ラブ・シンフォニー 第14話
「 しっかし… 」
フレイはキラを上から下までしっかり見るとはーっと大袈裟に息を吐いた。
「 ここまで変わっちゃうもんなのかしらね?」
驚きだわ、と言いながらキラをじろじろと見続け、ミリアリアもそれは同じで彼女の場合はキラの変わりっぷりに
テンションも上がり続けている状態だった。
「 ホントよねーキラってば元々ちゃんとすれば可愛いだろうなーとは思ってたけど予想以上よねー
あーもうっいろんな服着せてみたいっっ!! 」
「 そうよねーキラならスタイルも良さそうだから何でも似合いそう 」
「 ……………あの……… 」
「 じゃあ、今日の帰りにでもショッピングなんてどう?」
「 いいわねーvvv 」
「 あのっ二人とも!! 」
初めは二人の勢いに圧倒されて大人しく黙っていたキラだったが、どんどん話を進めていく二人に流石に黙っていられなくなった。
今朝、登校時にアスランと別れフレイとミリアリアに駆け寄った。
キラの姿に二人は目を丸くして驚いた。しかし、それも仕方のない事だった。
週末、最後に会った時には地味で目立たない容姿だった友人が週が明けたら誰もの目を惹く美少女になっていたのだから。
そしてその勢いは教室に着いてからも続き、現在昼休みに至るのだった。
「 どうしたの、キラ?」
「 どうしたの?じゃないよー二人とも少し落ち着いてよ 」
キラにしてみれば自分の容姿は並かそれ以下という認識でその自分がただ、眼鏡を外して前髪を切り揃えて後ろ髪を下ろしただけの事。
キラ自身は一大決心だったのだが、この二人がここまで騒ぐのがキラには理解できなかった。
「 これが落ち着いてられる訳ないじゃないの!キラがこんなに可愛いのにっ 」
「 そうよね、これでおしゃれしないなんて同じ女として許せないわっ 」
ぎゅーっとキラを抱きしめるミリアリアにその横で腕を組みながら頷くフレイ。
最早、この二人の勢いは止まる事を知らなかった。抱きしめられたミリアリアの腕の中で頬を染めながらうーっとキラは唸った。
「 なによ、キラ。ノリが悪いわねー 」
キラの態度に腑におちなかったフレイがキラを見る。
「 だっ、だって二人とも大袈裟なんだもん 」
顔を赤くしたまま恨めし気にフレイを見上げる。そんなキラの取る行動の一つ一つが可愛らしくて思わず抱きしめたくなってしまう。
「 二人に褒めて貰えるのは嬉しいけど、僕なんか全然普通なのに…… 」
二人の方が可愛いよ、と俯きながらキラは言った。
きっと、他の人に言われたら自分の容姿を洟に掛けた嫌味にしか聞こえなかっただろう言葉はキラが言うと何故か素直に受け止めれた。
それはきっとキラが本心から言っている言葉だから。そして二人がそれを分かっているから。
「 まったく…キラは 」
「 ホント、分かってないわよね 」
フレイとミリアリアは顔を見合わせ、クスリと笑う。
キラを可愛いと思ってしまうのは何も外見だけではないのに。
控え目で優しいキラ。どこか抜けていて守ってあげたくなってしまう。
元々キラは可愛い性格だったのだ。ただそれに容姿が追加されただけで。
しかし、当の本人はそれに全く気付いておらず、きょとんと首を傾げて二人を見ている。
「 まあ、キラらしいって言えばそうなんだけどね… 」
「 ホント、ザラ君も大変ね 」
「 もうっ何だよ二人してーそれに何でそこでアスランの名前が出てくるの?」
本当に大変よね…ザラ君とわざとらしく大きく溜息を漏らしたフレイがはたと気付く。
「 ちょっとキラ?今、何て言った?」
「 ふえ?」
間の抜けた声で返事するキラにフレイは詰め寄ってもう一度問う。
「 だーかーら、今何て言ったの?って聞いてるのっ!! 」
「 え、えーっと 『なんでそこでアスランの…』………あっ! 」
キラも漸く気付いたのか、かあっと顔を真っ赤にする。自然に口にしていた彼の名前。
それが何故か凄く恥ずかしくてキラは思わず口に手を当てた。
「 え?ちょっとキラっ?」
「 へえー名前で呼ぶようになったんだー 」
そう言うとフレイがにんまりと笑みを浮かべる。
「 いや、えっと…これは彼が友達なら名前で呼んで欲しいって言われて…それで……その…////// 」
しどろもどろになりながら慌てて言い訳を並べるが言えば言う程、墓穴を掘っているような気がしてきてキラは頬を染めながら黙り込んだ。
「 いいんじゃない、キラが自分から相手の名前を呼ぼうとするなんていい傾向だと思うわ 」
「 そうよ、彼喜んでるんでしょ?」
そう言われて思い浮かべたのは今朝の彼の微笑み。
「 …………うん///// 」
恥じらいながらも嬉しそうに微笑むキラは同性のフレイたちから見ても見惚れるくらい綺麗だった。
そして、まだ恋を知らないキラの初々しい反応に緩む頬を抑える事の出来ない二人とキラの雑談は授業開始の電子音が鳴り響くまで続くのだった。
◆あとがき◆
はい。ラブ・シンフォニー14話お届けです。
今回、本当は物語を動かそうかと思っていたのですがやはりキラが変わったらこの二人が黙っていないだろうと思いまして
急遽、三人娘の座談会になりましたvvv
フレイさん、目敏くキラの『アスラン』に気付きました。初々しい恋って傍から見てて微笑ましいですよねー★
まだ、キラは恋までいってませんが、キラにもそれらしい気配はあります。頑張れっアスランっっ!!(酷)