逢いにおいでよF
絡まるお互いの視線、握り合う手と手から伝わってくる相手の体温。
今の二人に言葉は必要なかった。
翡翠の瞳がゆっくりと近づいてくる、キラはそれが見えなくなるのは勿体無いな。とぼんやり思いながら
菫色の大きな瞳をその瞼でゆっくりと隠していった。
二人の距離が重なるまであと少し― ……
― バンッ! ―
突然、ドアが激しい音共に開かれた。
「キラっっ喜べ!!この俺が見舞いに来てやったぞっ」
突如現れたもう一人の幼馴染にキラもアスランも硬直してまう。
そんな二人の様子を気にする様子もなくズカズカと室内に入ってくると消されていた照明を点けた。
薄暗かった部屋に光が入り室内が照らし出される。
すると夢から現実に引き戻された様にはっとキラは我に返る。
そしてさっきまでの自分とアスランの状況を思い出すとぼっと顔を真っ赤に染めて両手で自分の頬を覆った。
(ぼ、僕ったら…一体何を……)
いくら熱に浮かされていたとはいえ、アスランと何をしようとしていたんだろう?
恥ずかしさで顔に熱が集中しているのが自分でも分かる。きっと今の自分はトンでもない顔になっている。
そんな顔を見られたくなくて顔を完全に手で隠してベットに突っ伏した。
「キラ?」
「な、なんでもない」
「なんでもないなら、俺が見舞ってやってるんだからもう少し嬉しそうにしろっっ」
「う、うん…」
突っ伏していた顔を僅かに横に向けてイザークへ視線を向ける。
「心配してくれてありがとうイザーク。でも、突然でちょっとびっくりしちゃった」
まだ顔は赤いままだがキラはにっこりと笑顔を浮かべた。
それを見たイザークも満足そうに笑みを浮かべる。
「………ジュール先輩………」
「なんだ?後輩」
ずっと黙っていたアスランは漸く口を開く。
わざとらしく先輩と呼んだアスランにイザークは同じく後輩と返す。アスランは顔は笑っているが声が完全に笑っていなかった。
もしこの現場に他の第三者がいようものなら瞬時に氷つかせていたかもしれない。
このアスランに怯みもせずに対等に対峙できるのはイザークくらいなもので。
そして、そこにいられるのはそんな空気に全く気づかないキラのみなのだろう。
「……ちょっとお話があるんですがいいですか?」
「ああ、構わないぞ。でも手短にしろよ」
◆あとがき◆
はい。『逢いにおいでよF』をお届けします。そして短くて申し訳ないです(汗)
最近はもう開き直ってしまっています。のでもう次終わるとかは迂闊には言いません(笑)
今回はアスキラ、ラブラブモードに突入?と思いきや直ぐに邪魔が入ると言うお約束な展開です。
次はアスランとイザークの対立?みたいな感じの話です(どんな話だ)