ラブ・シンフォニー 第4話
「 え?」
『俺と付き合ってくれない?キラ 』唐突に告げられたアスランの告白にキラの頭は真っ白になる。
何故?どうして?どうすればそんな事になるのだろう?もはやキラはパニック状態である。
出会って、再会して…まだ、彼と自分はそれだけだ。しかも、出会いなんて最悪でどう考えても好意を抱くものではなかった筈だ。
容姿だって一目惚れされる程のものではない。少なくともキラはそう思っていた。
「 キラ、返事聞かせて欲しいんだけど 」
ぐるぐる考え込むキラに痺れを切らしたアスランが返答を求めてくる。
「 えっ、あの…その… 」
おずおずと顔を上げてみればアスランがじっとキラを見つめていた。
ひーっと心で悲鳴をあげて顔を赤くして再び俯く。
確かに、アスランには今までの男性に持つ感情と違う感じがしていた。
今まで怖い対象でしかなかった男性に対してキラは興味を示さなかった。
今回みたいな不慮の事故があった時でも罪悪感は抱いてもまた会ってみたいと思った事はなく、アスランが始めてだった。
でも、男性に対する恐怖心が消えている訳でもないので付き合ってくれと言われてもキラの現状では無理なのだ。
「 …でも…まだ…会ったばかり…だし… 」
上擦って上手く喋れない口を必死に動かして懸命に言葉を紡ぐ。
「 それに…僕は… 」
殆ど初対面な人に何を自分は話そうとしているんだろう…キラはふとそう思った。
普通であればキラも恋愛していても可笑しくない年頃だ。でも、それは今のキラには見る事の出来ない夢みたいなもの。
だから、初めて嫌悪感だけじゃない感情を受けたアスランにはしっかりと理由を伝えて断らなければいけないと思ってしまう。
「 …僕は… 」
「 男が嫌い…いや、怖いんだろ?」
「 え?なんで…?」
キラは驚いてぱっと顔を上げる。そこにあったアスランの顔はひどく優しいものだった。
「 最初の時の反応と今、一緒にいて何となくそうじゃないかな…と 」
『やっぱりそうだったんだ』と言われて、キラはしまったと視線をアスランから逸らす。
でも、結果的にはキラが言おうとしてくれた事が彼に伝わった訳で結果オーライなのだがキラの頭にそこまで考える余力は残っていなかった。
「 …じゃあ、分かってるんじゃない?僕があなたと付き合う事が無理… 」
「 三ヶ月 」
「 へ?」
キラの言葉を遮るように言われた言葉にキラは間の抜けた声を上げる。
「 三ヶ月、俺に付き合ってくれない?」
「 それってどういう… 」
「 明日から三ヶ月、俺とキラは友達として付き合う。三ヶ月って期限つきだから極力空いた時間は一緒に行動する事。
それで、三ヶ月たっても俺に対してキラが怖いって思うならそこでさよならする 」
淡々と話すアスランに唖然とするキラ。
なんか無茶苦茶だ。なんでそんなことに自分が付き合わなくてはいけないんだろう?
「 キラ、さっき言ったよね?俺たちはまだ会ったばかりだって。
会ったばかりでお互いの事を何も知らないのに『ごめんなさい』なんて俺は納得できないから 」
開いた口が塞がらないとはこう言うことを言うのだろう。キラは今身をもって実感した。
「 で、でも… 」
「 あ、キラに拒否権はないから 」
「 な、何でっ?」
さらっと言われた言葉に流石にキラも抗議の声を上げる。
「 初対面で投げ飛ばしてくれた事のお詫び。だろ?」
「 !! 」
にっこりと微笑まれた笑顔がキラには悪魔に見えた。
もはやぐうの音もでなくなったキラに満足したアスランが更に凶悪な綺麗な微笑みをキラに向けた。
「 取り合えず三ヶ月間よろしくな、キラ 」
既にキラにできる事は諦めて従う事しか残っておらず。溜息と共に肩を落とすしかないのだった。
◆あとがき◆
はい。久しぶりの更新です。ラブ・シンフォニー第4話をお届けします。
何とか無事(?)にアスランとキラの契約成立です。キラが何かなし崩しに流された感はありますが、はるか的にキラはこんな子です。
優しすぎるから断りきれないんですよね。それに少なからずアスランにも好意的なものを感じているので
余計なのかもしれない。何気にアスランさんは必死にキラを捕まえようとしています。
形振り構っていません、彼自身何故自分がこんなに必死になっているのか分かっていないと思います。
これからゆっくり恋を育んでいって欲しいものですvvv