「よぉ、。久し振りだな」
「こんにちは、ティキ。久し振りと言われましても…昨日お会いしましたよ?」







華舞う場所で 5







 昨日のお掃除中に、お会いしたじゃないですか。
 そして…告白…されました///
 昨日のティキの言葉に顔を赤くしていると、クスクスと笑い声が聞こえました。


「かーわいいねぇ。顔が真っ赤じゃねぇか。なぁ?もしかして、昨日の俺の言葉を思い出してたのか?」


 図星を言われた事と、ティキのからかい口調に、ぷいと顔を背けました。
 するとティキは私の頬に手を添え、ぐいっと己の方へ私の顔を向けさせたのです。


「顔、背けんな。俺を見てろ」


 ティキの真っ直ぐな瞳が私を射抜きます。
 見つめられるたびに、心臓の音が早くなっていきます。
 こんなに大きな音、ティキに聞かれないかしら…
 そんな事を考えていると、ティキの顔が近付いてきました。
 もしかして…もしかしますか!?
 近付いてくるティキの顔をまともに見れなくて、ぎゅっと目を閉じました。
 触れ合う唇。
 まるで小鳥が啄ばむように触れては離れ、離れては触れてきます。


、少し口を開けろ」
「?」


 ティキに言われた通り口を少し開けた瞬間。
 暖かくて柔らかいものが口の中に入ってきました。
 ソレは、私の舌を追いかけ、絡めとり、時には歯列の裏をなぞっています。


「ん…っ…ぅ…」


 初めての感触に驚いた私は、ソレがティキの舌だと気付くのに時間がかかりました。
 ゾクゾクと背中を駆け抜ける快感に立っていられなくなった私は、ティキの服にしがみ付きます。
 するとティキは私を支えるように、頬に添えてあった手を腰に回しました。
 実際にキスしてた時間は数分だったかもしれません。
 でも私にはとても長い時間に感じました。
 漸くティキが離れてくれたとき、二人の間を銀糸が繋いでいました。


「ティ…ティティティ…っ!?」
「落ち着けって、。言えてねぇぞ」
「だって…だってティキがっ」
「はいはい。いきなりで驚いたんだな。でも気持ち良かっただろ?」
「…知らないですよ…」
〜〜?そんな真っ赤な顔で言っても説得力ねぇなぁ(笑)」


 ティキは私をからかってますね。
 わかりました。もういいです。ティキなんて知りません。
 ぷいっと横を向いて、私は自室へと歩いて行く。
 ティキは面白そうに私の部屋に入ってきた。
 …私が言える立場ではないのですが…
 簡単に女性の部屋に入るのもどうかと思いますよ…?


「あぁ?んなもん今更だろ?俺との仲だぜ?」


 まぁそうですよね(苦笑)
 ティキの言葉に納得し、私は出かける準備をし始めます。


「あれ?、どっか行くの?」
「はい。今度行われる晩餐会の食事、私が作る事になりまして…」
「お?そーなの?って事は…とうとう『アレ』が始まるんだな」
「伯爵様もそう仰ってましたよ」
「で、その晩餐会の食事、が作るのか。楽しみだな」
「ふふ。ありがとうございます。これから、晩餐会で作る料理の食材を買いに行くんです」
「ふーん…一人で?」
「はい。そのつもりですが…」
「晩餐会の食材っつたら、かなりの量になるんじゃねぇの?」
「そう…ですね。いざとなったら、何度か往復しますよ」
「それは面倒だろ。こいつ等連れてけよ」


 ティキが指差したのは、いつの間にかいた3体のアクマ。
 えっと…彼等を連れて行くと言うのは…


「荷物持ちに使えよ」
「え?良いんですか?」
「俺が良いってんだ。構わねぇよ」
「ありがとうございます!助かります!」


 ティキにお礼を良い、続いて一緒に来てくれるアクマの方を向いた。
 そしてペコリと頭を下げる。


「すみません、お手数をおかけしますがお願いします」
「…………あぁ」
「判った」
「…………………」


 彼等が荷物持ちをしてくれるなら、楽に終わりそうね。
 普段はあまり外に行かないから、ちょっと楽しみかも。
 材料と一緒に、ロード様へのお土産があったら何か買っていこうかしら。
 わくわくしながら準備を終えて。後は………


「あの…ティキ…?」
「ん?何だ?」
「私、着替えたいのですが…」
「着替えりゃいーだろ」


 あっさりとティキはそう言うのですが…
 貴方がいるから着替えれないんですよ!
 まさか男の人の前で脱ぐわけにはいかないもの。


「別に気にすんなよ。俺との仲「流石にムリです」


 「えー?」と言ってるティキを無理やり部屋の外へ出しました。
 もちろんアクマ達も部屋の外で待っててもらってますよ。
 はぁ…漸く着替えを始めれます。
 買い物に行く前から疲れてしまいましたよ…
 でも、何とか着替えを終え部屋の外に出ると、ティキが待っていてくれました。


「ティキ。そろそろ行ってきますね」
「あぁ。本当は俺が一緒に行きたいんだが、千年公から用事を頼まれててな。何かあったらコイツ等を呼べよ」
「はい」
「お前等も、に何かあったら無事でいられると思うな。を最優先しろ」


 アクマ達に向かって凄むティキ。
 ティキは心配性ですね。
 でも…その気持ち、凄く嬉しいです。


「ありがとうございます、ティキ」


 笑顔でそう言うと、ティキも笑顔を向けてくれました。
 優しい笑顔。
 その笑顔を見るだけでドキドキしてしまうのは、やっぱりティキの事が…
 


「はい?」
「気をつけて行ってこいよ」


 ティキはそう言って、ちゅっと私の額にキスをしました。
 何が起きたのか判っていない私の頭を軽く撫で、ティキは去って行きました。
 え?残された私?
 後からアクマに聞いた所、真っ赤な顔をしていたそうです。


 ティキには驚かされっぱなしです。
 でも…嫌ではありません。
 寧ろ…嬉しい?


 胸の奥に生まれたこの感情。
 まだ恋と呼べないけれど…このまま育てていこうと思います。








後書き
いや…なんかもうスミマセン