ラブ・シンフォニー  第3話






学園から離れてから暫く、沈黙のまま二人は歩いていた。
アスランが前を先導するように歩きその数歩後をキラが付いて行くという形で。


「 あの、さ 」


最初に沈黙を破ったのはアスランだった。歩みは止めずにキラに向かい話しかけてくる。

「 俺だけが君の名前を知っているのもフェアじゃないから何か今更な感じだけど自己紹介 」

ぴた、と足を止めてキラに向き直る。それと同時にキラも歩みを止める。

「 俺はアスラン・ザラ。Z高の一年だ 」

「 あっ、えっと…僕はキラ・ヤマトです… 」

思わず反射的に自分の名前を名乗りぺこりと頭を下げる。
キラの反応にアスランはくすくす笑い声を漏らす。

 「 知ってるよ 」
 「 あ… 」

そう言えばそうだったと思い俯くキラ。
アスランは終始楽しげな様子なのだがキラはもういっぱい、いっぱいだった。
正直、今のこの距離が限界だった。これ以上近くにこられてしまったら…前回のにのまいである。
そんな事を考えているキラにアスランとの会話が上手く出来る筈もない。

 「 キラって呼んでもいいかな?」

ふいに声をかけられた事にびくりと身体を揺らす。
アスランの問いに少し躊躇ったが、キラはゆっくりと頷いた。
取りあえず早く、話を終わらせてこの状況から開放されたい。これが今のキラの最優先事項だった。

 「 じゃあ、キラ。この前の事なんだけー 」
 「 ごめんなさいっっ!! 」

「ど」、と言う前にキラの声が遮る。

 「 なんで誤るの?」
 「 だって…あの時の事は…貴方にはどこにも非はないです… 」

小さくぽつり、ぽつりとキラは話す。自分の思っていた謝罪の気持ちを。

 「 …僕が前をしっかり見ていなくてぶつかって…親切に手を貸してくれようとした貴方を僕は… 」

そこまで言ってキラは黙り込む。そして小さくもう一度謝罪の言葉を紡いだ。


 「 じゃあ、許す代わりに俺のお願い聞いてくれない?」
 「 え?」

驚いて、思わず俯いていた顔を上げる。
そこにあったのはにっこり微笑むアスランの凶悪なまでに綺麗な顔があった。

 「 大丈夫。簡単な事だから 」


アスランが一歩キラとの距離を縮める。






 「 俺と付き合ってくれない?キラ 」







                                         



  ◆あとがき◆
はい。ラブ・シンフォニー第3話をお届け致しました。ってか短っっ!!次はもう少し長めに書こうと思います。。。
アスランはぶっちゃけキラに一目惚れだったんですよ。見た目を好きになった訳ではないのですが。
今までアスランに近づいてくる人はアスラン内面よりも外面を見て接してくる人達ばかりだったので
キラに初対面で投げ飛ばされてこうビビッときちゃった訳です(笑)
けれどもキラさんも一筋縄ではいきません。なんせ男嫌いですからっ
男性に良い印象がまったくと言って良いほどありません。寧ろ恐怖の対象でしかありません。
アスランにはこれから頑張って貰います。それはもういろいろと…