あの後…小十郎さんから信玄様が降伏したと聞いた後。
 私達は広間に集まりました。
 ここにいるのは武田の武将様方と、伊達の武将様方です。
 はっきり言って、双方のお偉い方ばかりです。
 なのに…何故私もここにいるのでしょう…?







木洩れ日のような 15







 この場を仕切っているのは伊達さん。
 武田の代表として話しているのは信玄様。
 良かった…信玄様、ご無事そう。
 信玄様だけじゃない。
 山本様も内藤様も秋山様も…皆さんご無事みたいで良かった。
 内心ホッとしながら、信玄様達の話しに耳を傾けたの。
 話している内容は今後の武田の事。
 この世界の事はよく判んないけど、どうやら皆さん殺される事はないらしい。
 伊達の傘下には入るみたいだけどね。
 それでも良い。皆さんが無事なら、それだけで充分。
 そう思ったとき、不意に私の名前が呼ばれたの。


「おい、
「ぇ…?あ、はい。何でしょうか?」


 伊達さんに手招きされ、彼の方へ近付く。
 すると伊達さんは私の手をぐいっと引っ張ったの。
 いきなりの事でバランスを取れなくなった私は、そのまま膝をついた。
 うぅ…痛いんですけど…コレ(泣)


「で、残るはだな。アンタには奥州へ来てもらう」
「奥州…ですか?」


 奥州って、伊達さんが治めている領土だよね?
 そこへ私を連れて行くって…
 あまりの展開に言葉の出ない私。
 そんな私に代わって反対してくれたのは幸村さんだった。


殿は武田と何の関係はござらん!」
「うむ。政宗殿には悪いが、に人質みたいな事はさせられぬ」


 幸村さんの言葉に、信玄様も同意してくださった。
 今はご自分の事の方でいっぱいいっぱいな筈なのに、私の事まで気にかけてくださる心遣いが嬉しかった。


「テメー等に話してんじゃねぇよ。俺はと話しをしてるんだ」
「いや…あの…そもそも私に拒否権なんてないんじゃないですか?」


 だって…伊達さんは「奥州に来るか?」じゃなくて「来てもらう」って言ったのよ?
 はっきり断言してるじゃないですか。
 そういうと、伊達さんはニヤリと口の端をあげて笑ったの。
 ここここ怖いです…その笑みは(ガタガタ)


「よく判ってんじゃねぇか、チャンよぉ。ま、安心しな。
 アンタが元の世界に帰れるまで俺が面倒みてやるよ」


 何で伊達さんは私が異世界から来た事を知ってるんだろう?
 ふと、そんな疑問が頭に浮かんだけど…
 そういえば、さっきの幸村さんとの会話で、そんなような事を話してたっけ。
 だから伊達さんはこう言ったのか。
 と、この時の私は伊達さんの言葉を深く考えていなかったの。


「あの…伊達さん。私が行って迷惑じゃないですか?」
「あぁ?迷惑だと思ってる奴を俺が連れて帰ると思ってんのか?」


 いや…そんな事を言われても、貴方の事殆ど知りませんし(汗)
 そもそも私、何もできませんよ?
 連れて帰っても足手纏いになるだけだと思うんですけどねぇ。
 そう思っていると、伊達さんの部下の人が私に話しかけてくれたの。


「大丈夫だって!うちの殿は新しいもの好きなんだから。
 ちゃんが異世界から来たってだけで充分だって」
 

 この人…あっけらかんと笑って言ってるけど…
 そんなものなんですか?
 確かに異世界から来てますが、武田にいたんですよ?
 敵だったんですよ?
 じーっと伊達さんを見ていると、伊達さんの後ろに控えていた小十郎さんが話しかけてくれたの。


「大丈夫ですよ。政宗様はずっと貴女を探しておいででした。だから安心して米沢城に来てください」


 小十郎さんに優しく微笑みかけられて、思わず頷きそうになったとき。
 幸村さんが立ち上がり、私を背に庇うようにして伊達の皆さんを睨んだの。


「駄目でござる!殿が元の世界に帰るまで某が守ると決めたのだっ!!
 それにやっと慣れた暮らしから離されると、慣れるまで再び大変な思いをするかもしれない!」


 幸村さんの気持ちは嬉しいけど…
 これ以上伊達さんに歯向かうと殺されるかもしれないわ。
 折角助かった命だもん。こんな所で終わらせたくない。
 だから私は幸村さんを説得したの。


「幸村さん、私なら大丈夫ですよ。時間は掛かるかもしれませんが、米沢城での暮らしにも慣れてみせます」
「しかし…」


 言い淀む幸村さんに痺れを切らしたのか、伊達さんが口を挟んだ。


「あーもう!うるせぇなぁ。だったらお前も来りゃいーだろ」
「某も…米沢城へか…?」
「あぁ。それが一番早ぇ。テメェもと一緒に来れば文句ねぇだろ?」
「あ!だったら俺も行っても良い?真田の旦那だけじゃ大変だろうから」


 何ですかそれは?私のお守りは大変だと言いたいんですか?
 でも私も誰も知らない所で生活するよりは、幸村さんや佐助さんがいてくれた方が安心できる。
 だから今は文句言わないけどさ。




後書き
戦の事後処理って事で。
さんとゆっきーと佐助さんは伊達領へ行く事に。
これでやぁっと書きたい事がかけるぞーーーーー!!!