★キミとボクと約束のカケラ★ 第1回
「はーい、OKでーす。お疲れ様でしたー」
一人のスタッフの声と共に時を止めているかのように静まり返っていた撮影所が再び時を刻み始めた。
皆、それぞれの仕事の残りやセットの片付け等々、、、慌しく走り回っている。
「お疲れ様、キラ」
そう言ってセットの中心にいたキラにタオルとスポーツドリンクを渡したのはキラの付き人のシン・アスカ。
「ありがとう、シン」
にっこりと微笑んで渡されたタオルとスポーツドリンクを受け取る。
「今日の仕事はこれでラストだってさ」
「ホント?じゃあ今日はもう帰れるんだね?」
心底嬉しそうな顔をするキラ。
ここ最近は忙しかったもんな、とポンと頭に手を置いてキラの滑らか亜麻色の髪をくしゃくしゃと乱暴に撫でる。
「あーーー!!折角セットしてあるからこのまま帰ろうと思ってたのにー!!」
「そういう事は早めに言ってくれよな」
「言う暇なんてなかったじゃないっ」
「そうだっけか?」
「もう、またそうやって誤魔化してっ」
まるで友達同士のじゃれあいの様な二人のやり取りをする二人。普通に見ればただの友達か恋人同士。しかし、二人の関係は違う。
それは ―
キラ・ヤマト。
突如現れて今、注目を浴びている人気モデル。偶然雑誌に載ってしまった写真は口コミであっと言う間に広まってしまい、
あれよ、あれよ、という間にトントン拍子に事が運んでしまい今現在に至っている。
しかし、キラはアマチュアみたいなもので何処かの事務所に所属している訳ではなかった。
今も何社からも勧誘され続けているけどキラは断り続けていた。キラ的には自分みたいなぱっと出の一発屋みたいなのが
偶然運良く人気が出たからって、プロなんかになったら真剣にそれを目指している人に失礼になると思ったからだ。
勿論、だからといって仕事をいい加減にしている訳でもなく、一度請けたらきっちりと仕事はこなしていた。
でも、ここまで人気が出てしまうと流石にキラ一人でどうにかするのにも限界があった。
そこで、快く協力してくれたのがキラの仕事の一切を取り仕切っているラクスとマネージャー業をやってくれているレイ、そして付き人のシンだった。
キラとラクスそしてシンは幼馴染でレイはシンのクラスに転校してきた転校生だったのだが、気が合いそうにもないシンとレイが
どういう訳か親しくなりシン経由でラクスとキラもレイと仲良くなった。
今回の事も話したら協力を申し出てくれて、今ではレイはキラにとって頼りになる友人の一人だ。
「ラクスさんとレイからの伝言」
撮影を終え、控え室に戻ったキラは私服に着替えて帰り支度をしていた。そこに、ノックしながらシンが入ってきた。
仮にも、女の子の控え室なのだからもう少し慎重になるべきだと傍から見たら思うのだが、
腐れ縁が無駄に長過ぎたふたりが全く気にしていないので敢えて注意するのもどうか?と言う事になってしまっていて結局そのままになっていた。
「んー?」
「ザラコーポレーションからまたオファーがあったって」
「えっ、また?」
「どうしてもイメージ的にキラしか考えられないんだってさ」
「何度も断ってるのにー」
困った顔で深く溜息を吐くキラ。彼女の様子を見てシンはずっと思っていた事を口にした。
「でもさー何でそんなに頑なに拒否してるんだ?」
「え?」
帰り支度をしていたキラの手がぴたりと止まる。
「だってそんな悪い話じゃないじゃん、いつものキラならここまで熱心にされたら折れるのに」
「それは……」
「なんか理由でもあんの?」
シンの真紅の瞳がキラの菫色の瞳をじっと見つめる。その真剣さに思わず口にしてしまいそうになった言葉を寸前のところで飲み込んだ。
「な、何にもないよっ!ただ、僕にだって嫌な事のひとつやふたつはあるよ」
「ふーん。そんなもん?」
「そんなもんだよっ」
今いち納得いかないような複雑な表情を浮かべながらもキラに話を強制終了されてしまってはこれ以上追求しても答えてくれる筈もなく
諦めて納得するしかなかった。
■あとがき■
はい。お礼小説の新作はモデルモノです。てか、普段流行についていけてない私が何を書いてるんだろうと
今更ながら我に返ってみたり…。でも一度はかいて見たかった芸能系。いろいろ嘘っぱちな設定とか言葉とか出てくるかもしれませんが
細かなことは気にせずスルーしてくださいね(何気に切実)
さて、第一回目はアスランのアスの字も出てきてませんがこの話はしっかりアスキラです。てか、それしか書きません(笑)
一見、シンキラに見えなくもないですが二人に恋情はありませんので。そして、凄いのがキラ、シン、ラクス、レイという何とも奇妙な
組み合わせ。自分で書いてていいのか?となんども自問自答を繰り広げましたよ…因みにこの四人同じ歳です。
それでもシンは『ラクスさん』なのです。上下関係がしっかり出てます(大笑)