アイツと出会ってから、離れるなんて考えた事なかった。
 ずっと一緒にいたし、アイツも家族だと思っていた。
 なのに…こんな別れがくるなんて…





華舞う場所で 12





 はぁ〜…やっと頼まれてた仕事が終わったな。
 今回はちょっと…いや、かなり面倒な仕事だったぜ。
 おかげで今日一日、に逢えなかった。
 千年公、知ってて俺に回したのか?だとしたら泣くぞ?
 …まぁいい。どうせ仕事は終わったんだ。
 この疲れはで癒そう。
 屋敷に帰れば、


 『おかえりなさいませ、ティキ。お疲れ様でした』


 と、笑顔で迎えてくれる。
 そう信じて、俺はリビングのドアを開けた。


「あれ?ティッキー。は?」
「げっ!ロード」
「『げっ!』って酷くない〜?」
「オレそんな事言ったか?ロードの聞き間違いだろ?」
「絶対に言ったぁ!僕が聞き間違えるはずないだろぉ」
「あー、はいはい。ところでは?」


 辺りを見回してみるが、がいない。
 となると…キッチンか?
 ロードに聞いてみるが、答えはNOだった。


ねぇ、いないんだぁ。まだ帰ってきてないのかなぁ」


 そう言えば、今日も買い物に行くと言ってたな。
 アクマを護衛につけてはおいたが…遅すぎねぇか?
 どんなに『外』へ出ても、ロードが学校から帰ってくる時間までには戻ってくるのに…


「遅いねぇ。僕お腹すいたよぉ〜。〜どこにいるのぉ〜?」


 椅子に座り、上半身を机に預けているロード。
 退屈そうに足をブラブラさせている。


「ロード、宿題はないのか?」
「ある〜〜〜」
「じゃあ、今の内にやっておけよ。が帰ってきたら、メシの時間になるんだろうからさ」
「え〜〜…めんどくさい。ティッキー手伝えv」
「手伝えって…命令かよ。オレは学無ェんだ」


 つか、オレだってめんどくせぇよ。
 はぁ…ここで心配してても埒があかねぇな。
 オレのお姫様を迎えにでも行くとしますかね。
 は…どこの街に行くって言ってたか?


「ロード、オレを迎えに行ってくるわ」
「じゃあ僕も…」


 ロードが『一緒に行く』と言いかけたとき、急に部屋のドアが開いた。
 最初はが帰って来たのかと思ったが、入って来たのはアクマ。
 ん?あのアクマは…の護衛につけた奴っ!!
 何であんなにボロボロなんだ?
 に何かあったんじゃねぇだろうなっ!!


「ティキ様っ!申し訳ありません」


 アクマが報告した内容に、オレは愕然とした。
 を待ってる最中にコイツがエクソシストの攻撃を受け、それを庇ったが行方不明!?
 いなくなった?が…?嘘だろ…?
 オレは目の前にいるアクマを睨むと、ヤツの頭を掴み、床に押さえつけた。
 ガシャンと大きな音がして、アクマが床に倒れる。
 それを冷ややかに見ながら、アクマに問いかけた。

は生きてんだろうな?」
「それが…イノセンスの攻撃をまともに受けて…」
「生死が判らねぇ…か。
何のための護衛だと思ってんだ?アァ!?
「ひっ!?」


 がいない。それだけがオレの心を急激に凍てつかせた。
 怯えるアクマを見下しながらオレは言葉を続ける。


を最優先しろっつったよな?何でを守らなかった」
「も…申し訳ありません…」
「誰が謝れっつった?理由を言え」
「そ…それが…」


 怯えるアクマに、オレは更に手に力を込めた。
 これ以上力を入れると、アクマの頭は破壊されるだろう。
 だがオレには関係ねぇ。
 を守れなかった報いは払ってもらう。


「ティッキー」


 本気で破壊しようとした瞬間、ロードがオレを呼んだ。


「それ以上ヤっちゃうと、ソイツ壊れちゃうよぉ?」
を守れなかったモノなんて必要ねェよ」
「まぁまぁ落ち着きなよ、ティッキー」


 落ち着けって言われてもなぁ。
 殺気を放ってるお前に言われたくねぇよ。
 の事、ロードも相当怒ってんな。


「お前を襲ったエクソシストの顔、覚えてるだろぉ?」
「は?はっはい!記憶してます」
「だったら、そいつ等を探し出して、が無事かどうか確認して来なよぉ」
「はいっ!!」


 確かに、世界中にいるエクソシストを探し出すのは難しい。
 ましてやを攻撃した、顔も知らない奴を探し出すのには時間がかかる。
 生きてたとしても、は人間だから奴等に殺される事はないだろう。
 だが、オレ達と共に生活をしていたんだ。
 どんな拷問を受けるか…
 がその苦しみに耐えられず、オレ達の事を話してしまうならまだ良い。
 しかし、の事だ。
 オレ達の事は絶対に話さねぇだろう。
 どんな責苦を受けても、黙秘を続け苦しむに違いない





 
 …どうか生きていてくれ。
 そして苦しまない道を選べ。
 その為なら…オレを裏切っても構わねぇ。





 
 −愛している、








後書き
ティキの想いを書いてみました。
ティキさんはさんを愛しています。
その想いは変りません。
例え敵側にいても、無事でいてくれるだけでいい。
そして、さんもティキへの想いを最優先している…
そんな二人の想いを、これからも書いていけたら良いなと思います。
そのための文才をくださいっ!!