下の街まで買い物に出た帰り。
私は不思議な少女に出会いました。
必要な買い物を済ませ、街をぶらぶらしていた時の事。
裏路地に入った所でガラの悪い男の人達が少女を囲んでいたの。
髪の毛を立たせて、短いスカートを履いた色白の女の子よ。
その中の一人が少女の胸倉を掴み、その頬を殴った。
ちょっと…大の大人が何やってるのよ!
「やめなさい!!その子から手を離して」
「あぁ?んだよテメーは。ひっこんでろっ!」
「そう言う訳にはいかないわ。子供相手に暴力をするなんて最低ね」
男達の輪を抜け、少女の元へ行く。
彼女の頬を見ると、赤く腫れていた。
今でこの状態なら、この後はもっと腫れるわ。
早く治してあげなくちゃ。
「大丈夫…じゃないよね。まずは表通りに行こう?」
「………」
無言の少女の手を取り歩き出そうとする。
けれども、それは男達の一人によって遮られた。
ふぅ…このまま通してくれない…か。
話し合いで済めば良いんだけど。
あり得ない可能性を願いながら、肩を掴んでいる男を見る。
「待てよ姉ちゃん。俺達の用は済んでないんだぜ?」
「あら残念ね。私に用はないわよ?」
「姉ちゃんじゃねーよ。このガキ、ぶつかっておきながら謝らねぇんだよっ!」
「そのおかげで、怪我しちまったじゃねぇか」
「んで俺達は慰謝料代わりに、その人形を要求してるんだ」
男達が交互にまくしたてる。
…………何てベタなの?こんな展開あってもいいの?
呆れていると、それを恐怖と感じたのか仲間の一人が笑いながら近づいてきた。
「よく見れば美人だな。姉ちゃんが相手してくれるなら………」
はぁ(溜息)やっぱりお約束なセリフを言い始めたわ。
男達の話を聞き流しながら少女を見やる。
あら…この子、怖くないのかしら?
頬を殴られ赤く腫れ始めているのに無表情よ。
そう言えば……囲まれてる時もこの顔だったわね。
このくらいの年なら、泣いててもおかしくないのに。
それに………何て言うのかしら?
こう、得体の知れないモノがこの子から出ているような…
殺気ではない…けれども、この気配はどこかで感じた事がある。
どこで……?
「おい!話を聞いてんのかっ!?」
もう…うるさいわね。
あ、でもこの子の気配よりも傷の手当てが先よね。
気付かせてくれた事に感謝しなくちゃ。
「確か近くにベンチがあったから、そこまで行こう?」
「そこで手当てをするね」と言うと、少女は頷いた。
少女の背を押し、歩き始める。
え?男達?無視ですよ、そんなの。
こういうベタな奴等は、放っておくのが一番です。
「テメェ!無視すんじゃねぇ!!」
痺れを切らした男の一人が殴りかかってきた。
ホント……ワンパターンね(呆)
私は少女を背に庇い、殴りかかった男の腕を掴む。
そして相手の力を利用して投げ飛ばした。
先生直伝の技ですよv
「んの野郎…女の癖にナメやがって!!」
女の癖にって…私はこう見えてもエクソシスト………
ってしまった(汗)今日は私服で来てたんだった。
ん〜でもまあ、この人達にエクソシストなんて判らないか。
溜息をつくと、男達は馬鹿にされたと思ったらしいわね。
あながち外れでもないけど。
さて、どうしようかしら?
全員を相手に出来るけど、逆上してこの子に手を出されても困るわ。
仕方ない。アレ…いきますか(笑)
少女を背に庇ったまま、壁際まで進む。
もちろん男達の攻撃はかわしてるわ。
そして壁に両手が付く位置に来たのを確認して。
パン パシィ
「「「「「ぎゃあーーーっ!!」」」」」
はいこれでOK☆
何をしたかと言うとね、壁から大きな拳を練成しました。
これで男共をノックアウトですよ♪
「もう大丈夫だよ。恐いお兄さん達はいないから、向こうで手当てをしようね」
少女の手を引き、表通りに面したベンチに座らせる。
そしてカバンからチョコを取り出し、少女に渡した。
「これ食べてくれるかしら?」
言われるがまま少女はチョコを口に入れる。
私は両手を合わせた後、その子の頬に翳した。
青紫の光に包まれ、少女の頬から赤みが引いていく。
「もう痛みはない?えーっと……」
「ロード。ロード・キャメロットって言うんだぁ。おねーさんは?」
「私はって言うのよ。まだ頬が痛む?」
「ううん。もう平気。ありがとおねーさんv」
ロードちゃんがにっこり笑って言う。
さっきの無表情とは大違いで、とても可愛らしい。
それにしても、さっきの気配は何だったのかしら?
もうこの子から気配はしないけれど………
あれは確かに何処かで感じた気配だった。
思い出せと本能が警告している。
こんな感じは初めてよ………
「………さん……おねーさん」
「え?ごめんなさい。どうしたのロードちゃん?」
「さっきの変わってたね。僕どうやったのか知りたいなぁ」
「あれはね錬金術なのよ」
「錬金術?」
不思議そうにしているロードちゃんに、丁寧に説明する。
時折実践も交えると、とても興味深そうに見ていた。
一生懸命見ているロードちゃんは、とっても可愛い。
さっきの気配が嘘だと思わせるくらいに………
「おねーさん、僕もっと錬金術見たいなぁ」
「そうねぇ。次は………っ!?」
な…アクマの気配!?
街外れの方だわ。行かなくちゃ!!
「ごめんねロードちゃん。用事が出来たの。私もう行くね。それと街外れには来ちゃ駄目よ」
それを言い、私はアクマの元へと走り出した。
† † † † †
「ごめんねロードちゃん。用事が出来たの。私もう行くね。それと街外れには来ちゃ駄目よ」
がそう言って走っていく。
街外れ…向こうってアクマがいる所じゃん?
それが判るって事は、はエクソシストなんだぁ。
は綺麗な上に面白い事まで出来る。
確か錬金術って言ったっけ?
僕ますます気に入っちゃったなぁ。
千年公のシナリオだと、は偽りの使徒側になるんだよねぇ。
ま、シナリオなんてどうにでもなるし?
千年公に頼んで、を僕のモノにして貰おう。
は色が白いから、黒いドレスが似合うだろうねー。
すっごく楽しみだなぁ。
覚悟しておいてね。
僕から逃げれるなんて大間違いだよぉ?
それじゃあまずは、馬鹿共に制裁を加えに行こうかな。
僕の頬を叩いてくれた礼、しなくちゃねぇ(黒笑)
後書き
話をちょこっと方向転換。
さんとロードちゃんの出会いです。
ロードちゃん、さんが気に入ってしまったみたいです。
さんピンチっ…?(疑問系かよ)
それにしても、ロードちゃんの口調が難しい(汗)
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