「ただいま。全部買ってきたよ」
大きな紙袋を抱えて部屋へ入ると、ミリィが僕に抱きついてきた。
わわ!危ない。
「アレンおにいちゃん、おかえりなさい」
「お帰り。ありがとう、アレン。早速始めない?」
「そうだね」
僕達は床に置いてあった絵本やおもちゃを片付ける。
その様子をミリィが不思議そうに見ていた。
「なにをするの?」
ミリィの問いに、が視線を合わせ優しく答える。
「ねぇミリィ。お友達のマリィに大きなお友達が出来るとしたら何が良いかな?」
「おおきなおともだち?」
「そう。マリィと同じクマさんが良い?それともウサギさんにする?」
「ん〜とね……ミリィはウサギさんがいい〜」
「うん。ウサギさんだね」
は買ってきた紙袋の中から布と綿、黒い飾りを取り出し床に置く。
実は、これで大きなぬいぐるみを作ろうとしてるんだ。
ミリィへの誕生日プレゼント。
本当はミリィの誕生日に渡したいんだけど、そこまで滞在できないからね。
あ、の準備が出来たみたい。
「ねぇミリィ。お姉ちゃん、今からおまじないでこれをウサギさんにするよ。見ててくれるかな?」
「うん!」
「それじゃ、いくね」
パン パシィ
両方の掌を合わせ、その手を今度は材料に向ける。
すると蒼紫色の光が発した後、材料はウサギのぬいぐるみに姿を変えた。
今までの練成って金属系の物しか見てなかったけど、ぬいぐるみも作れるんだ!
しかも普通の布を買ってきたのに、練成されたぬいぐるみはファーの生地で出来てるんだよ。
凄い!って本当に凄いね。
ミリィも初めて見る練成に興奮してる。
そんな様子をは微笑んで見ていると思っていたんだけど…
は何故か難しい顔をして何かを考えているみたいだった。
「、どうした?練成は成功じゃないの?」
「へ?あ…うん。何でもないわ。練成は成功よ。ミリィ、気に入ってくれた?」
「うん!すごいね!おねえちゃん!!」
ふかふかのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめているミリィはとても愛らしい。
ミリィよっぽど気に入ったんだね。
もさっきの表情とは違い、嬉しそうにミリィを見ている。
やっぱりは笑顔が一番似合う。
不安な事は除いてあげたい。
の笑顔が守れるように、何時も傍にいたい。
何かあるなら僕に相談してほしい。
そう思うのは、僕のワガママかな…?
「おねえちゃん、アレンおにいちゃん。ミリィがもらってもいいの?」
「もちろんだよ」
「それは私達からミリィへの誕生日プレゼントだよ」
「ありがとう!!あ!そうだ」
ミリィは何かを思いついたようで、洋服タンスで何かを探している。
暫く探すと探し物が見つかったらしく、それらを持って戻ってきた。
そうか。ミリィはリボンを探してたんだね。
そのリボンをミリィはウサギの耳に結んでいく。
「可愛いリボンだね。ミリィのリボン?」
「うん。ミリィのだいすきなリボンなの。だからリリィちゃんにつけてあげるの」
「「リリィちゃん?」」
「ウサギさんのなまえっ!」
「そっかぁ。このウサギさんはリリィって言うのね」
「うん!ミリィとマリィちゃんのおともだちだよ。できた!つぎはマリィちゃん〜」
続いてミリィはクマのぬいぐるみの耳にもリボンを結び始めた。
クマのぬいぐるみが終わると、ミリィは今度の所へ走って行く。
そしてに座るように言っていた。
どうやらにもリボンを結ぶみたいだ。
「おねえちゃんもおともだちだから、リボンむすぶの」
「本当!?嬉しいわ!ミリィ」
今日のの髪型はポニーテール。
だからミリィは結ってあるゴムの所にリボンを結んだみたい。
「じゃあ今度は私がミリィに結ってあげるね。ミリィはお友達だもの」
は鞄の中からリボンを取り出し、ミリィに二つに括っているミリィの髪に結って行く。
リボンを結んで貰っているミリィはとても嬉しそう。
こうやって見てると、とミリィは本当の姉妹みたいだ。
こういうのって凄く良いなぁ。和むなぁ。
そう。ここまでは良かった。
ここまでは…ね。はは……
にリボンを結んでもらったミリィが、とんでもない事を言い出すまでは…(泣)
「アレンおにいちゃんもー。ミリィのおともだちだよ」
「へ……?」
「そうだね。アレンもミリィのお友達だよね〜」
「ちょ…何を言ってるの?!」
「うん。アレンおにいちゃんにもむすんであげる〜」
「それは良い考えだわ!!お友達なのにアレンだけ仲間外れにしたら可哀想よね(芝居口調)」
ちょっと待て―――――!!僕は男だよ!?
普通男はリボンなんてつけないですよ!
僕が一歩下がればは一歩近付いてくる。
それを何度か繰り返すと、僕は壁に追い込まれてしまった(汗)
そして物語は始めに戻る。
「ふふふ…もう逃げ場はないわvアレン」
「え…ちょ…!待って…ほしいんだけど…」
「嫌よ。待ったら逃げるでしょ?」
「そんな事は……」
「させないわよ?GO!ミリィ!!」
「きゃ〜〜〜〜〜v」
「うわ〜〜〜〜!!」
ミリィが足にくっついている為、何時ものように動けない。
その上ミリィに気を取られてしまったから、が背後に来るのを許してしまった。
僕の隙をついたは背後から羽交い絞めにし、僕を強制的に座らせる。
っていうか!胸!!の胸が当たってるんですけど///
「さあ!今よミリィ!!アレンの上に乗って!」
「は〜〜い」
ミリィ!そんな事で良い子の返事をしなくてもいいですから!
彼女が僕の胸の当たりに座っているから、動くに動けない。
はミリィが乗る直前に背後から抜け出し、今は横に座っている。
「さ、アレンちゃんvどんな髪型にしようかな?」
「…楽しんでるでしょ?」
「もちろん!ん〜…結おうにもアレンの髪は短いからなぁ」
「そうそう。だから諦め…」
「るハズないでしょ。そうだ!三つ編みにしよっか〜。ね、ミリィ」
「みつあみ〜〜〜〜」
は抵抗する間もなく、僕の髪のサイドを一房掴み、器用に三つ編みにしていく。
結局、反対側も同じように三つ編みにされてしまった(泣)
「じゃあ、あとはミリィがリボンを結んでくれる?」
「うん!」
ミリィが僕の上から降りて、さっきに結われた三つ編みの所へリボンを結んだ。
「できた〜〜〜。アレンおにいちゃんも、いっしょ〜〜〜」
「良かったねぇ。みんなお揃いだよ」
「(しくしくしく)もう外しても良い?」
「えぇ?もう?結構似合ってるのに?」
…似合ってるって言われても嬉しくないよ(泣)
しかも好きな人から………ハァ。
「アレンおにいちゃん…ミリィのリボン、とっちゃうの?」
ごめん、ミリィ。そんな仔犬が捨てられそうな目で見ないで。
そんなミリィの瞳に勝てるはずもなく…
お風呂に入るまで、僕はこの髪型でした(号泣)
後書き
ごーめーんーなーさーいー。
アレンファンの方、心の底よりお詫びします。
ヘタレなアレンでごめんなさいm(__)m
でも!でも…!ギャグが書きたかったんです!
書いてて楽しかったんです!
このオチを書くために、2話も使っちゃったよ(苦笑)
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