★キミとボクと約束のカケラ★ 第2回










「アスランさーんっっ」
「ルナマリア、メイリン。」
「今日はもう上がりなんですか?」

声をかけて来たまだ幼さが残るツインテールの少女が嬉しそうに声をかける。

「いや、これから行かなくてはいけない所があるんだ」
「あっそれってもしかしてキラ・ヤマト?」

先ほどの少女より少し大人びた感じのショートヘアーの少女が興味津々に聞く。
アスランは少し苦笑を浮かべて頷く。

「ああ、親父がどうしても彼女を使いたいらしくて…」
「それで、アスランさんが?」
「一応、共演予定だし……」
「大変ですね」



少女達と別れたアスランは噂のモデル、キラ・ヤマトに交渉するべく彼女の仕事場に向かっていた。

アスラン・ザラ。彼は誰もが知っているトップモデルだ。容姿端麗、学業優秀、スポーツ万能、
その上、自身が所属するプロダクションを経営しているザラコーポレーションの御曹司という非の打ち所のない人物だ。
普通、そこまで出来すぎてると人から妬まれるがアスランにはそれを言わせない程の実力があった。
誰もが一度一緒に仕事をすれば彼の実力を認めざるをえないのだ。
そんな実力社会で幼い頃から生きてきたアスランにも仕事に対するプライドと自身があった。
しかし、今から会おうとしている相手であるキラ・ヤマトはどこの事務所にも所属せずにまるで趣味や道楽でこの仕事を
しているかのように仕事を選んでいる。少なくともアスランはそう思っていた。
ちょっと人気が出ているから、きっと天狗になっているのだろう。
ホントはそんな相手と共演なんてしたくないが、社長である父の指示では従うしかない。いくら息子でも仕事場では社長とモデル。
上からの命令は絶体なのだ。


「ここか」

そこは都内の撮影所だった。本当なら仕事場に直接行くのは失礼になるから避けるのだが彼女の場合、向かうべき事務所がない。
一応、取り仕切っているらしき人物と数人のスタッフらしき人間はいるみたいだが皆、彼女と同じ年のだというのだから
もうふざけているとしか思えない。
自分がプライドを持ってやっている仕事をなんだか汚されている気がして、むかむかする気持ちを何とか鎮めながらアスランは
撮影所の廊下を歩いていった。




比較的小さめな撮影所だったのでアスランは直ぐにキラが撮影を行っている現場を見つける事ができた。

「キラちゃーん。これでラストだから、最高の笑顔頂戴」

カメラを構えている男の視線の先にアスランが目を向けるとそこには溢れんばかりの笑顔を浮かべている少女が立っていた。


アスランは目を瞠って言葉を失う。
この業界の長いアスランはそれこそ可愛らしい人などは見慣れている。それなのに………
迂闊にも、見惚れてしまったのだ。









「OK。お疲れー」

カメラマンの合図で少女は緊張が解けたようにほっと表情を戻す。そこでふと自分に向けられる視線に気づき目を遣ると
そこには綺麗な少年が立っていた。

(綺麗な人…モデルさんかな…?)

呆然と立ち尽くしている少年にキラが見入っているとカメラマンも少年の存在に気がつく。

「あれ?アスランさんじゃないですか!」
「え?」

急に声をかけられ我に戻ると驚いたように視線を向ける。
そう言えばこのカメラマンには何度か撮ってもらった事があったな、と思い出し軽く会釈する。

「今日はどうしたんですか?」
「父の仕事の使いで、彼女に会いに」

そう言ってアスランはキラに視線を向けた。ばちっと目が合ってしまって反射的にキラは目を逸らす。

(な、何?)

思わず目を逸らしてしまったキラが次に目を上げるといつ間にか近寄ってきてたのか彼はキラの直ぐ目の前に立っていた。


「え?」
「初めまして、キラ・ヤマトさん。ザラ・コーポレーションから来ました、アスラン・ザラです」





                                     




    ■あとがき■
はい。余り間も空かずにお届けする事が出来ました。『キミとボクと約束のカケラ』第二話です。
今回はアスランさん登場の会です。アスランも予想通りモデルさんです。そしてアスラン側にはルナマリアとメイリン。。。
今回はいつも一緒にいそうな種運命組をキラ側とアスラン側に分けて見ました。ので少し新鮮。
でも、アスラン、ルナ、メイリンはそうでもないか(笑)今回はキラ組のシンとかが出せなかったので残念でしたが次回は
アスランとキラ、シンとアスランとかいろいろ絡む予定です。