武田の武将様方は、お優しい人達ばかりでした。
伊達の武将様方も、お優しい人達だと嬉しいな。
木洩れ日のような 20
「、今から広間に来い。他の奴等に紹介する」
成実君が部屋から去った後すぐ、政宗さんがいらっしゃいました。
他の奴等って…伊達の武将様達ですか?
政宗さんに聞いてみたら、答えは「Yes」だったの。
たかが小娘一人紹介するのに、武将様を集めたんですか!?
そんなっ!?言ってくれれば、私の方から挨拶に行ったのに!
政宗さんの中で、私はどんなポジションにいるんだろう?
信玄様の娘…?いや、私が異世界から来てるの知ってるから、実子じゃないのも知ってるし。
あー…でも信玄様は私の事を『娘』だと仰ってくれたからなぁ。
もしかして『武田の姫君』って思ってる?
武田の姫君だったらそれ相応の身分はあるから、人質と言っても扱いは丁寧になるだろう。
でも…でもね?私は姫君じゃないですってばー!
「政宗さん。私、武田の姫君じゃないですよ?」
思い切って政宗さんにそう言ってみたら…
「はぁ?いきなり何言ってんだ?当たり前じゃねぇか。はだろ」
と言われてしまいました。
つまり政宗さんの中では、私は武田の姫君じゃないんですね。
だったら、ホントに政宗さんの中で私のポジションは何ですかー!?
政宗さんは殿様だから良いんだろうけど、一般Peopleの私はマズイんですよー(泣)
とりあえず皆様にご足労かけた事をお詫びしなきゃ…だよね?
何て言えば良いんだろう?
広間に着くまで、ずっとそれを考えてました。
+ + + + +
と…とうとう来てしまいました。広間の前に!
ちょっとそこの障子の前に立ってる人!
「お待ちしておりました」じゃないからっ!(八つ当たり)
って…あぁ!!政宗さん!まだ入らないでくださいよ!
心の準備があぁぁぁ〜…
うぅ…仕方ない。政宗さんが入っちゃったんだもん。
私も行きますか(泣)
覚悟を決めて一歩部屋に入ると、皆様が注目したのをはっきり感じた。
そんなに見つめないでください(切実)
皆の注目を浴びながら政宗さんは上座に行くけど…
流石に私は上座に行けませんって。
だから一番下座に行き、正座をしたの。
「おぅ。みんな集まってんな。それじゃ早速始めるぜ。
オメー等ももう知ってると思うが、武田からソイツを貰ってきた」
政宗さんがそう言い私を指差す。
すると伊達の武将様達が私を注目した。
そ…そんなに見つめないでください(汗)
必死で視線に耐えてたんだけど…
あ、発見。
幸村さんと佐助さんがいる。成実君と小十郎さんもいる!
こう言うときって、知ってる人がいるとちょっと安心するなぁ。
成実君、私が見てる事に気付いてくれて、笑ってくれた!
「は武田にいたが、正確に言うと信玄公の娘じゃねぇ」
政宗さんの言葉に、伊達の武将様方がざわめく。
そりゃそうよね。信玄様の娘じゃない私を何で連れてきたか、不思議に思うよね?
だけど、政宗さんの次の言葉で部屋の中は静まり返ったの。
「は異世界から来た」
しん…となった室内。
注目を浴びるのも辛いけど、この無言もイタイね(苦笑)
誰か何とか言って下さい。
それとも私が何か言った方が良いのかな?
あれこれ考えていたら、政宗さんが口を開いた。
「、こいつ等に自己紹介してやれ」
ななななななんですとーーーー!?
自己紹介?自己紹介ってアレですか?
自分をアピールするってやつですか!?
あ…う…えっと…
えぇい!こうなったらヤケよ!女は度胸よっ!!
「皆様、初めてお目に掛かります。と申します。
この度は、私の為にご足労ありがとうございました。
政宗さん…政宗様の仰ったとおり、私は異世界からきました。
何故来たのか、どうやって来たのかは、私自身も判っておりません。
気付いたときにはもう、この世界に来てました。
ここで皆様が思うのは、異世界から来た証拠だと思いますが、
それは私が使わせて頂いてる部屋に来ていただければ判ると思います。
この世界にはないモノが沢山ありますので」
「いや。殿が異なる世界から来たのは、着ている物を見れば判る。
我々が見た事もない形をしているからな。
それよりも、殿はこの世界へ来た経緯を知らぬと申したな?では、帰る方法も知らぬのか?」
「はい。今の所は帰る手段は判りません。
来た時みたいに急に消えるかもしれませんし、もう二度と元の世界には帰れないかもしれません。
えっと…失礼ですが、御名前を伺っても宜しいですか?」
「これは失礼した。某は留守政景だ」
「留守様ですね?」
「私は鬼庭宗時だ。少し小耳に挟んだのだが…殿は甲斐にいるときは書類を手伝っていたとか」
「え?えぇ、鬼庭様。面倒くさい計算は、私が電卓を使って計算してました」
「電卓とは?」
「私がいた世界の物で…なんと説明しましょうか…ここで言う、そろばんの代わりみたいなものです」
と、こんな感じで半刻ほど質問攻めにあいました。
皆様、私が異世界から来た事を信じてくれたし、話した感じでは優しそうな方ばかりです。
最後に政宗さんが皆様に一言二言声をかけて、この集まりはお開きになった。
鬼庭様や留守様達が帰られていくんだけど…
私も帰って良いかな?
