともコムイさんの仕事を増やさないと良いんだけど…
後書き
やっとラビを本編で登場できました〜〜。
短編では結構(?)でてきてるラビだけど、実は連載では未登場だったんだよねぇ(苦笑)
これで漸く一歩前進です。
でも5歩ぐらい後進しそうな勢いです…(マテ)
ところで…ブックマンの口調がむずかしいです(汗)
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