ラブ・シンフォニー 第7話
あの日から数日、キラは前以上に男性を避けるようになっていた。
それは傍から見れば異常とも言える程で、心配した両親や友人が何か合ったのかと理由を聞き出そうとしても
『なんでもないよ』と淡い笑顔で返されてしまい、皆それ以上聞く事が出来ずにいた。
「 キラ 」
授業の合間の休み時間。自分の席に座ったままぼんやりとキラは外を眺めていた。
ふいにかけられた声にゆっくりと視線を向けるとそこにはキラと仲の良い友人が二人立っていた。
「 ミリィ、フレイ 」
「 ねぇ、キラ今日暇?」
「 え?」
驚いて思わず声を上げるキラにミリアリアがにっこりと微笑む。
「 フレイがね、素敵なカフェを見つけたらしいんだけど一緒に行かない?」
ミリアリアとフレイは確かに学校の中では仲の良い友人だった。
でも、それはあくまでも学校の中の話であって今まで放課後に一緒にどこかへ何てことは一度もなかった。
それなのに何故彼女達は突然自分を誘ったりしてくれるのだろう…
それは考えなくても直ぐに予測はついた。つまり、彼女達は自分に―
( 気を使ってくれている… )
ここ数日、目に見えて元気の無いキラ。それはキラ自身にも自覚しているもので周囲に心配をかけたくなくて
平静を装うと努力はしているのだが上手くいかない。
そんな自分に友達想いの優しい彼女達が元気付けようとしてくれているのだと、キラは思った。
「 キラ?ひょっとして何か用事がある?」
黙り込んでいるキラに不安そうに覗き込むミリアリア。
「 えっ、いや、そう言う訳ではないよっ……でも、、、 」
キラは、はっと我に返りブンブンと顔と手を振る。―と、突然その手をがしっと掴まれた。
「 うわぁっ! 」
驚いて手を掴んだ主を見上げると今までキラとミリアリアのやり取りを静かにみていたもう一人の友人、フレイだった。
「 フレイ、何?」
「 何?じゃないわよっっさっきから黙って見てればあんたって子は!!」
「 ちょっとフレイっ 」
「 あたし達はキラと出掛けたいのっキラは嫌なの?迷惑?」
「 そ、そんな事っ 」
そんな事ある訳が無い。自分を心配してくれてる友人の誘いを嬉しく思わない訳が無い。
でも、自分と出掛けてもきっと楽しくない。こんな自分が一緒いいたらもしかしたら迷惑がかかってしまうかもしれない。
そう思うとどうしても素直に頷くことが出来ず二の足を踏んでしまう。
「 じゃあ、OKなのねっ 」
「 えっ?!」
今まで凄んできたフレイがぱっと明るい表情に変わり、『決まりっ』とばかりに手をパンっと叩く。
「 じゃあ放課後、約束だからね 」
「 あ、あのっ… 」
― キンコーン
キラがフレイに何か言おうとした時、キラの声を遮るように授業再開の電子音が響き渡った。
席を離れていた生徒達が慌てて自分の席に戻っていく。
それはミリアリアやフレイも同様で。キラは結局、断りきる事が出来なかった。
◆あとがき◆
はい。ラブ・シンフォニー7話をお届けです。
今回はアスラン出番なしです。今回もキラは余り話していないですが…(汗)
お友達のミリィとフレイが出張りまくりの回になってしまいました!!次は三人でお出掛けですっ
キラみたいに一人で抱え込む子には味方になってくれる友達は必要不可欠だと思うのです。