政宗さんは小十郎さんとお話してるし、幸村さん達を誘って帰ろうかな。
そう思っていたら、いきなり肩を叩かれました。
「やほ、ちゃんv」
「成実君!吃驚したぁ。驚かせないでよ」
「悪ィ悪ィ。しっかしさっきは格好良かったぜ〜。伊達の武将を前に、しっかり話せる女子っていないぜ?」
「そんな事ないよ〜。かなり焦ってたよっ!!変な事言ってなかった?」
「言ってねぇって!小十郎も感心してたよ。ちゃんが物怖じしないで話してたからさ」
「そっかなぁ?とりあえず、皆様に変な印象を与えてないならいっか」
「だーいじょうぶだって!寧ろ好印象だったんじゃねぇ?なぁなぁ電卓だっけ?俺、見てみたいんだよね〜」
「うん。良いよ。じゃあ今から部屋に来る?成実君」
「マジ!?行く行く〜」
こんな会話があって部屋から出て行こうとしたとき。
がしっと、誰かに腕を捕まれました。
………痛いんですけど(泣)
振り返ってみれば、そこにいたのは鬼の形相をした政宗さん。
うわぁ。振り返るんじゃなかった(悔)
「チャンと成実は随分と仲良しだねぇ?いつの間に仲良くなったのか、聞かせてくんねぇ?」
政宗さん、笑顔こそ浮かべているものの、目が笑ってないっスー(怖)
めちゃめちゃ黒いオーラが漂ってますが…
な…何でそんなに不機嫌なんですか?
さっきまで普通じゃなかったですか。
何が地雷だったんですかー!?
「え…?成実君と仲良くなったのは「なーいしょv俺とちゃんだけの秘密だもんねー。殿には教えないよ」
成実君、言葉が被ってます。
と言うか、政宗さんの怒りを助長させないでください。
掴まれてる腕が痛いんですがー!?
ほ…ほら!成実君の所為で政宗さんのブラックオーラが増量中じゃないですか!!
やめてくださいよ、そんなキャンペーン!!
「あの…成実君とは、さっき仲良くなったんです。政宗さんに城内を案内してもらった後、部屋に成実君が来てくれて…」
「あーあ。言っちゃった〜。殿には内緒にしておきたかったのに〜」
そんなことしたら私の心臓が持ちませんって。
成実君は政宗さんと従兄弟同士だし、仲が良さそうだから良いけどさ。
私はまだ、政宗さんのブラックオーラに慣れてません!!
「で、ちゃんよぉ。何で成実『君』なんだ?」
「え?それは成実さんって呼んだら、「さん」付けは駄目だって…」
「そうそう。俺的には呼び捨てが良かったんだけどさ。ちゃんが無理だって言うから」
「当たり前ですよ!成実君は伊達の重臣なんですよ!?」
「ふーん…じゃあ俺の事も『政宗』って呼べよ」
またその話ですかー!?
『政宗さん』で落ち着いたじゃないですかぁ。
話を蒸し返さないでください〜〜。
幸村さん、佐助さん〜。二人でお話ししてないで、たっけてください〜(切実)
だけどね、神は私を見捨ててなかったの!!
この状態から私を助けてくれる素敵な御仁がいらっしゃいました!
「殿も成実殿もいい加減にしてください。さんが困ってらっしゃるじゃないですか」
「ちっ。小十郎か…」
そうです!小十郎さんが来てくださったのです。
で、結局小十郎さんが二人に話し(注意?)をしてくださり、私は無事に解放されました。
え?呼び方ですか?
『政宗さん』と『成実君』で落ち着きましたよ。
後書き
伊達での自己紹介終了ーー。
今回政宗vs成実が書けて嬉しかったです(笑)
あーんど政宗さんの嫉妬も(*^_^*)
こんな感じで、伊達でものんびり書いていきたいです。
ここまで読んで頂き感謝ですv
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