「…アスラン」
キラがそっと瞼を開くとその先には良く見慣れた顔があった。
年齢はキラと同じ位、しかしその身に纏う雰囲気はどこか大人びて見せていた。
漆黒に近い青い髪、翡翠を思わせる切れ長の瞳、それぞれのパーツを綺麗に配置された整った顔。
アスランと呼ばれたその少年騎士は一つ大きく息を吐くと少し眉を寄せて真剣な顔でキラを見つめる。
「…まったく…貴女ってお方はお怪我でもされたらどうするおつもりですか!!」
キラを抱えた状態で説教を始めたアスランに初めは呆然としていたキラだったがはっと我に返りバタバタと暴れだす。
アスランは小さく溜息を漏らすと腕の中のキラをそっと地上に降ろす。
「遠征先から帰って来てみれば城内がこの騒ぎで驚きましたよ」
先程よりも些か表情緩めて優しげにアスランはキラに話しかける。
しかし、キラはアスランと視線を合わせる事をせず顔を背ける。その顔は不機嫌極まりない顔になっていた。
「…キラ様?」
CHOCOLA ACT.2
「………。」
ムスッとして俯くキラにアスランは地面に片膝をつきその顔を見上げる。
「どうかされましたか?」
優しく声をかけて見つめてくるアスランに根負けしたようで諦めたように言葉を紡ぎだす。
「…呼び捨てにしてって言ってるのに…」
少し頬を赤らめてぽそっと声を漏らすキラの様子は可愛らしくて思わず抱きしめてしまいたくなる。
でも今のアスランとキラの立場には大きな差があり流石にそれは出来はしないけれど。
アスランはクスリと小さく笑いキラの頭にぽんっと手を置く。
「…ごめんな、キラ」
先程とは全く違う声色で囁き、キラを見つめる。
「二人だけの時は普通に話すって言う約束だったもんな」
「…アスラン…」
いつもの話し方に変わったアスランにぱあっと笑顔に戻るキラにアスランがぷっと吹き出す。
「何も笑わなくたって…」
「ごめん、ごめん。只、可愛いなと思って」
目を細めて優しい眼差しを向けてくるアスラン。キラもぷいっと顔を逸らしながらもちらりと視線をアスランに向ける。
二人の間に柔らかな空気が流れていた。
キラにとってアスランは大切な存在だった。優しくて、頼りになって、そしていつもこうしてキラを助けてくれる。
まあ、多少口煩い事もあるけれどそれもキラを思えばこそなのだ。
元々、キラとアスランは小さな頃からの幼馴染なのだ。一国の姫君と一騎士が幼馴染と言うのは可笑しな話なのだか
事実キラとアスランは幼少の頃は一緒の時を過していた。
そう、キラが13歳の誕生日を迎えるまでは。。。
◆あとがき◆
み、短い…。。。取り合えず『CHOCOLA』第二話です。キラに敬語で話すアスランって良くないですか?
主従関係って好きなんです。今の所、この二人自分の気持ちには気付いていません。
すれ違いまくります(笑)身分の違い故の葛藤とかを上手く書ければ良いのですが。。。
次回は過去編です。キラとアスランに何があったのかーって大体、皆さんの予想どおりです。そんな捻った事はできません(笑)