ロード様を学校へ見送った後、私は家の中の掃除を始めました。
掃除をするのは好き。
磨いた所がピカピカになっていくのは気持ちいいもの。
華舞う場所で
固く絞った雑巾を持ち、サイドボードを拭いている私。
ええ。ただ今掃除の真っ最中です。
ロード様のお世話係としてここにいる私は、掃除も仕事の一部。
だから、毎日掃除をしているわ。
でもね…
「あの…ティキ?」
「ん?どうした?」
「いえ…あの…楽しいですか?」
ティキがずっと私を見ているのです。
掃除をしている間中、ずっと。
初めは、すぐに飽きるだろうと思っていたのですが…
かれこれ30分以上、見られています。
流石に掃除し辛いのですが………
「一生懸命掃除してるが、可愛くて楽しいぜ」
「はぁ…ただ掃除してるだけなんですが…」
「それが楽しいんだって」
ティキの考えがよく判りません(汗)
でも…ティキは動く気なさそうですし………
「よろしければ、お茶でも淹れましょうか?」
「うん?」
「まだ掃除は終わりませんし、そのままいらっしゃるのならお茶を淹れますが」
「そうだな。お願いしようかな」
「はい。かしこまりました」
キッチンへ向かい、まずは手を洗う。
清潔第一ですよね。
そしてお茶を淹れるための準備をする。
「ティキ、コーヒーと紅茶、どちらがいいですか?」
「今日は紅茶にしてくれ」
「はい」
ケトルに水をいれ、火にかける。
その間に紅茶の葉の用意をした。
さて…お茶請けはどうしようかしら?
朝食を食べてから時間は経ってるから…
サンドイッチを作ろうかしら。
もしティキが食べなかったら、私の昼食にすれば良いよね。
そう決め、手際よくサンドイッチを作っていく。
ふふ。家事歴10年を舐めたらいけませんわv
10分足らずで全てを準備し、トレイに乗せてティキの元へ運んだ。
「お待たせ致しました」
ティキの前のテーブルに、紅茶とサンドイッチを置いていく。
「サンキュ。で、。お前の分は?」
「いえ、私は…」
「えー?何でだよ。一人でお茶してもつまんねぇじゃん」
ティキ、私が掃除中なのを忘れてますね(苦笑)
「私は掃除がありますので」
「そんなの後でいいだろ。一緒にお茶しようぜ」
「駄目です。ロード様が帰ってくる前に掃除をしておかないと。
汚い部屋にロード様をお通しするわけには参りません」
断言するとティキは面白くなさそうに、ぷいっと顔を背けた。
機嫌を損ねてしまいましたか?
まぁ本気で怒っているわけではなさそうですね。
掃除を再開しようと立ち上がったとき、不意に腕を掴まれました。
「ティキ?」
「なぁ…はオレが連れてきたんだよな?」
真っ直ぐな目で私を見つめてきます。
ティキが私をここに連れてきてくださった。
母をエクソシストに殺され、そのまま教団本部へ連れて行かれそうになった私は、逃げ出した。
大好きだった母を殺した人達と一緒にいたくなかったから。
かといって、幼い少女一人で生きていける程、世の中は甘くない。
あの時ティキと会っていなかったら、私は死んでいたと思います。
「はい、ティキが私を連れてきてくださったんです。そして家族をくれたんです」
「だよな。オレが最初にを見つけたのに、ってロードを最優先してねぇ?」
「それは…私、ロード様のお世話係ですし」
「確かにそうなんだけどさー。オレの事も見てよ」
「え…?」
驚いた瞬間、ぐっと腕を引かれティキの胸へ倒れていった。
そして、腰に手を回された。
ほほほほ本日ティキ様に抱きしめられるのって2度目ですよっ!
「うんうん。も随分成長したなぁ」
「ちょ!何処を触ってるんですか!?」
「何処って…なぁ?何処だろうねぇ」
「セクハラですよっ!」
「はは。照れてるも可愛いけど、これ以上やって嫌われたくねぇもんな。
名残惜しいけど離すとするか」
と、ティキは漸く離してくれた。
もう!一体なんだったんですか。
ティキは何がしたかったのでしょう?
乱れてしまった服を直しながら考えてる私に、ティキは視線を合わせてきた。
「、さっき言った事は本当だからな」
「…ぇ?」
「ロードだけじゃなく、オレも見てくれ。オレはが好きだ」
………ティキは今、何と仰いました?
私を…好き?えぇ!?
急な事にパニックを起こしていると、ティキが肩を震わせて笑い出しました。
「クックック。悪ィ。驚かせるつもりはなかったんだけどな」
「えっと…ティキ?新手の冗談…」
「なハズねぇだろ。初めて会ったときから、お前に惚れてた。今思えば一目惚れしたんだろうな」
そんなに前から、ティキは私の事を想っててくださってたんですね。
ティキの気持ちは嬉しいです。
もちろん、私もティキの事は大好きですよ。
でも…
迷っていると、ティキが私の頭を撫でてくれました。
「返事は急がねェよ。
は俺の事好きだけど、それが家族への想いなのか『特別』な想いなのか判らないんだろ?」
「………はい」
「今はそれで充分さ。だがこれから考えてくれ。な?」
「はい」
私が頷くと、ティキは満足そうに微笑み、サンドイッチに手を伸ばしました。
それを見て、私も掃除を再会する。
ティキからの告白、正直驚きました。
でも嬉しかったです。
ノア一族の中で、私が一番お慕いしているのはティキなのだから。
だから、私がティキの想いに答えるのは、そう遠くない未来でしょう。
これから起こる事など何も知らない私は、只々、嬉しそうな笑顔で掃除をしていました。
後書き
ティキ夢?
以外と口調って難しいんですよねぇ。
皆様のティキさんのイメージを崩してなければ幸いです。
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