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楽    書    帳たのしみつつかきしるすノート 6




弥十郎ヶ嶽やじゅうろうがだけに登る

 
(H14.6.23(日)曇り)



 波の弥十郎ヶ嶽(715m)を登ってきた。予てから考えていた山の一つである。
 日前に車で登山口や駐車可能な場所などを確認しておいた。籠坊温泉の中から出発するのだが、そこへの杉生からの進入道路が如何にも狭くて、気持ち悪い。それでこれまで敬遠してきたのであるが、先日思い切って走ってみたところ、やはり予想していた通りだった。幸い往復とも対向車に出会わず無事に通れたが、とても気楽に入っていける道ではない。
 日はそこで少し遠回りになるが篠山の方から入ってみた。狭い交差の出来ない範囲が多少短い感じだった。ここは現在でもバスが通っているので、その点では何となく安心感がある。時間にして10分位余計かかるのだが、この方が大分安全と思う。9時少し前に家をスタートし、10時10分前に籠坊温泉の出会橋を少し入った、予定の駐車地点に到着。身の回りを整えて歩き始める。
 装道路を5分程行くといよいよ登山口だ。山への案内板が立っていて、更に直ぐ側に近所の人でも書いてくれたと思しき、端切れ板にマジック書きの矢印があり、非常に良く分かる。それに従って段々畑の間を上がって行くと、右側に萱葺きの比較的しっかりした建物が出てくる。「農文塾」と大きく横書きされた看板が見えた。現在は使用されていないように見受けられたが、荒れ果てた状態と云う訳ではない。その前を過ぎると茶畑に出る。その真中を抜けると猪避けと思われる簡単な木戸に当たる。開けて入ると一辺に山そのものとなる。木枠に網を張っただけの粗末な戸だが、見事に里と山を区切っていた。 頂上、数組がシートを広げる広さは充分。眺望はあまり利かない。 
 こから約25分は深い杉林のかなりな急坂で、六甲山の七曲がりを一瞬髣髴させたが、それほど長くはない。しかし上がりきった時には汗びっしょりだった(10時25分)。いきなりの登りで、これは一寸大変な山かなと思わせてくれる。杉の下枝が場所を選ばず、一面に切り落とされているので、うっかりすると道を見失いそうになり、注意して歩を進めた。そこを上がりきると一つの尾根道で標識が立っていた。それに従い左に進む。幅もあり、ハッキリした道だ。それからは軽い登りと下りを繰り返して次の標識に到達した、10時35分頃だ。
 に進むこと23分(11時頃)で「ハバカベ山」と「日置村」の石柱が出てきた。山のガイドによるとこの石柱の意味が、よく分かっていないらしい。ここまでは中山縦走路のアップダウンの道と良く似ている。こちらの方が、少し木立が深く感じられるところが違う点か。歩いている感じからすると尾根を一二度伝ってきた様子だが、眺望は全くきかない。
 のまま歩いていくこと22分程(11時20分)でまた標識があった。後川しつかわ方面からの竹谷コースとの合流点で、ここまで来ると頂上は直ぐと案内の本に出ていたの思い出し、少しホッとする。この直前にやはりやや急な登りがあった。
 々に先が明るく感じられるようになってきたが、南に当たるらしい進行方向の右側が伐採されている為で、大野山や他の北攝の峰峰が見えるとガイドには出ているが、そうハッキリはしていないみたいだ。そこを過ぎると直ぐに頂上であった(写真 上)。11時27分到着、スタートからの所用時間1時間30分。 頂上から北の方角を見る。立ち木の為、余りよく見えない。最初の標識から頂上まで、アップダウンは大小合わせ合計9回もあった。特に頂上手前20分のところはかなりの急坂で上がると違う尾根道に出て、そこから約10分で頂上である。
 上はあまり広くはないが、平らで腰を下ろして休むのには充分だ。先客が二組いて食事中だった。さっきとは反対側の北側が開けていて、眼下に篠山の郡部の家並みが眺められる(写真 右)。ただ背の高い樹木が周囲を囲んで、視野を遮っている為、完全には見えなかった。こちらもシャツを替えてから、握り飯をパクつき、おやつを楽しんでいると、生憎雨が少し落ちて来始めてしまった。ひどくなっても嫌なので、早々に下山することにし、頂上と記された標識の前で写真を1枚撮り、来た道を戻り始めた。12時17分だった。
 りはさしたる事もなく順調に進んだ。雨は、幸い初めのうちで直ぐ止んだようだった。というのは木立の高いところが大半で、少しくらいの水滴は下まで落ちてこないので目に入らないという訳だ。農文塾の萱葺きに戻ったのは2時前だった。
 十郎の山道の特徴は、落ち葉が積み重なった非常に歩き易い所が、総じて多いということだ。それも杉や檜、或いは名前が分からないが、大小の樹木の林の中の道である。そよ風が通りぬけることも多く、気持ちの良いことこの上ない。出だしの急坂と先に書いた頂上近くのそれの二ヶ所以外は、本当に素晴らしい道が続く。ただし いいことばかりではない。何だかやたらと虫が多いのである。蝿、カ、虻などが、顔の周りを飛び交ってくる。一寸いただけないが、仕方ないか。
 の猪避けの木戸を出る頃には、すっかり晴れてきていたので、そこの日溜りでゆっくり休憩してから、帰路に着いた。途中「渓谷の森公園」に立ちよりコーヒーを飲み、次いで「奥猪名健康の里」で一風呂浴びて、さっぱりして再びハンドルを握った。弥十郎ヶ嶽は手ごろな山ではあるが、少しアプローチに難がある。車でないと来難い。ハイカーがあまり訪れない理由にはこれがまず上げられるだろう。今日は頂上でゆっくり出来なかったので、もう一度是非登ってみたい。
 うそう今日初めて試したものがある。登山用の杖である。持ってみて役に立つ時と不要な場合があり、なかなか難しいと思った。勿論あっていいが、必要不可欠というほどのことでもなさそうだ。危険箇所の上り下りは、やはり素手の方が頼りになるように思う。         

                                                   以  上