初めてティキと逢った、あのお花畑。
そこは今も、沢山のお花が咲き乱れていました。
花舞う場所で 15
「凄い…ですね」
「これだけ咲いてると圧巻だな」
お花畑を見たアレンと神田さんが言いました。
お二方の言いたい事は最もです。
私も11年振りに来たお花畑に、驚きを隠せませんでした。
だって…辺り一面、見渡す限りのお花畑だったのですから…
「まさか、お花畑がここまで大きくなってるとは思いませんでした」
「昔の倍くらい、あるんじゃない?」
「そうですね。それくらい大きくなってます」
それでも、記憶の中にあるお花畑と同じ花達が咲いていました。
懐かしさも相まって、その中の一輪を持って帰ろうと膝をついた時。
私達の他に、別の人物がお花畑にやってきたのに気付きました。
そこにいたのは―――
オレ達の思い出の場所の花畑。
11年前、初めてを見つけた場所。
久し振りに足を運んだオレの目に入ったのはエクソシスト3人。
男が二人に…女が一人か。
ん?男は前にオレとカード勝負をしたイカサマ少年Aだな。
もう一人の男は…何つったっけ?
あの日本刀を持ったエクソシスト。
女はオレに背を向けているから顔が判断できない…が。
エクソシスト如きが、この花畑に入るなんて赦せねぇな。
ここはオレにとって大切な場所。
勝手に入り込んだ罪は、死をもって償ってもらう。
殺気を放ちながら近づいた時。
オレに気付いた女エクソシストがオレの方を振り向いた。
「ティキ………?」
「…か?」
どうしてティキがここにいるの?
何でがここにいる?
約1年振りに見る、愛おしい人の顔。
駆け寄りたい衝動に駆られましたが、私は思い留まりました。
そんな事できるはずありません。
だって私は裏切り者なのですから。
約1年振りに見る、愛するの顔。
それはオレの記憶の中にいると、何の変わりもなかった。
ただ一つ違う事と言えば、エクソシストの服を着ている事だけ。
…そうか。は教団側にいたんだな。
探しても見つからねぇワケだ。
がエクソシストだろうが、どうでもいい。
生きて逢えただけで…それだけでオレは良いんだ。
愛しいを抱き締めるために駆けだそうとした時、二人のエクソシストがオレの前に立ちはだかった。
「ノアなんかに、を渡しません」
「ココで死んでもらう」
イカサマ少年と日本刀の青年は、それぞれイノセンスを構えている。
はっ!エクソシスト如きがオレと張り合うのか。
悪ィがアンタ等を殺して、を返してもらうぜ。
オレもティーズを出して、臨戦体勢をとる。
花畑に似合わない、緊迫した空気が辺りを包んだ。
「イノセンス発動」
意外にも、一番早く動いたのはだった。
胸の前で両手を組み、そしてその中に光を集める。
「イノセンス発動『神の憂鬱』」
私は誰よりも早く、イノセンスを発動させました。
ティキと出逢えた今、願いを叶えられるチャンスなのですから。
胸の前で組んだ両手に光を集め、それを放ちます。
この1年、何度も使った技。
アクマの動きを止め、アレンや神田さんを助けてきた技。
それを私は、アレンと神田さんに向けて放ちました。
「なっ!?!?」
「テメェ!何しやがるっ!!」
まさか自分にかけられるとは思ってもいなかったのでしょう。
二人とも凄く驚いています。
その声を無視して、私はティキの方へ歩き始めました。
「二人とも、ごめんなさい。今までありがとうございます。そして…さようなら」
二人の横を通り過ぎる時、小さくそう囁いて…
がイノセンスの技を使ってから、エクソシストの動きが止まった。
殺気が消えてねぇから、操られてるワケじゃなさそうだな。
一体何をする気なんだ?は。
訝しみながら見ていると、がゆっくりオレの方へ歩き始めた。
その途中、二人の横を通り過ぎる時、何かを囁いてる。
遠すぎて内容までは聞き取れなかったが、アイツ等は凄く驚いてた。
何を言ったんだ?は。
オレの所へ来ると言うことは、帰ってくるのか?
また前みたいに、と一緒に過ごせるのか?
楽しかった日々がオレの頭をよぎる。
何でも良い。が帰ってくるだけで良い。
この手でを抱けるなら、エクソシストでも構わねぇよ。
だがは、どこか哀しそうな…けれど何かを決意したような表情を浮かべていた。
後書き
二人の再会。
でもエクソシストとノア。
立場の違い過ぎる二人はどうなるのでしょう…?
そして、さんの言葉の真意は?
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