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楽   書   帳たのしみつつかきしるすノート 13



烏ヶ岳の一万歩を楽しむ



(兵庫県三田市 528.1m H16.6.22)


 地図は三田市観光協会のものから借用。 烏ヶ岳の直ぐ北に大船山がある。ここをクリックすると大きな地図の出ている 「大船山に登る」 にリンクする。 三田市の北東、有馬富士と羽束山とで三角形を丁度作る位置にある「 烏ヶ岳 」に登ってきた。登ってきたという表現は少々仰々しく、単に頂上までを往復、歩数にして約一万歩の山歩きを楽しんできたと言うのが正しかろう。時間にすると正味2時間半程度で、高度差では約300m位と思う。それでもこの時期のことゆえ登りでは汗ビッショリで、着替えのシャツが役立った。実のところ標高を前もって見ていなくて精々一寸した丘程度だろうと多寡を括っていた。だが登りながらそれにしては相当急な階段状の登りが続くなと感じていた。上がって頂上の樹林に縛り附けられた標識を見て初めて500m以上あることが分かり、合点が行った次第だった。
  ななまつの森入り口付近からの烏ヶ岳。中央の先の尖った山。 昨日は6月としては珍しい日本列島への上陸が二つ目という台風が、それも我が近畿を直撃した。その為に終日家から出られず、籠の鳥状態だった。一夜明けて気持よく晴れ上がった空を見て、急に出掛けることにしたものである。自分から行こうと言い出すなんてどうなっているのですか、と何時もの様に桂子は嫌味の一言をのたまわったものの付いて来た。
 例によって車で家を出る。その時点では未だどこに登るとか歩くとかは決めていなかった。ただ方向としては三田の高平地区とだけ考えていた。約40分程でいけるが、そこにつくしの里 という名前の道の駅に似た物販店がある。文字通り里山の真中で付近の雰囲気がやさしく、のんびりしているので気に入っていた。 頂上直下からの樹林越しの烏ヶ岳。 ここから約10分で登れた。時々訪れて野菜を求めたり、付近を散策してからお茶を飲んだりしている場所だ。その直ぐ近くに 「高平ナナマツの森」 と名付けられた里山公園がある。三田市が力を入れたのであろう、整備の行き届いた野趣に溢れた気持ちのよいところである。棚田があったり、池を囲んで水辺の広場があったり、谷あいを清流が流れていたりする。それで以前ここの一部を歩き一番奥にハイキング向きの山があることは知っていた。つくしの里に到着して広い駐車場の片隅に車を止めてから案内板を見て、今日はその山 烏ヶ岳 に登って見ることに決めたのだった。
 ナナマツの森に入って手入れのいい山道を10分程登ると、まず小さな谷に架かった赤い橋がある。ロープが張られ一見すると吊り橋風だが、それはあくまで飾りで、触ると力は全くかかっていない事が分かり苦笑させられる。それを渡ると標識があり頂上へは左右どちらからでも行けるようになっていたが、左を選らぶ。見晴しの道を経て55分となっていた。
 そこからは一遍に急な階段状の山道で、結局この状況が殆ど最後迄続いていた。漠然とそれまでの散歩道の続きを考えていたので、おやこれは?と思い始めたことだった。途中で少し眺めの利くところが1ヶ所ある以外は、階段状はいっこうに変らず汗は滴り落ち、息は弾む。 烏ヶ岳528.1mの頂上、三等三角点が見えている。ベンチの上方の木に標識が附けられている。 登り出してからかれこれ45分位で、やっとピークの下に当る見晴らし台に到着。南側だけが開けた所で、六甲山系をバックに三田の街並みが望見された。既に正午は過ぎていたが、もう僅かで頂上の筈と一息入れて登りを再開。直ぐ又標識があり方向を確認して進むと初めての下りになった。そこを下ると林の向こうに割合先の尖った小さな頂きが見える。方向的に間違いなく烏ヶ岳だ。元気を出して登りに変った道を上がりきると小さな平地に出た。
 ベンチが一脚があり、周囲は林に囲まれ見通しは利かない。真中の一本の木に西宮の住人が附けたと思われる頂上を示す小さな標識が目に入り、同時にその下あたりに三角点の石柱が埋められているのが分かって、間違いなく頂上と確認できた。前記のようにこの時初めて標高が528.1mであることを知り、意外な標高に驚いたのだった。途中から散歩の延長にしては、少し足腰に応えると感じていたがその時やっと納得出来た。 積もった落ち葉の中にいるのを発見。体長約7cmの大型のクワガタ。近くの木に掴まらせて記念?撮影。  ななまつの森で見つけた可憐なササユリ。誰かリボンまで結んであった。
 あたりには他の人はおらず、自分達だけなので、ベンチを占領して休むことにした。濡れたシャツを着替え、汗をぬぐって昼食にする。時計は12時45分を指していた。ここまで歩き出してから1時間15分位かかった計算になる。周りの見通しは利かないものの、明るさの加減から、小さな独峰であることが感じられた。
 小1時間ゆっくり休んだ後、戻ることにした。頂上から直ぐ下にある道標を今度は来た方向とは反対の水辺の広場の方にした。丁度一廻りする形になる。ここからも相当急な下り坂が続き、丸太で補強された階段で足を滑らさないように気を遣う。登りの時の道とは違い、谷間を行く所が多く、光が遮られてやや薄暗かった。ただ落ち葉が積もっていて、足裏の感触は適当に柔らかく悪い感じではなかった。上りもそうだったが、前日の台風の所為と思われる倒れた枯れ木や未だ青い葉のついた折れた枝がそこかしこに落ちている。 この手の標識が5〜6箇所にあって、非常に分かり易い。 こうして下りはかれこれ45分程度で出発点近く迄戻って来れた。
 この山は総じて眺めがあまりない代わりに谷川のせせらぎの音が聞こえて来たり、落ち葉の中にクワガタムシがいたり、可愛らしいササユリが咲いていたりして、結構慰められた。
 結局今日は他の人には誰も出会わず、静かな山を我々だけで独占していたことになる。お陰で山の綺麗な空気に存分にひたれ、良い気持ちにさせてもらった。又新しい一つの山を訪ねられたという満足感と適度な疲労感を覚えつつ、つくしの里でコーヒーを飲み、野菜を少し仕入れて帰途についた。 ( 以 上)