この街で行われてるお祭りの最中にティムキャンピーと逸れてしまった…
師匠からの大切な預かりものなのに。
見失ってしまったら……………師匠に殺される(泣)
「どこ行ったんだよーティムキャンピー…」
返事をしないのは判ってるけど、藁をも縋る思いで呼んでみる。
はぁ。やっぱり居ない。
こんなに人が多くちゃ、なかなか見つからないよ。
さっきの人に手伝って貰えば良かったかなぁ?
でもいきなりこの手の事聞かれて逃げちゃったし…
あの人、変に思ったかな。
それにしても綺麗な人だったなぁ。
せめて名前ぐらい聞いとけば良かった…じゃなくて!
ティムキャンピーを探さなきゃ。
† † † † †
ほ…本当にどこ行ったんだ?ティムキャンピーは(汗)
街でのお祭りは終り、多くの人は帰ってしまったのにティムキャンピーはまだ見つからない。
見つからなかったらどうしよう…
そんな弱気になっていた時、ティムキャンピーがふわふわ飛びながら僕の元へ帰ってきた。
良かった!!師匠に殺されなくて済んだ!(嬉)
「駄目じゃないか、勝手に飛び回ったら。何かあってからじゃ困るだろ?」
そう注意するけど、ティムキャンピーは判っているのか判っていないのか。
僕の周りをふわふわ飛んでいる。
『紐で括りつけようかな』と冗談半分で考えていた時―――
「!?アクマの気配!!」
しかも近く!
いくら祭りが終わったとは言え、この近くにはまだ沢山の人が居る!
犠牲者が出る前に破壊しなくちゃ!!
気配を辿り、アクマの元へ行く。
そこへ辿り付くと、アクマは一人の女性を攻撃していた。
だけどその攻撃は当たらない。
女性が全てかわしていたからだ。
その姿はまるで天使が空で舞を踊っているみたいに見えた。
だけどそれに見とれている場合じゃない!
僕は対アクマ武器を発動させて女性に近づいた。
「大丈夫ですか!?アクマは僕に…あ!」
「え?君はさっきの…?」
アクマと対峙していたのは、数時間前に広場でぶつかった女性だった。
でも何でこんな所で…?
「何してるんですか!?アレは危険なんですよ。早く逃げてください!!」
「アレが危険なのは知ってるわよ。だから私の出番じゃない」
彼女はパンと両手を合わせてから地面に手をつく。
え!えぇ!?地面から槍が出てきた!?
どういう事?彼女は一体…?
「ぼーっとしてる暇はないわ。
あのアクマ、動きが速い上に街の中心へ行こうとしてるの。
早く倒さなくちゃ犠牲者が増えてしまう…!」
そうだ!今はアクマの破壊を優先させなくちゃ。
発動させた対アクマ武器で攻撃するけれど、動きが速くて当たらない。
それは彼女も同じだった。
彼女の動きも速いけど、あのアクマはそれ以上に速い。
こんなに動きの速いアクマは見た事ないぞ。
こうしてる間にも、アクマは町の中心へ向かおうとしている。
このままでは街の人達が…!!
「…思った以上に速いわね。ねぇ君のその腕でアクマを破壊できる?」
「はい。僕はエクソシストですから」
「なら話は早いわ。一瞬でいいから、あのアクマの気を逸らせる?」
「出来ますけど…」
「じゃ、お願いね☆私はその間にアレの動きを止めるから」
彼女はアクマの死角を狙って走り出す。
彼女が何をするのか気になりつつも、僕はアクマの気を彼女から逸らせる為に攻撃した。
僕の攻撃はアクマにかすった程度。
でもそれが気に入らなかったのか、アクマは僕に狙いを定めた。
良し!これで彼女の言う通り気を逸らせた!
そう思った瞬間、パシィって言う音と、蒼紫色の光が辺り一面に放たれる。
光が収まった後に見たのは…地面から生えている巨大な鎖で動きを止められたアクマだった。
「今よ!アクマを破壊して!!」
何が起きたのか判らない。でもこれはチャンスだ!
