結局、今朝は鍛錬ができなかった…
 だって、政宗さんも幸村さんも佐助さんも、ずっと言い争いをしてるんだもん。
 小十郎さんが来たときはもう朝ご飯の時間だったし。
 なーんか忘れ去られてるみたいで寂しかったな(苦笑)
 






木洩れ日のような 23







 今の格好は黒のパンツにレースのキャミソール。
 その上から茶色のジャケットを着てるの。
 でもそれだけだと奥州は寒かったので、ショールも羽織ってみました。
 これって、出張に行った時の服。
 この世界に初めて来た時に着てた服なのよ。
 後はパンプスを履き、お城の中庭みたいな所へ出た。
 一通り歩いてみようと思って出発をする。
 え?迷子にならないのか?
 ハハン☆迷子になったら、誰かに道を聞けば良いだけさ。
 ある意味開き直りの考えだね(笑)
 さてさて、何処へ向かおうかな?
 そう考えてたとき。


「お!ちゃんじゃん。何やってんの?」
「あ、成実君。私は米沢城の探検をしようと思って。成実君こそどうしたの?」
「俺?俺は殿を探してんだけどさ。見なかった?」
「うーん…朝食のときまでは一緒だったんだけど、それからは見てないなぁ」
「そっか。ありがと…って…あれ?」


 私の近くに来た成実君は、首を傾げてる。
 どうしたんだろう?着てる服が珍しいのかな?
 いやまぁ、異世界の服だから珍しいだろうけどさ。


「成実君?」
「………ちゃん、背ぇ伸びた?」
「はぁ?」


 いきなりどうしたの?成実君。
 昨日の今日で伸びるはずないって。
 そもそも、成長期なんてとっくに終わってますよ?


「いーや!絶対に伸びてるって!だって昨日は目線がもっと下だった。一寸は伸びてるって!」


 力説する成実君。
 一寸って…約3センチよね?
 一日に3センチも…ってもしかして?


「成実「お!殿はっけーん☆殿ー!とーのー!!!」


 成実君、言葉が被ってますって(苦笑)
 まぁいいや。それは置いといて。
 政宗さんは成実君と私に気付くと、コッチへやってきたの。
 あ、小十郎さんもいる〜〜♪


「ンだよ、成実。ウルセェな。Is anything business?(何か用か?)」
「あのさ!ちゃんって絶対に背ぇ伸びたよな?」
「あぁ?何言ってんだ?話が全然見えてこねぇよ」
「だーかーら!ちゃんだって。昨日より高くなってねぇ?」


 成実君の言葉に、小十郎さんが私の近くに立ったの。
 そして「失礼しますね」と言い、私の身長を自分と比べたのよ。


「そう言われれば…昨日よりも高くなってますね。一寸位…でしょうか?」
「Oh〜?どれどれ?」


 政宗さんも、私の身長を自分の身長と比べたの。
 ただ、その測り方が問題!
 私の腰を抱き寄せ、密着した状態で測ってるの!!
 ギャー!政宗さん、近いですって!!
 ここまで密着したら、逆に測れなくないですか!?
 って…何処を触ってるんですか!?
 ナチュラルにセクハラですよ!!


「ひゅ〜♪やるじゃーん、殿〜」
「政宗様…」


 成実君、政宗さんを煽らないで!
 ほら、小十郎さんが呆れてるじゃないですか…っ。
 離して下さいよ!!
 ぐいっと政宗さんの体を押すと、いとも簡単に離れた。
 キッと政宗さんを睨みつけると、ニヤニヤ口角を上げて笑ってる。
 く…あの笑顔(?)が憎らしい…


「政宗さん、セクハラは犯罪ですよっ」
「悪ぃなぁ。『せくはら』なんて言葉、知らねぇんだわ。
 賢いちゃんに判りやすく教えてもらいてぇなぁ?」


 絶対にあの笑顔は悪いだなんて思ってない!
 おまけに政宗さんなら『セクハラ』って言葉を知らなくても、ニュアンス的に判ってるはず!
 これは絶対にいじめだーー!


「政宗さん、異国語を使って国際派を狙うなら、女性に優しくですよ?」
「A-ha-n.俺は日本の武士で、奥州筆頭なんでね」


 ああ言えばこう言う…
 政宗さんに口で勝てないわ(悔)
 こうなったら最後の手段。
 政宗さんなんか知りませ〜ん。放っておいて城内を探検しに行こう。
 そう思った時、小十郎さんが私に話しかけたの。


「でも、本当に昨日よりも高くなってますよ。背が伸びたのではないですか?」
「違いますよ〜。流石に1日で伸びませんって。理由はコレです」


 私は履いていたパンプスの裏側を政宗さん達に見せたの。
 このパンプスは結構ヒールが高くて、3センチくらい身長が変わってくる。
 だから伸びたように見えたのね。
 関係ないけど、ピンヒールです(笑)


「踵の部分が結構高ぇな。の世界の履物か?」
「はい。パンプスって言うんです。
 踵の部分が高くなってるので、背が高く見えるんですよ。
 判りやすく言えば、背伸びをしてる状態ですね」
「へ〜〜〜。でもさ、この細い部分で体重を支えてるんだろ?歩くと不安定にならねぇの?」
「そうですよ、さん。もし転んだら…」


 小十郎さんが心配そうに言う。
 凄く嬉しい!小十郎さんのその心遣い。
 どこかの奥州筆頭とは大違いだわ。
 あぁもう!小十郎さんみたいなお兄さんがほしかった(切実)


「大丈夫ですよ。向こうの世界にいたとき、ずっとパンプスを履いていましたから。
 歩くだけなら平気ですv」


 にっこり笑って小十郎さんに言ったとき。
 ふわっと私の体が浮きました。
 って………えぇ!?
 驚く私の目の前にあるのは、政宗さんの綺麗な顔。
 

「ままままま政宗さん!?」
「あ?何だよ、
「あの…どうして私は抱き上げられてるんでしょうか?」
「愚問だな。アンタがフラフラして危なそうだったからに決まってんだろ」


 いやいやいや。ふらふらしてませんよ?
 しっかり立ってますよ?
 大地を踏みしめてますよ?


「降ろしてください〜〜(切実)」


 半泣きで訴えた私を、政宗さんは無情に切り捨てたのよ。


「却下だ」


 と…(泣)


「あーあ。殿、程々にしとかねぇと、ちゃんに嫌われるぜ?」
「政宗様…」


 成実君、人事みたいに言わないでよ〜〜。
 小十郎さん、呆れてないで助けてください。
 そんな心の叫びは二人に届かなかったようです。
 何事もなかったように三人で話を進めていました。


 ………政宗さん、私重たくないですか?
 筋肉痛になっても知りませんよ。





後書き
ただ単にパンプスを履くと、ヒールがある分、背が高く見えると言う事を書きたかっただけの話です。
大意はありません(マテ)
それにしても…政宗さんの行動が意味不明だーーーー!(大絶叫)
そこでお姫様抱っこをする意味があるのだろうか…?(おまいが言うな)