伊達の武将様方への挨拶も終わって、私は部屋に戻りました、
さて…何をやろうかな?
木洩れ日のような 21
幸村さんや佐助さんは、政宗さんと話があるらしいの。
だから二人に遊んでもらう事は無理ー。
成実君も、どっかに行っちゃったし、小十郎さんも忙しそうだった。
どうしようかな?と迷っている私の目に止まったのは、ノートパソコン。
そうだ。ちょっとパソコンの設定をしよう。
武田にいた頃もパソコンを使って書類を作ってた事があったんだけど…
流石に武田の情報が伊達に漏れるとマズイよね?
いくら武田が伊達に吸収されたからと言って、見せたくない事もあるだろうし。
まぁ…勝手にいじる人はいないとおもうけど、パスワードをかけておこう。
そう考え、パソコンの電源を入れる。
ウィーンと電子音が鳴り、暫くするとパソコンが起動した。
そして武田に関する情報が入っているフォルダにパスワード設定をかけたのよ。
あ、そうだ。ついでだから日記も書いておこうかな?
毎日って訳じゃないけど、この世界に来てから日記もつけてるの。
今日は伊達に来た最初の日だもんね。
どんな事があって、誰に会ったかしっかり書いておこう。
カタカタと音を鳴らしながら入力をしていたとき。
「!Is it spare time now?(今暇か?)」
と、政宗さんがやって来ました。
「え?えぇ。今は暇ですが」
「そうか、そうか。だったらコレ頼む」
と、手に持っていた書類を、ばさっと机の上に置きました。
…何だか分厚いのは気の所為でしょうか(汗)
「武田で書類を纏めてたそうじゃねぇか。その腕前を奥州でも披露してもらうぜ」
「それは構いませんが…私が見ても良いんですか?」
一応、武田の人なので。私が見ても差し支えないのでしょうか?
政宗さんに尋ねてみたら、何だか呆れた顔をされました。
「あぁ?はもう奥州の人間だろ?それに、おめぇは内部事情を言いふらす女じゃねぇ」
政宗さん、知り合ったばかりの私をこんなにも信頼してくれてるんだ…
ちょっと意外…だったな。
でも嬉しいかも。
ほんわりと心が暖かくなった私は、政宗さんが持ってきた書類に目を通す。
だって、政宗さんの期待と信頼に応えたいじゃない。
「それにしても…かなりの量がありますね」
電卓を叩くのも大変そうだわ(汗)
「そりゃそうだろ。暫くその書類は面倒くさて手ぇつけなかった」
「面倒くさがらずやってくださいよ」
って…しまったぁ!思わずツッコミを入れてしまいましたよ!
恐る恐る政宗さんを見てみると…口角を上げて、ニヤっと笑いました。
うわぁ…背後に真っ黒なオーラが見えまする〜(泣)
「ほー…そう言う事を言うのはこの口か?」
い…痛い!痛いですって!
口とか言いながら頬を引っ張ってますって!
でも、そんなツッコミは恐くて出来ませんっ!!
「ま!まひゃむねひゃん!!はなひへふはさいぃ!ほれはぁ、しほとはへひまへん!!
(ま!政宗さん!!離してくださいぃ!これじゃぁ、仕事ができません!!)」
「あぁ?何言ってんだ?それよりも、おめぇの頬かなり伸びるな」
何それ!?どういう意味ですか!?
私の頬に肉がつきすぎって言いたいんですか!?
頬を抓られながらも政宗さんを睨むと、彼はクッと喉を鳴らして笑った。
「いいね、いいねぇ。アンタのそういう気の強いとこ、俺ぁ好きだぜ?」
政宗さんは私の頬から手を離し、今度はあごにその手をかけたの。
そして避ける間もなく…
ちゅv
へ…?え…?えぇ!?
「ままままままま政宗さん!?いいい今…何を!?」
「何って…Kissしただけだろうが。A‐ha‐。チャンはShyだねぇ」
いやいやいや。シャイではなくて。いきなりキスされたら驚きますって。
幼い頃、海外に住んでた時は挨拶代わりだったけどさ。
ここは(異世界だけど)日本で戦国時代でしょ?
挨拶代わりのキスなんてないじゃないですか。
とりあえず、ニヤニヤ笑っている政宗さんは放っておいて。
コレをさくさく終わらせちゃいましょう。
書類を手に取り、その領を見てみる。
うーん…これだと電卓を使うよりパソコンの方が良いかも。
幸いにも起動してるんだし。
よし、作戦(?)変更☆エクセルを使うぞ〜〜!
まずは…引き出しの中からテンキーを取り出す。
ほら、ノートパソコンのキーボードってテンキーが無いでしょ?
でも仕事上、入力も必要になってくるからテンキーだけ外付けにしたのよ。
テンキーとパソコンを繋いで、エクセルを起動して…っと。
「What is it doing?(何してるんだ?)」
「書類をするための準備ですよ。今回は電卓を使うよりもパソコンの方が早そうです」
「ぱそこん?」
「これの事ですよー」
指差したパソコンを、政宗さんは不思議そうに見ていたの。
「この箱で、どうやって計算するんだ?」
「ふふ。見ててください」
書類をパソコンよりも左に置き、右手はテンキーにスタンバイ。
左指で書類に書かれてある数字を追いながら、テンキーでエクセルに入力した。
静かな部屋に、テンキーを叩く音だけが響く。
「凄ぇな…右手を見なくても場所が判るのか」
「えぇ。何処に何のキー…数字があるか、だいたい頭に入ってますから」
政宗さんとお話してる間も、手は動かしたまま。
だいたい書類1枚入力するのに1分位かな?
一度入力したら、間違っていなかを確認して。
正しければ関数等を使って計算スタート。
だから書類1枚計算するのに、見直しも含めて5分あれば余裕って感じ。
これには流石の政宗さんも驚いたみたい。
「ほー。『ぱそこん』ってぇのは、便利なモンなんだな」
と、しきりに呟いていました。
…政宗さん、今度パソコン使ってみますか?
良かったら教えますよ(笑)
後書き
パソコン登場ーー(笑)
今までも名前だけは出てたんですけどね。
今回、初活躍です。
私もノートパソコンを使ってるんですが…
数字を入力するときはテンキーが切実にほしくなります。
でも…きっと買わないだろうなぁ。
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