ラブ・シンフォニー 第25話






キラ達住む町にある大き目の神社。そこが花火大会が行われる会場だった。
日が沈み暗くなり始めた境内を提灯の灯りが照らし、様々な出店が立ち並んでいる。

神社の入り口。フレイとキラとこの場所で待ち合わせをしていたミリアリアが辺りをキョロキョロと見渡して二人を探していた。
すると、視界に見慣れた赤い髪を見つけミリアリアは手を大きく振りながら彼女を呼んだ。

 「フレーイ!こっち、こっちー!」

 「ミリアリア!」

ミリアリアの存在に気がついたフレイが小走りで駆け寄ってきた。しかし、彼女と一緒にいる筈の人物がいないことに首を傾げた。

 「あれ?何でフレイ一人なの?キラは?」

すると、フレイは何とも言えない複雑な表情を浮かべながら溜息を吐く。

 「あの子、ある意味天才だわ…」

 「?」

フレイの言っている意味が分からず困惑していると、彼女は更に言葉を続ける。

 「ミリアリア。彼、今何処にいる?」

 「ザラ君ならキラに見つからないように少し離れた場所で待って貰ってるけど…一体何があったの?」

 「すぐにこっちに呼んで来て!緊急事態なのよ!!」

 「緊急事態?!」

 「説明は彼が着てからするわ!だから早く!!」

 「う、うん。分かった」















 「緊急事態ってどう言う事だ?キラに何かあったのか?!」

ミリアリアに呼ばれたアスランは何事かと慌ててフレイに駆け寄ってくる。
アスランを連れて戻ってきたミリアリアもまた、事の次第を聞くべくフレイに近づく。

 「まさかこんなベタなお約束をやってくれるとは思わなかったんだけど…」

 「?」

ふーっと溜息を大きく吐いて苦笑いを浮かべながら片手を額においた。

 「逸れちゃったのよ、ここに着いてすぐに。」

一瞬の間。彼女の言葉が二人とも一瞬理解出来なかった。

 「……………は?」

 「だーかーらー!逸れちゃったのっ!!キラはただ今迷子中!!!」

やけっぱちになった様にフレイがもう一度言葉を吐き捨てる。瞬間、アスランの表情が硬くなる。

 「た、大変じゃないかっっ」

 「だから緊急事態だって行ってるじゃない」

 「キラをこんな人だらけの場所で一人なんかにしたら…」

こんな悠長に話している場合ではない。一刻を争う。フレイ達の話によるとあの日以来、キラは自室から殆どでなくなったらしい。
と言う事はキラのリハビリは途中で止まっている事になる。只でさえ短期間で簡単にどうにかなるものでもない筈のキラの症状。
それでも無理を承知でキラをこの場所に誘ったのは自分がずっと一緒に付いているつもりだったからだ。
だから、少し荒療治かもしれないがキラに自身を持たせるきっかけになればと思い誘ったのだ。
そして仲直りの場所をこの場所にしたのはキラがこの日を楽しみにしていた事と彼女達と自分が付いているつもりだったからに他ならない。
それなのに今、キラは一人。
この状況はかなり拙い。まだ、花火大会が始まる時間までには時間がある為、人はそこまで多くはないがこれからどんどん増えていく。
それに今のキラが耐えれる訳がない。

 「今日のキラはいつも以上に拙いのよ…」

ぼそり、と漏らしたフレイの言葉にアスランは「どう言う事だ?」と尋ねる。
が、フレイには「こっちの話よ」と言って誤魔化されてしまった。
だったら、初めから呟かないで欲しい。気になってしょうがないではないか。等といろいろ思うところはあったが
今は何よりキラを探し出す事が最優先だ。

 「兎に角、手分けして探しましょ!私達は出店の方を探して見るからザラ君はあっちの境内の方を探して」

 「分かった」




ミリアリア達に答える声と同時にアスランはキラを探すべく、踵を返して境内の方に駆け出していった。







                                        





 ◆あとがき◆
はい。かーなり久しぶりの更新です。『ラブ・シンフォニー』第25話をお届けします。
確か、花火シーズンが終わるまでにとか夏コミ前に少しでも書くとかいろいろ言ってた気がするのは気のせいです(苦笑)
さて、今回また二人再会できませんでした。キラさん迷子中です。中々会えません。簡単に会わせても面白くないと思ったのですが
いい加減合わせてあげないと可哀想なのでそろそろ。。。あと、4か5話くらいで第一部が終われると思います。
もう、既に一年以上続いているこのシリーズですがあと少しお付き合いくださいませ★