からもらったこのプレート。
意味は教えてくれなかったが、大事にしていたプレートをくれんだ。
嫌われている事はないだろう。
寧ろ、好かれていると思ってたんだが…
くそっ!どうなってやがる!!
何時もなら朝部屋に行けば会えた。
なのに数日間、部屋に行ってもがいない。
リナリーなら知っているかと思って聞いてみたら、
「え?なら任務に行ったわよ?聞いてなかったの?」
と本気で驚いていた。
ああ!聞いてねぇ!聞いてねぇよ!
何時もならどんなに急いでようが、別任務の時は俺に任務内容と行き先を言っていた。
だが今回は何も言わずは任務へ赴いた。
どういうつもりだ?
………まぁ良い。に聞けば判るだろう。
そう。この時はまだの行動を深く考えてはいなかった。
今日は漸くが任務から帰ってくる日だ。
コムイに連絡があったから間違いねぇ。
連絡があった時間から考えて、そろそろ城内に入るはずだ。
任務から帰ってきたら報告しなくちゃいけねぇから、コムイの所に行けば会えるだろう。
俺は自室から出て、科学班の部屋へ歩いていく。
角を曲がり、科学班がいる部屋へと続く道で俺は探し求めていた人物を発見した。
「!!」
「神田…?どうして…」
「どうしてじゃねぇ。何で俺に黙って任務へ行った?」
「それは………また後からで良い?先に報告を済ませたいの」
確かに報告を済ませてからの方がゆっくりと話が出来る。
に聞きてー事も沢山あるし、先に任務の報告を終わらせてもらおう。
「判った。30分後にの部屋へ行く。それで良いな?」
「……うん」
俯きながら返事をする。
一体どうしたんだ?
何時も笑顔を絶やさないに何があったんだ?
全ては30分後。30分後には全てが判る。
† † † † †
コンコン
ドアを叩くがの返事がない。
居ないのか?と思ったが、部屋からの気配がする。
再びドアを叩くと、ややあってからはドアを開けてくれた。
「神田……」
「入るぞ」
入り口の前で立っているを促し、部屋へ入ろうとする。
しかしはそれを許さなかった。
慌てて部屋のドアを閉める。
明らかに様子がおかしい。
「。何があった?」
「え?何にも無いよ。それより用は…」
「あ?あぁ。何で任務の事を俺に言わなかった?」
「ごめんね。急な任務だったの。列車の時間が迫ってたから、神田に言う事出来なかったわ」
「だったら無線を使うとか、他の手段があっただろ?」
「ごめんなさい…列車の中では報告書を読んでたから」
確かに事前情報の有無によって、任務の達成率は影響される。
俺も報告書がある時は必ず読んでるし、現場に着けば連絡など言ってられない。
まぁこの件は良しとして………
「任務はどうだった?」
「結局イノセンスは無かったわ。でもアクマがいたから破壊してきた」
「怪我はしてねぇのか?」
「うん。大丈夫よ。探索部隊の人達も無事。怪我も錬金術で治したから」
探索部隊の奴らなんかどうでも良い。に怪我が無くて一安心だ。
俺はぽんぽんとの頭を叩き、自分の方へと引き寄せた。
何時だったか。は俺に『おかえり』と言われると安心するって言ってた。
だから別任務の終了後、が帰ってきた時は抱きしめて『おかえり』と言う。
逆に俺が帰ってきた時は、が抱きしめて『おかえり』と言ってくれる。
『挨拶』同様、これも習慣になっていたはずだったが……
はドンっと俺の体を押して、抱きしめられるのを拒否した。
「ぁ……ごめん。私疲れてるから休んでるね」
そう言うと、は急いで部屋へ入っていく。
そして内側からカチャリと鍵をかけたであろう音が聞こえた。
初めてだ…初めてに拒絶された。
最初に出会った時の『挨拶』も、買い物の時にしたキスも拒否しなかったが……
から初めて拒絶された俺は『何故』という考えしか浮かばず、暫くドアの前から動けなかった。
その日以来、は俺を避け続けている。
朝部屋に行っても既にいない。
食堂かと思い向かってみるも、は来ていない事の方が多い。
それどころか、城内のどこを探してもを見つけることが出来なかった。
いくら城内が広いといっても、全く会わないはずがねぇ。
は明らかに俺を避けている。
何故は俺を避けるんだ?
その理由を本人から聞くためにを探してると、何処かの部屋から出てきたを見つけた。
「!!見つけたぞ!」
「っ!?」
は慌てて踵を返し、俺から逃げていく。
逃がすもんかよ!ぜってー捕まえる!
こうしてと俺の鬼ごっこが始まったわけだ。
今いる位置と城内の間取りを頭の中で描く。
スピードは俺よりの方が上だが、あいつの曲がった先は行き止まり。
外へ出るための窓も無い。
よし!追いつける!!
そう確信して俺も角を曲がった。
だがそこで俺が見たのは、逃げ道を阻む壁を扉に練成しているの姿だった。
は錬成したドアから出て、扉を閉める。
そしてご丁寧にも、そのドアを再び壁へと練成してくれた。
最も近い窓から外へ出てを見失った場所へ行ってみたが、やはりはいない。
くそっ!何故は俺を避ける?
本人が駄目なら、他の奴に聞いてみるか。
リナリーはと仲が良いから、何か聞いているかもしれねぇな。
† † † † †
「え?の事?何も聞いて無いわ」
「ならいい。邪魔したな」
「ちょっと待って!がどうかしたの?」
「に避けられてる」
「は?に?あなた達あんなに仲が良かったじゃない。になにしたの?」
何したの…か、そんな事俺が聞きてーよ。
に嫌われるような事をしたつもりはない。
しかしリナリーも知らないとなると…やはり本人に直接聞くしかねぇ。
早くこの状況を打開しないと、馬鹿な事を考える奴が出てきそうだな。
現に今教団内では俺とが別れたという噂が広まっている。
ちっ。こんな噂が流れたら、最初の牽制(5話参照)が無駄になるじゃねぇか。
一体どうしたんだ?は…………
後書き
前回とはうって変わってシリアスです。
つかさん、どうしたよ!?
貴女に何があったのですかー!?
喧嘩ですか?喧嘩しちゃったんですか!?
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