逢いにおいでよH
「二人とも何してるんだろう?」
少し野暮用があるからとキラの部屋からアスランとイザークが退室してもう二十分近く経つ。
すぐに戻るからと優しく笑いながら言ってくれたアスラン。去り際にぽんと頭を軽く小突いてきたイザーク。
少しの間しか三人でって事はなかったけど何かにつけて衝突していた二人。
また、喧嘩なんかしてなきゃいいけど。と少し心配するも、もうそこまで子供でもないかと考え直す。
「久しぶりで話したいことも沢山あるのかな?ただ、僕の体調に気を使って余り話せなかったんだよ、うん。」
天然もここまでくると才能なのかもしれない。
完全に美化され過ぎた幼馴染達は実際は自分自身を巡って目下、臨戦態勢の真っ只中だったりするのに。。。
暫くすると、アスランとイザークが再びキラの部屋に戻ってきた。
先程部屋から出て行く前と微妙に二人の雰囲気が違うように感じたが、キラは敢えて言わなかった。
それは二人がきっと久しぶりに話した事によっての事だと思ったからだ。
実際に二人は十分(?)話した。キラが考えているようなフレンドリーな感じでは決してないけれども。
「キラ、起きてて大丈夫なのか?」
「うん。もう大丈夫だよ、心配かけてごめんね?」
本当はまだ少しぼうっとするけれど、二人にこれ以上心配をかけたくはなかったのでキラはイザークに大丈夫だよと微笑み返す。
「でもまだ顔が赤いぞ、キラ」
「わっ」
ぐいっと急にイザークとの間に割って入ってきたアスランに体ごと引き寄せられた。
突然の事ですぐ反応出来ずにそのままされるがままになってしまう。
驚いてぎゅっと目を閉じると、額に少しひんやりとした掌が当てがわられた。
「ほら、まだ熱いじゃないか」
「へ、平気だよ。この位…」
「キラの大丈夫程当てにならないものはないからなー」
「ひどっ!!そんな事ー」
「ないって言えるのか?」
呆れたようにアスランに見つめられてキラはうっと言葉に詰まる。
思い当たる節はあり過ぎるくらいあったからだ。
大丈夫だと言って無理をして迷惑をかけた事は数え切れないくらいある。それはもう小さな頃から。
だから、アスランだけではなくイザークにだって迷惑掛けっ放しだ。
「………い…えない…です……」
素直に自分の非を認めてしゅんと頭をさげる。
「わかったなら少し寝ろっ」
「イザーク…」
「大丈夫だから、キラ。ずっと傍にいる」
「…アスラン…」
二人に促されてキラは渋々ベットに潜り込む。
イザークはキラの頭を優しくポンポンっと叩いて彼にしては珍しく微笑を浮かべる。
そして、アスランはキラの手をきゅっと握ると彼もまた普段は誰にも見せない優しい微笑みをキラに向けた。
「……う…ん……」
二人の温もりに安心したのかキラは程なくして眠りの世界に入っていった。
規則正しい寝息をたてながら、安心したように眠るキラの顔を二人は飽きる事無く再びその瞼が開くまで見続けていた。
◆あとがき◆
はい。お久しぶりに更新の『逢いにおいでよH』をお届けです。元々時間が限られているのにいろんな話に手を出しすぎて
手が回りきらなくなっている今日この頃…。今回は……今回も、少し短めですがここでキリが良いのでここで切ります。
何だか長い期間で書き過ぎて何が書きたいのか…話が収拾付かなくなってます(汗)
ので、次で終わらせますっいつもの終わればいいなーではなく終わらせますっっ必ず!!!