「この世界は、私にとって『過去の世界』じゃなく、『異世界』みたいです」


 この言葉に、流石の信玄様も驚かれたみたいです。
 信玄様の声に、幸村さんと佐助さんは手合わせを止め、私達の方へ来たの。


「如何なされたのでございますか!?お館様!」
「珍しいですね、大将が驚くなんて」


 佐助さんの言葉に疑問を持った私は、どういう意味なのか尋ねてみた。
 すると、信玄様は普段は何事にも動じないんだって教えてくれたの。
 あぁ…なんか納得(笑)


「おぉ!幸村に佐助か。いや、の事じゃが、どうやらは異世界から来たらしい」
「異世界…でござるか?」
「はぁ?さん、何の冗談?」
「それが冗談ではないんですよー。
 皆さんの話を聞いて、どうも違和感があるなぁと思っていたんです。
 で、先程の幸村さんと佐助さんの手合わせを見て確信しました。
 ここは私が住んでいた所の過去の世界じゃない。『異世界』なんだって」
「そう思うたのは何故じゃ?」
「先程の手合わせでお二方がやった『固有技』を見たからです。
 私の世界には『固有技』なんてありませんし、使える方もいません。
 歴史…過去に起きた出来事も一通り学びましたが、『固有技』 が使えた武将など、聞いた事もないんです」


 詳しい事は省き、簡潔に説明する。 
 私のいた世界に『固有技』がないと知った幸村さん達は、とても驚いていた。


「では、殿のいた世界には固有技はないのでござるのか」
「はい。先程見たときは、驚きましたよ〜。幸村さんは炎を纏って熱くないんですか?」
「某は平気でござる」
「固有技って、繰り出す本人は平気なんだよ。それ以外の人だと…大怪我するね」


 へー。そうなんだぁ。
 みんな特技を伸ばしてるって感じかな?
 でも習得するまでに、相当な時間がかかったんだと思う。
 信玄様も幸村さんも佐助さんも、努力家…なんだなぁ。
 一人感動していると、信玄様が更なる質問をしてきたの。


の世界では固有技はないのは判った。ならば『バサラ技』はどうじゃ?」
「『バサラ技』ですか…?聞いた事ありませんが…」


 隣にいた幸村さんに、バサラ技って何?と尋ねると、幸村さんは困ったような表情を浮かべたの。
 え?私ってば変な事を聞いちゃった?


「あー…なんと説明したら良いものか…バサラ技は、その人の必殺技みたいなものでござる」
「必殺技…ですか?例えば?」
「例えば、某は炎を付加させた2本の槍を、縦横無尽に振り回す乱舞技でござるよ」
「佐助さんもバサラ技を使えるんですか?」
「もっちろ〜ん。俺の場合はね、2体の影分身を作り出して、高速回転しながら敵を切りつける技なんだ」
「じゃ…じゃあ信玄様は!?」
「ワシのバサラ技は天空から隕石を降らせる技じゃ」


 ………ちょっと待ってくださいませ?
 みなさん、そんな凄い必殺技を持ってるんですか?
 ありえない…今まで生きてきた世界ではありえないことばかりです…
 あ!じゃあもしかして皆さん以外にも、固有技やバサラ技を使える方はいるのでしょうか?
 それを尋ねてみると、あっさりと肯定された。
 この固有技とバサラ技。名のある武将や領主なら使えるんだって。
 じゃあ、織田信長さんや上杉謙信さん達も使えるんですね。
 なんかもう、『ほ〜〜〜〜〜〜』って感じです(どんなんやねん)
 バサラ技…ねぇ。
 私も使えたら、信玄様達のお役にも立てるかもしれないかな。
 そう言ったら、みんなに反対されたの。


は、バサラ技なんぞ使えなくてもよい!」
「そーそー。さんが戦わなくても、俺達で充分だって」
殿は今のままでいてくだされ」


 むー…今のままって言われてもなぁ。
 そうしたら私、役立たずのままじゃない?
 でもまぁ、私が戦場に行っても足手纏いになるだけよね。
 私は私にできる事を頑張ろう。
 あ!でも…


「佐助さん、お願いがあるんですが…」
「なになに?俺にできることなら、何でも協力するよ」
「佐助さんの時間が空いた時で構いませんので、体術を教えてくれませんか?」
「体術?別に構わないけど、いきなりどしたの?」
「自分の身は自分で守れた方がいいかなぁと思いまして」
「あぁ!なるほどね。俺で良ければ喜んでv」
「うむ。良い心がけじゃ、


 信玄様と佐助さんが賛成してくれてる中、幸村さんだけがむくれてる。
 どうしたのかな?


殿、どうして佐助に頼んだでござるか?」
「へ?」
「自分の身を守るのは大切な事だと某も思うでござる。
 だが、何故佐助に頼んだでござるか?某だって………」


 幸村さん、私が佐助さんに頼んだのが面白くなかったのね…
 確かに幸村さんは武田軍の武将だし、佐助さんの上司だもんね。
 本当ならば、幸村さんを通して話をした方が良かったのかも。


「ごめんなさい、幸村さん。先に幸村さんに話をするべきでしたよね。幸村さんは佐助さんの上司なんですし…」
「いや、そうではござらん。某も戦えるのに、何ゆえ佐助に頼んだでござるか?」
「つまり俺じゃなくて、真田の旦那に頼んで欲しかったんだって」


 バチンとウィンクしながら佐助さんが言う。
 佐助さん、駄目ですって。
 それを佐助さんみたいな格好良い人がやると、犯罪ですよ?
 私を殺す気ですか?心臓が止まるかと思いましたヨ!
 いやいやいや。今それは置いといて。


「佐助さんにお願いした理由ですか…?
 うーん…あえて言うなら…佐助さんは体術も使うからですね。私、刀や槍を持った事ないですし」
「じゃが師は何人いても良いぞ。幸村、おぬしもに稽古をつけるのじゃ!」
「はい!某、誠心誠意をもって、殿に稽古をつけるでござる!」


 とまぁ、こんな感じで素敵な師が二人も出来ました。
 でもきっと、体術云々の前に体力をつけなくちゃいけません(汗)































 殿が武田に来て2日が過ぎたでござる。
 その間、この城の雰囲気が変わったでござるよ。
 以前にも増して、柔らかい雰囲気になった。
 これは殿のおかげだと思う。
 殿がいつも笑顔でいてくれるから、某達も笑顔になれるのであろう。
 見てると安心できる笑顔。
 このような笑顔を浮かべれるのは、殿が『戦』を知らないから。
 殿が戦を知ってしまえば、この笑顔は二度と見れなくなる。
 そう考えるのは某だけではないと思う。
 お館様や佐助もそう考えたから、殿がバサラ技を覚えたい言ったとき、反対したのであろう。
 殿は某達が…
 いや、某が必ず守る!
 だから…ずっとその笑顔でいてくだされ。








後書き
はは…何が書きたかったんだろう?
しくったなー。先にテーマを決めると、結構書きにくいわ。
因みに今回のテーマは「拗ねたゆっきー」です。
ゆっきーは知らず知らずのうちに、さんに惹かれてるってことで(笑)