先生が強いのは知ってたよ。

 ここに来て思ったのは、エドとアルって強かったんだなぁ。

 二人とも、先生に投げ飛ばされてるイメージしかないから(苦笑)










 組み手の相手をしてくれていた人を投げ飛ばした直後に見たのは、神田とリナリーだった。

 あれ?二人ともどうしたんだろう?




「神田?リナリー?どうしたの?」

……今この人を投げ飛ばしたの…?」

「うん。そうだよ。組み手の相手をして貰ってたの」

「うそ……」




 リナリーが呆然とつぶやく。

 どうしたんだろうと思ってリナリーに近づくと、神田に腕を引っ張られた。

 神田は私の腕を持ったまま、歩いて行く。

 何処へ行くのだろうって思っていたら、神田は近くの空き部屋に入った。




「どうしたの?神田」

「何もされてないか?」

「何が?」

「今まで組み手をしてたんだろ?あいつ等に…」




 そっか。神田は怪我してないか聞いてるんだね。

 トレーニングだから大きな怪我はしないよー。

 心配性なんだね、神田は(苦笑)




「大丈夫。怪我はしてないよ。どっちかと言うと、相手が心配かな」

「…どういうことだ?」

「だって…トレーニングとは言え、思いっきり投げ飛ばしちゃったから…」

の何処にそんな力があるんだ…?」

「私の力…というよりは、相手の力だよ」




 体術もやっぱり円の力なの。

 『力の流れと法則を知る事で、あらゆる事に対応できる。つまり、相手の力の流れを知り、それを利用して相手に返す』

 先生が体感で教えてくれた事。




「体感?」

「うん。何事も体で覚えるのが一番だって言ってたから……」




 よく先生との特訓で投げ飛ばされたなぁ…はは。

 先生は手加減してたんだろうけどさ。

 今思い出しても、体が震えるよ(汗)




?どうした?」

「いや…ちょっと修行風景を思い出して…はは」




 普段は優しい先生だけど、修行の時は厳しかったなぁ。

 でもまぁ、先生のおかげで今アクマと戦えるんだし。

 感謝してます!先生。




「修行は厳しかったのか?」

「弟弟子達は、錬金術が何かを知る為に、1ヶ月間錬金術無しで無人島で過ごしたよ」

「は?そんなん楽勝だろ」

「兄が10歳、弟が9歳の時だったかな?それが先生の修行の第一歩なの」

「マジかよ…」

「うん。先生自身も、修行時代に真冬の雪山で錬金術無しで1ヶ月間過ごしたって。熊を素手で倒したらしいよ」

「すげぇな…どんな人なんだ?」

「ん〜…普段は主婦ね。見てるコッチが恥ずかしくなるくらい夫婦仲が良いの」

「女ぁ?」

「そうだよ。でもね体が弱くてよく血を吐くの。先生、大丈夫かなぁ」

「血を吐くほど体の弱い奴が、人を投げ飛ばすのか…?」




 神田が何か呟いてる。どうしたんだろう?

 先生の事、そんなに意外だったのかなぁ。




 そういえば…向こうの世界はどうなってるんだろう?

 いきなり消えてしまった私の事、先生達にも伝わっちゃったかな?

 エド達、出来れば内緒にしていてほしいな。

 余計な心配はかけたくないもの。

 本当は向こうの世界に帰れるのが一番良いんだけどさ。

 とりあえず、向こうの世界に連絡だけでもとれないかな。

 皆に一言「大丈夫」って伝えたい。

 はぁ。頑張って研究しなくちゃね。

 今日は結構ハードに動いたし、トレーニングは終わろう。

 この後は、錬金術の研究タイムだ!




「ねぇ部屋に戻ろうと思うんだけど、神田はどうするの?」

「あ?あぁ…俺も行く」

「じゃぁ。一緒に行こう!」




 空き部屋を出て、一緒に廊下を歩く。

 ここには先生もエド達もいないけど、こうして隣を歩いてくれる人がいる。

 『お帰り』と言ってくれる人がいる。

 大丈夫!私はまだ歩いていけるわ。


































 え?神田の目的地(?)って私の部屋だったんですか?

 自分の部屋じゃないの?





後書き
教団内での日常(?)を書きたかったんです。
先生の事を神田さんに教えたかったんです。
そしたら甘さもオチもない話しになってしまいました(謝)
なので最後にオマケを付けてみたんですが…
この後神田さんは部屋に行って何をするんですかねぇ(ニヤリ)


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