彼女の声に導かれるまま、僕はアクマを破壊した。
アクマ兵器に内蔵されていた魂が天に還っていく。
良かった…あの人の魂を救う事が出来て。
空に還っていく魂を見ていると、彼女が僕の隣へ来た。
「一緒にアクマを破壊してくれて有難う。私は。君は?」
「僕はアレン。アレン=ウォーカーです」
「アレンのその腕って対アクマ武器なの?」
「はい」
「凄いね!初めて見たよ〜。どうなってるの?」
「これは…生まれた時から」
「そうなんだ!神様からの贈り物だネ☆」
「普段は神様なんて信じてないけど」と笑うさん。
さんはこの腕を見て、気持ち悪いと思わないのかな?
尋ねるとさんは「何で?」と聞き返した。
「私は他のエクソシストを知っているわ。その人達が持っている武器が、アレンにとってその腕でしょ?
アクマを破壊する大切な武器だもん。気持ち悪くないよ。寧ろカッコいいよ!」
カッコいい?この腕が?
さんは他のエクソシストを知っている?
「あの…さんってもしかして」
「で良いよ。私もアレンって呼ぶから。うん。私もエクソシストだよ」
やっぱり!
だからアクマにも驚かなかったんだし、戦えたんだ。
じゃあ、さ…の対アクマ武器って何だろう?
さっき持ってた槍かな?
「え?私の対アクマ武器?それはね、これだよ」
が指差したのは耳。
え?耳が対アクマ武器なの?
それとさっきの槍とどういう関係が……
あの地面から生えてた(?)巨大鎖も気になるし。
「対アクマ武器が耳…?」
「違うよ〜(笑)ピアスだよ」
「ピアス?」
「うん。私ね、エクソシストだけど錬金術師でもあるんだよ」
「錬金術師?」
「詳しく話すと長くなっちゃうんだけどね、私は異世界から来たの」
「………は?異世界?」
「そ。異世界で錬金術を学んでいたの。
で、訳あってこの世界に来てエクソシストになったのよ。
このピアス型の対アクマ武器を発動させると、練成した物が全てアクマを破壊する武器になるのよ」
「はぁ………」
何だか凄い話しになってきてるんですが…(汗)
でもが嘘を言っているようには見えないし。
さっきの戦いで錬金術?を見ちゃったし。
この話なら、さっきの事も全て納得できる。
「でも何でエクソシストになったんですか?錬金術があればもっと別の事も」
「この世界で最初に会ったのがアクマだったんだよ。
アクマを攻撃する為に武器を錬成した所をエクソシストに見られてね。
そのまま教団に連れられてきたの」
「えぇ!?それって誘拐じゃないですか?」
「うん。拒否権は無かったよ(笑)でも、今はこの仕事を誇りに思ってる」
「エクソシストになって良かったよ」と言うの顔は決意に満ちていた。
は笑って話してくれたけど、何か哀しい過去があったんだと思う。
生半可な決意では、エクソシストになれないから。
そんなが凄く綺麗だと思った。
トクン
え?えぇ?心臓がドキドキする。
を見ていると顔が熱くなってくる。
もしかして僕……
「ね、アレン」
「うぁ!はい!!」
「これから教団の本部へ行くんでしょ?一緒に行かない?」
「えええぇぇぇ!?」
「嫌なら別ルート取るけど…」
「嫌じゃないです!」
寧ろ一緒に行かせてください!
「ホント?これからよろしくね!」
「こちらこそ!」
こうして、僕にとってドキドキの旅が始まった。
後書き
以上!アレンとの共同作業でした(笑)
アレン君、恋心を抱いちゃいましたね。
これから教団本部に行くまで、ハプニングが続出☆だと良いなぁ(マテ)
でもアレン君はまだ知らない。
とてつもなく強力なライヴァルがいる事を…
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