タイプスリップして2日目。
 とりあえず、信玄様のお城の中を把握したいです。
 そう思いつつ身支度をしていた時。


殿ー。起きてるでござるか?」


 いきなり、がらっと障子が開いたの。
 そう…いきなり…ね。
 着替えてたらどうするんですか、幸村さん(汗)







木洩れ日のような 3







「おはようございます、幸村さん」
「おはようでござる。そろそろ卯の刻になる。朝餉を取りに行くでござるよ」
「あ、はい」


 幸村さんに連れられて、台所まで行きつつお城の中を案内してもらった。
 いやー。これがかなり広いんですよ。
 完全に迷わずに目的地まで辿り着くには、何ヶ月かかるかって話だな。
 人一倍方向感覚ないのに…
 とりあえずは自分に関係のある所だけを覚えるか。


「幸村さん、幸村さん。幸村さんと佐助さんの部屋はどこですか?」
「某と佐助の?某達の部屋は、殿の隣でござるよ?」
「へ?そうなんですか!?」
「お館様の命により、某達が殿の護衛につく事になった」
「護衛ですか…?」
「そうでござる。まぁ護衛と言っても、この城にいれば安全でござるよ。
 何か困った事があったら、某達に言ってくだされ」
「あ…ありがとうございます〜〜〜!」

 いや〜んv何て良い人達なの!?幸村さんも信玄様も!!

 こんな見ず知らずの私に(感涙)
 これはもう、私も頑張らなくちゃ!ですよね?
 え?何をって…?う〜ん…何を頑張ろう…?
 まぁ私にできる事があったら、それを頑張ろう。
 あ、そだ。その前に。


「幸村さん、信玄様のお部屋ってどこですか?
 もしくは信玄様って、今どちらにいらっしゃいます?」
「この時間なら訓練所にいると思うが…どうしたでござるか?」
「いや、朝の挨拶をしてないなぁ…と思いまして。」
「うむ!それは良い心がけでござる!ならば今から行ってみるでござるよ」
「はい!あ、あと佐助さんにも挨拶を」
「佐助も?佐助なら」


 幸村さんは今歩いている縁側から外に向かって呼びかけたの。


「おーい、佐助ー」
「はいはい。何ですか?真田の旦那」
「ぎゃっ!?」
 

 私の真横に佐助さんが現れました。
 び…吃驚したぁ。急に現れないで下さい。心臓が持ちません。
 というか、どこから来たんですか?
 色々な事を疑問に思いつつじーっと佐助さんの顔を見ていると…


「ん?どうしたの?さん。まさかこの格好良い俺様に惚れちゃったとか〜」
「ななななな何を言ってるでござるか!?佐助!!破廉恥でござるよ!」


 佐助さんの言葉に、幸村さんは真っ赤になって怒っている。
 幸村さんって純情なんだなぁ。
 ちょっとカワイイかも(笑)


「はいはい、落ち着いてください幸村さん。
 佐助さんは格好良いですし、惚れたら面白いと思うんですけど、残念ながら違いますよ〜」
「あらら。振られちまったな(笑)」
殿!?女子がそのような事を!?破廉恥でござる〜〜〜っ!」


 あはは。幸村さんの反応って面白いかも。
 こんなにも大きなリアクションをしてくれと、もっとからかいたくなっちゃうよネ!


「だいじょーぶですよ。幸村さんも格好良いですからv」


 バチンとウィンクをつけてそう言うと、幸村さんは赤い顔をますます赤く染めて…


「お…お館さむぁあああああ!!」

 と叫びながら走って行ってしまいました。
 クスクス。幸村さんってホント面白いわ。
 でも置いていかれたのは困っちゃうなぁ。
 信玄様の所に行きたかったんだけど。


さん、さん」
「ん?何?佐助さん」
「真田の旦那で遊びすぎだって。気持ちは判らなくもないけどさ」


 苦笑しながら佐助さんが言う。
 あ、佐助さんも気持ちは判るんだ。
 確かに見てると面白いもんね。


「次ぎはどんな風にからかってみようかな?」
「げっ!?冗談でしょ?暴走した旦那を止めるの、俺なんだぜ?程々にしてくれよ…」
「へ?幸村さんの暴走を止めるのって、そんなに大変なの?」
「あぁ。これが大将まで加わると暫くは手がつけられないね」
「ふーん」


 佐助さんの言う『大将』って信玄様でしょ?
 何がそんなに大変なんだろ?


「ところでさ、真田の旦那は俺に何の用事だったんだ?さんは聞いてる?」
「私が幸村さんに聞いたの。『佐助さんは何処?』って」
「そうなんだ?で、俺に用事?」
「用事って訳でもないんだけど…ほら、まだ佐助さんに挨拶してなかったでしょ?
 だから『おはよう』を言いに行こうと思ってさ」

 そう言うと、佐助さんは驚いた表情を浮かべたの。
 しまった…くだらない事で呼ぶなって怒ってるのかな?
 そうだよねー…挨拶をするためだけに呼んじゃったんだもんね…


「あの
「ごめんね!」
「へ?何でさんが謝るんだ?」
「いや…だって…よく考えればくだらない事で呼んじゃったなーっと思って。
 佐助さんって『真田忍隊』の長なんでしょ?忙しいのにさ…」
「俺は怒ってないよ。それに挨拶って大事なもんでしょ?」
「そうだよね!ありがとう、佐助さん!じゃあ、改めて。おはようございます、佐助さんv」
「おはよう、さん」


 お互い、にっこり笑って挨拶。
 良かった。佐助さんも今回はちゃんと笑ってくれた。
 昨日は笑顔を浮かべてても、目は笑ってなかったからね。
 少しは佐助さんに信用されたって事だよね♪


「そだ。佐助さんにお願いがあるんですけど、良いですか?」
「ん?何?」
「信玄様の所に行きたいんです」
「大将の所に?何でまた?」
「まだ信玄様にご挨拶をしてないので。
 最初は幸村さんにお城の中を案内して貰いつつ信玄様の所へ向かおうとしたんですけどね。
 幸村さんが…」


 「お館様ー」と叫びつつ走って行ってしまったので…
 私はまだ訓練所の場所が判らないし、知っていても独りで辿り着けるかどうか(汗)
 だから、もし佐助さんがお手空きだったら案内して欲しいかなーと思いまして。
 そう伝えると、佐助さんは快く了承してくれた。
 佐助さんとお喋りをしながら、お城の廊下を歩く。
 私はまだ知らなかったの。
 この直後に目の当たりにする信じられない光景を………








後書き
………なんと言うか、いろんな意味でお約束?
とりあえずBASARA連載は、普通の女性設定で進んでこうと思います(笑)
ところで…一部『殴り書きフォント』を使ってみたのですが、如何でしょうか?
普通の文字の方が良いでしょうか?
と言うか…無事に見れてますね…?