いろんな人に今の情勢を聞いて、妙に違和感を覚えたの。
確かに日本史は詳しくないけれど、何だろう。
何かが違うと、私の中で警告をしている…
木洩れ日のような 6
昼食後、何処かに行こうとする幸村さんに尋ねてみました。
「幸村さん、何処へ行かれるんですか?」
「某はこれから訓練所に行くのでござるよ。殿も行ってみるでござるか?」
「え!?良いんですか!?」
「もちろんでござる〜」
今は戦国時代。
いつ戦があっても良いように、毎日の訓練が必要なんだって。
特に幸村さんは武田軍の将。
戦場では先頭を切って走って行くらしいの。
現代に住んでいた私には、戦場って今イチぴんとこないけど、無茶はしないで欲しい。
幸村さんや佐助さん、信玄様や他の皆さん。
ここで知り合った方々が怪我したら哀しいよ。
しゅんとしていると、幸村さんが慌てて慰めてくれたの。
「だっ大丈夫でござるよ!武田には最強の騎馬隊もいるでござる。
殿は某達が守るでござるよ。安心してここに住んでいてくだされ!」
幸村さんは優しいなぁ。
こんな見ず知らずの私を助けただけじゃなく、守ってくれるなんて。
すごく優しい。
幸村さんや武田の皆さんに会えた事を感謝しなくちゃ。
でもね…
「幸村さんも無茶はしないでくださいね。
守ってくれると言った言葉は嬉しいですが、幸村さんが怪我したら、すごく哀しいですから…
私の我侭かもしれませんが、何があっても必ず帰ってきてください」
真っ直ぐに幸村さんを見つめて言う。
この言葉が、どれだけ難しいか判らなくはないの。
多分、幸村さんの方が、どれだけ難しいか判ってる。
でも幸村さんは、一瞬目を閉じ、それから笑顔を浮かべた。
「判った。某は何があっても、殿の所へ帰ってくるでござるよ」
「約束ですよ?私、約束を破られるのが一番嫌いですからね」
「えぇ!?殿に嫌われるのは嫌でござる〜…某、何があっても約束は守るでござる」
「佐助さんも約束ですよ〜〜!」
大きな声でそう言うと、佐助さんはしゅたっ!と私の隣に現れたの。
いつも思うんだけど、何処からやってくるのかな?
「はいはい。判りましたっと。それにしてもさん、俺がいるのよく判ったね〜」
「え?カンですよ。いれば今みたいに来てくれるかな〜っと」
「は?そーなの?じゃあ、いなかったらどうするつもりだったの?」
「その時はその時で☆」
親指グ☆をしながら言うと、佐助さんは声を上げて笑ったの。
何か私、佐助さんに笑われてばかりじゃないですか?
むーっとしながら佐助さんを見ていると、頭をぽんぽんと撫でられた。
「さんって面白いねー。俺、さんの事、好きだわ」
「あー…ありがとうございます(棒読み)」
「あれ?さん信じてないんだ?」
そんな笑われながら言われてもねぇ。
からかってるのバレバレですよ。
そーんなやり取りをしていたら、幸村さんがお約束の如く
「佐助、女子にそのような事を!!破廉恥でござる!!」
と言い出しました。
しかも頬を染めてですよ!?
何処のヲトメですか?幸村さんっ。
これはもう…行くしかないですよね(ニヤリ)
「幸村さんっ!私は幸村さんの事、好きですからねv」
「殿っ!?ははははは破廉恥でござるよーーー!!」
「あっれ〜?真田の旦那だけずるくな〜い?さん、俺には?」
「はいはい。佐助さんも好きですよー」
他愛ない(?)やりとりをしつつ、私達は訓練所に向かう。
良いなぁ、こんな時間。
佐助さんと二人で幸村さんをからかいつつお喋りするのって。
時がゆっくりと流れてる気がする。
私がここにいる間、こんな時間がずっと続けば良いな。
そう願いながら、私は歩いていました。
訓練所に到着すると、そこには信玄様がいらっしゃいました。
信玄様の提案で、幸村さんと佐助さんが手合わせをする事になったのです。
お互い、それぞれ武器を持って構えました。
私はと言うと、安全な場所で信玄様と見ています。
「手加減無用!いくでござるよ、佐助」
「旦那こそ手を抜かないで下さいよ…っと!」
幸村さんが佐助さん目掛けて槍を振り下ろす。
佐助さんは、それを軽く右に避けた。
けれども幸村さんは、それを見越してたように、体を回転させて佐助さんに攻撃する。
今度は佐助さん、それを大きな手裏剣で受け止めると、幸村さんの顔面を目掛けて蹴りを入れたの。
幸村さん、それギリギリの所で避けて、後ろに飛び退いた。
が、すかさず槍で応戦。
凄い。
もう、それしか言い様がない。
「凄いだろう、。これが武田を代表する武将の戦いじゃ」
これが武田を代表する武将…
幸村さんも佐助さんも、本当に強いのね。
信玄様もお強いのだろうし、武田が天下を取れそうな勢いだわ。
でも歴史は違う。
天下を取るのは『徳川家康』
戦国時代の後は徳川が治める江戸時代が始まる。
日本史に疎い私でも知っている、誰もが知っている史実。
でも…なんだろう?何かが違う。
よく判らないけど、違和感を感じるの。
「む?、どうしたのじゃ?」
「え?あ…何でもないです。少し考え事をしてました」
「はっはっは。なに心配はない。武田の領地にいれば安全じゃ」
信玄様は、私が不安になってると思ったみたい。
考えてた事はそれじゃないけど、信玄様にそれを言うつもりはないわ。
未来なんて知らないほうが良い。
そう思い、再び幸村さんや佐助さんの手合わせに視線を戻したとき。
「千両花火!!」
「うっわ!?旦那!手合わせに固有技は無しでしょ!!」
「問答無用。手加減はせぬと言った!!」
「だったら俺も使わせてもらいますよ。忍法…影潜りの術!」
「ふ…甘いわ佐助ぇ!!」
え?えぇ?ええええぇぇぇぇ!?
ちょっと待って。今私はなにを見た?
幸村さんが渾身の一撃を佐助さんに繰り出しました。
それは良いです。問題はその時なんです。
幸村さん、炎を纏ってませんでしたか?
そして佐助さん!
地面に潜りましたよ!?
「ししししし信玄様!?なななな何が起きたのでしょうか?」
「何を慌てておる?あれは固有技じゃぞ。実力のある武将なら、誰でも使える」
「もしかして、信玄様も『固有技』と言うのをお持ちなのですか?」
「当然であろう」
さも当然だと言う顔で、信玄様は仰いました。
………私、武将の名前を聞いて『過去の世界』だと認識してましたが、
もしかしなくても大きな間違いを犯してました。
でも、それならば違和感の説明がつく。
つまり、ここは『過去の世界』じゃなくて………
「信玄様…私、一つ間違ってました。
私は『過去の世界』ではなくて、どうやら『異世界』に来てしまったようです…」
後書き
さん、漸く間違いを発見☆
いや、ある意味過去の世界も異世界だとは思うんですけどねぇ。
でもこれで、史実とは違う事を書く事ができます(笑)
と言っても…史実には疎いです(マテ)
高校は世界史をやってたので…
かといって、世界史が得意か?と問われれば、答えは「No!」なんですけどね(苦笑)
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