歴史的望遠鏡紹介のページ
日本で使われた3台のCooke, Troughton & Simms系望遠鏡
日本の近代的望遠鏡第一号と言えるのが国立科学博物館に展示してあるトロートン20cm天体望遠鏡である。
この望遠鏡を作ったトロートン&シムス社と英国の望遠鏡・科学機器製造会社のクック社、グラッブ社は20世紀前半、買収・合併を繰り返した。
海洋気象台で使われ、今は神戸市青少年科学館で使われているクック製25cm屈折望遠鏡と京都大学花山天文台で使われたクック製30cm屈折望遠鏡、
この3台は兄弟望遠鏡である。調べたことをPDFファイルにまとめた。
下記リンクを開きPDFファイルを読むことができます。(2008年2月記)
3台のCooke,Troughton&Simms系望遠鏡(PDFファイル 440kB)
COOKE , TROUGHTON & SIMMS , GRABB PARSONS 三社の社歴
1826 ロンドンのEdward Troughton、William Simms と共に Troughton & Simms of London 設立
1916 Troughton & Simms, Ltd.
1922-1963 York の Cooke 社と合併により社名変更 Cooke, Troughton & Simms Ltd.
1938 望遠鏡事業はSir Howard Grubb, Parsons and Co. Ltd.に買収される
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1837 ヨークのThomas Cooke 科学機器会社設立
1855 Bishophill, Yorkに自社工場を建てる
1868 Thomas Cooke死去。彼の息子たちが事業を引き継ぐ
1910-1912 スコット隊はT. Cook & Sons製の測量機(セオドライト)6台を持って南極探検へ行く
1915 Vickers Ltd., がCookeの管理権を獲得する
1922 ロンドンのTroughton & Simms Ltd と合併して新会社Cooke, Troughton & Simms Ltd を始める
1924 Vickersの子会社となる
1939 Haxby Roadに大工場建設。
第二次大戦中3300人(そのうち1400人は女性)が光学兵器製造に働いていた
戦後は顕微鏡、測量、計測機器が主となる
1963 Vickersグループの一会社 Charlos Baker Ltd に買収される。
1980年代、従来の機器に電子技術が取り入れられる。半導体産業用機器の生産に参加
1989 Vickersより米国 カリフォルニアのBio-Rad Micromeasurements Inc. に売却され英国事業所になる
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1864 アイルランドのThomas Grubbは彼の息子と望遠鏡製造会社Grubb Telescope Company設立
1925 Parsons に買収され社名変更 Grubb Parsons (Sir Howard Grubb, Parsons and Co. Ltd)
1938 Cooke,Troughton&Simms社の望遠鏡事業を買い取る
1960 岡山天体物理観測所に74インチ反射望遠鏡設置。この望遠鏡の赤道儀タイプは別名トロートン型とよばれる。
1978 多額の開発費の割に利益が少なく赤字が続いたため光学部門閉鎖。
1985 活動終了
最後の作品はLa Palma天文台 420cmハーシェル望遠鏡。1983年組み立て開始、1987年完成、ファーストライト。
現在の英国に残るこれらの直系の会社は望遠鏡事業から撤退している。
昭和3年(1928年)兵庫県明石市を通る東経135度の子午線を決定するのに使われたドイツ製子午儀について個人的にまとめたレポート。
日独にある数少ない資料の丸写し的レポートであり、天文測量や語学は専門外なのであまり深く記述できていません。
興味のある方は下記リンクを開きPDFファイルを読むことができます。(2005年7月記)
初版発表後わかったことを追記。
Upload second edition, Jul.2005 - Nov.2005
Upload third edition, Nov.2005 - Jan.2006
Upload forth edition, Feb.2006 - Jun.2021
Upload fifth edition, Jul.2021 -
京都市にある花山天文台設立時より使われているドイツのザルトリウス製望遠鏡について知り得た事をまとめた。
京都大学では「ザートリウス望遠鏡」と呼ばれている。望遠鏡物語第二作。
下記リンクを開きPDFファイルを読むことができます。(2005年11月−2013年2月記)
Upload first edition, Nov.2005 - May 2007
Upload second edition, May 2007 - Oct.2007
Upload second+ edition, Oct.2007 -Feb.2013
Upload third edition, Feb.2013 -
花山天文台本館廊下に掲げてある1941年11月火星食。
当時の主力機クック30cm屈折望遠鏡で藤波重次氏撮影。
氏の著書「小型カメラによる天体写真」(共立出版 昭和39年初版)で天体写真の写し方、現像法を学んだので氏のサイン入り写真を見つけて感激する。
旧子午線館
バックの本館ドームの南に建てられてあり、子午線上にまっすぐ植え込みが作ってある。
古い天文台には時計の校正目的で子午線観測望遠鏡があった。電信の発達、時計の発達後の天文台にはない建物。
現在は歴史館として昭和4年使用開始の建物と共に保存されている。
先に発表したドイツ ザルトリウス製望遠鏡の調査が縁で、デジタル修復された1910年版 F.Sartorius社測量機カタログ復元版を入手した。
100年前のドイツ語で書かれた印刷物より内容を簡単に紹介。
特筆する点: Sartorius社の天文・測量機器はドイツにあったLudwing Tesdorph社の製品が元になっていたことがわかった。
下記リンクをクリックすることでPDFファイルのレポートを別ウインドウで開くことができます。
German precision instrument maker “F. Sartorius” published a catalogue in 1910.
This catalogue shows surveying instruments, binoculars and drafting compass.
F.Sartorius社1910年測量機カタログ紹介 (PDF file 483kB)
古い測量機、製図道具の研究資料として価値があると思う。
このカタログより水準儀を1ページ、製図用コンパスを3ページ下記リンクに別掲載。
カタログ資料 (PDF file 587kB)
2008年12月 記