この世界に来る直前までは旅をしていたし、小さい頃から色々な所へ連れて行って貰った。
先生達が旅行好きだったから。
私も知らない所へ行って、知らないものを見るのが大好き。
な・の・に!
こっちに来てすぐエクソシストになって、任務ばかりだったから観光してないよ〜(泣)
「これで終りよ!」
イノセンスを発動し、近くにあった木からクロスボウを練成する。
クロスボウは動かす事は出来ないけど、大きな弓を連射できるシロモノよ。
練成した対アクマ武器を使い、アクマを破壊した。
ふぅ。この任務も終了ね。
「お疲れ様です、殿」
「トマさん。お疲れ様です。今回も無事に終わって良かったですね〜」
「そうですね。今回は神田殿と一緒ではないのですか?」
「最近、神田と別任務が多くて…神田がいないのは不安なんですが、教団から一人前だと認めて貰ったと思うと嬉しいです」
探索部隊のトマさんと和気藹々と話しながら駅に向かう。
その時…私は見つけてしまった……!
遠くの方で何かを開催している事を!
見た感じ、大道芸っぽい。
これは………見たいです!
「トマさん!ちょっと待ってて下さい!」
いきなり大声を出したから驚いているトマさんを置き去りにし、私は近くにあった店へ入った。
そこで服を買い、試着室で着替えて出る。
「殿…?服を…一体?」
「お願いがあるんです!これを教団に届けて下さい」
「は?」
さっきのお店で貰った紙袋をトマさんに渡す。
袋の中はね、エクソシストの制服が入っているの。
「私、ここから歩いて帰りますね。それじゃ行ってきまああぁぁぁす」
「へ…!?殿!?待って…」
トマさんが何か言っているけど聞こえないフリ〜♪
だって異世界に来たんだよ?
色々なものを見て回らないと損じゃないですか!
今度いつ異世界に行けるかわかんないし〜。
それに旅するのって結構好きなのよ。
「殿〜〜!!戻ってきて下さい〜〜!!どうしよう…神田殿に殺される…(汗)」
† † † † †
目的地の広場に着くと、大勢の人がいた。
人だけじゃない。いろんなお店も出てる!
思った通り、色々な芸をやってるわv
ピエロの格好をした人達が、広場に来た人達を楽しませてた。
あ!あのピエロ凄い!口から火を吐いた!
向こうでは大きなボールに乗ったピエロがジャグリングをしてる!!
バランス感覚が良いなぁ。
うわぁ!すっごく背の高いピエロもいる〜。
きっと竹馬みたいな物に乗ってるんだろうけどさ。
何処かの国家錬金術師さんが見たら、羨ましがるだろうなぁ(笑)
誰とは言わないけど、牛乳嫌いを直せば良いのにね。
あぁ!あっちで女性ピエロが風船配ってる!
良いなぁ………………欲しい。
後から邪魔になるって判ってても欲しい!
よし!貰ってこよう。
「あの、私も頂いても良いですか?」
女性ピエロはにっこり笑うと、私にも風船をくれた。
可愛いなぁ。丸いなぁ。癒されるなぁ。
思えば、ずっと殺伐とした生活だった。
元の世界では暫く旅をしていたし、こっちではエクソシストをしてるんだもん。
こういう可愛いのを見ると嬉しくなっちゃう。
だから今日は楽しむぞ〜♪
風船を持ったまま、近くの屋台に入る。
中は既に沢山の人で賑わっていた。
これは相席しか無理っぽいなぁ。
軽食を注文し空いている席に座ると、隣に座っていたおじさんが話しかけてきた。
「おぅ!お嬢ちゃん。楽しんでるか?」
「はい!こんな賑やかなのは久しぶりです」
「そうかそうか。ま・ゆっくり楽しんでってくれや」
お店にいる人と大笑いしながらの食事も終り、再び外へ。
おぉ!今度は座る所が高〜い一輪車に乗ったピエロが私のすぐ横を通って行く。
その姿を見ていて注意力散漫になっていた私は横から出てきた人に気付かなかった。
ドンッ!
相手の人は結構慌てていたらしく、私は弾き飛ばされてしまった。
いたたた…
思いっきり尻餅をついちゃった…
「済みません!!大丈夫ですか!?」
ぶつかった人が凄い勢いで謝り、手を差し伸べてくれる。
私はその好意に甘え、その手を取って立ち上がった。
ん?あれ?私、男の子とぶつかったんだ。
それにしても…綺麗な顔の男の子だなぁ。
神田は綺麗系だとしたら、彼は可愛い系?
髪も白いし、神田とは正反対だね(笑)
「ありがとう。私は大丈夫。君こそ怪我しなかった?」
「僕も大丈夫です。ゴメンなさい…探しモノをしてて気付きませんでした」
「ううん。私も余所見をしていたから。探しものしてるの?」
「はい。この人ごみで見失ってしまって…」
「良かったら私も探そうか?」
何だか彼、必死みたいだし。
私はこの後特にする事もないしね。
だけど彼は私の提案を両手を振って断っちゃった。
「いえ!きっとすぐに見つかりますから!」
「そう?でも…」
この時初めて気付いたんだけど、彼の左手って…
「ねぇ、その左手…」
「!?」
しまった…聞いたらマズかったかな?
彼の顔色が明らかに変わったし。
一瞬、気まずい雰囲気が流れる。
「あ「あの!僕なら本当に大丈夫ですから!!ぶつかってごめんなさい!失礼します!!」
彼はそう言うなり脱兎の如く走って行った。
追いかけて謝ろうと思ったけど、この人の多さじゃ追いつけないわ。
結局私は彼の探しものが見つかるのを祈りつつ、再び大道芸を楽しんだ。
また会えたら謝ろう。
後書き
新章突入☆
今度はアレンとの出会い編になります。
というか…本人は出てきましたが、名前が出て無いですね。
次は必ず!!
そして共同作業(笑)
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