星空を写すための PENTAX と EOS用 レンズを中心とした私評ページ。
準点光源で作る平行光線による無慈悲なれど公平なレンズ収差の観察。
注意:この資料は個人所有1本のレンズを使った感想です。
メーカー新品保証の付かない中古購入のレンズもあり、同銘柄全ての性能を評価するものではありません。
デジタル一眼(D-SLR)にフィルム用交換レンズを使った場合の星像の写り方を調べるために始めたテスト。
星像のテストを主にしており、前後のボケ具合、歪曲に関する評価は省略。
等しい条件でテストをするために口径7.6cm ED屈折望遠鏡(機材ページ参照)で作った人工星を撮影している。
これは望遠鏡焦点位置に白色発光ダイオード(LED)を光源にしたピンホールを置き、対物レンズ前で各レンズを付けたD-SLRで撮影。
レンズ開放と一段、二段絞っての撮影をそれぞれ画面中央と画面四隅のうちファインダーで見て右上隅の計6種類を撮影。
露光は絞った時に少し絞りによる回折が写る程度の露光に設定。
白色LEDには青い光が多く含まれている。(恒星スペクトル型で言えばA型相当?)ただし近紫外線が出ていないので青にじみの観察は不十分。
各レンズ評ごとに人工星での撮影画像のリンクを入れてある。
この画像は縮小表示すると収差の写りがわからなくなるので切り貼りした画像をピクセル等倍で表示している。
フィルム時代に設計されたレンズをDSLRに使うとイラジュレーションの違いでフィルムでは評価の高かったレンズも星像を見るとアラが出ているのがある。 ピンホール像は微小ながら面積のある円盤像だが、軽望遠までなら点光源とみなすことができる。
コリメート像と実写星像との比較
数少ないAPS-Cデジタル一眼用単焦点広角レンズ。
薄型・軽量を優先したため量販ズームレンズと変わらない明るさが不満。F2.8の明るさがほしい。
開放付近では周辺部でコマ収差が認められる。周辺に明るい恒星が写ると倍率色収差が少し見られるが満足できる星像が写る。
量販ズームレンズより高価。このレンズより像の良いF2.8クラスの高級ズームレンズは存在すると思うけど、
量販ズームレンズと比べた場合、質感の良い鏡筒。一般撮影で使いやすいフード。MF専用レンズ並みに使いやすいヘリコイドの動きに金額相応の作りの良さが味わえる。
APS-Cサイズ用のため35mmフルサイズのフィルム一眼に取り付けるとΦ34mmの円形視野になるが周辺まできれいに写る。 絞り制御はボディ側でするが、絞り制御のできない旧式メカニカルKマウント機しか所有していないので常に最小絞りF22での撮影になる。 付属のフードをはずしたほうがケラレが少なくなる。注:35mmフルサイズでの使用はメーカー保障外。(2008年9月 記)
絞り枚数=7枚、フィルター径49mm
2012年発売、デジタル一眼用。35mmフルサイズ用をAPS-Cで使っているので隅まで良い像が得られている。
AFの高速化、静音化をPRしているが星野撮影では手ぶれ補正もオートフォーカスも使っていない。
絞り枚数=7枚、フィルター径58mm
1992年頃 非球面レンズを安く作る新技術で大口径で安価な28mm広角レンズがシグマから発売される。天文誌のテストレポートで星の写りが良いことを知り関心を持った。
1997年頃マイナーチェンジされた。この第二世代の28mmF1.8を購入。カメラ店に注文してから入荷まで1ヶ月かかった。
フィルムの星像をルーペで見ると、焦点距離が短いためもあるが標準レンズより中央部の星像はシャープ。F2.8で星野撮影に使える。 35mmフルサイズで使用の場合F2.8では周辺部でのコマ収差、周辺減光がある。
デジタル一眼で使っても星像のシャープさに驚く。シャープ過ぎて画像を縮小すると微光星が見づらくなる。
周辺部星像に色ずれが見られるがフォトレタッチソフトの色収差補正機能で改善できる。
長時間露出でのノイズが少なくなった最近のAPSデジタル一眼でF4.0に絞って使うと周辺まで十分シャープに写る。
Aポジションがありデジタル一眼でもプログラム露出可能だが撮影データにレンズ焦点距離は記録されない。
絞り枚数=7枚、フィルター径58mm
同等のレンズは2017年現在 販売終了。
星座撮影に適当な画角があり、プリント時に地上光によるかぶりの影響が28mmより少ないので出番の多い焦点距離のレンズである。85mmと共に好きなレンズ。
ほとんどのカメラメーカーからF2.0とF2.8クラスの2種類が発売されてるが、これは自分の財力に合った大衆向けのF2.8交換レンズ。
口径食の影響を減らすため一段絞ってF4.0で使っているが、絞ってもフィルム四隅部に輝星があると三角形に写るので少々がっかり。
しかし輝星を滲ますフィルターをつけると目立たなくなる。
百武彗星撮影時は彗星全景を写すのに活躍してくれた。
絞り枚数=5枚、標準ズームの普及で需要が減り、90年代に入るとカタログから消え、FA35mm F2.0登場まで長らくPENTAXには35mm単焦点が存在しない時があった。
距離目盛4.5mと絞りF8が赤字なのはスナップマークと呼ばれるタクマーレンズからの指標でスナップマークに合わせれば遠距離から近距離までピントが合いスナップに適することを表している。
MFカメラ時代の遺物となっている。
Pマウント・フジカ用交換レンズ。 Pマウントのタクマー35mmにはF2.0とF3.5の二種類あった。
低所得の学生当時、入手可能なのはF3.5だが、星野に使うとなるとF5.6まで絞る必要がある。
露出は約30分必要になり、一夜での撮影数が減ってしまう。
タクマーF3.5に比べて数の少ない中古のフジノンF2.8を見つけたので購入した。
PENTAX SP使用当時、唯一所有する広角レンズだった。'70年代後半は兵庫県篠山付近で絞りF4.0、Tri-X 15分露出の星野ガイドで天の川の撮影をしていた。
後に購入したKマウントのPENTAX-A35mmと比べるとレンズ枚数はこちらが1枚多いがレンズ構成は似ている。
EBCコーティングされる以前の製品。コリメータテストで中心はFUJINONの方が良いが周辺での像の流れはPENTAXの方が少し小さい。
これはフィルムで星野撮影した結果と一致する。
絞り枚数=5枚
残念ながらKマウントでは自動絞りが働かず、FJINONレンズ単体でマニュアル絞りができないためD-SLRでは開放でしか使えない。
単焦点レンズが少ない現在のPENTAX交換レンズで、1999年コストパーフォーマンスの高いペンタックスらしい交換レンズが発売された。
約15年ぶりに更新のため購入した35mmレンズ。
コリメータ像で見る開放像は非球面を使っているにしては良くない。メーカー許容範囲内だろうか?
動作に不都合はないが、絞りリングの動きが安っぽいのが残念。
絞り枚数=6枚
標準ズームが低価格で普及するまで、50mm標準レンズは一眼レフを買ったらついて来るレンズだった。
同焦点でF1.4があり天体写真用として魅力的だが...一絞り絞ったF2.0で四隅までシャープなら迷わず購入するが実際はF2.8まで絞る必要があるうえ、
高価なのでメリットが少ない。(フイルム時代の感想)
コリメータ・テスト星の写りは一絞り絞ると良い像が得られる。
デジタル一眼で星野撮影に使うと無限遠でピントが合い、フィルムで使うより良い星像が得られる。
下の実写例参照。 2008年11月 追記
絞り枚数=6枚、フィルター径49mm
50mm標準レンズを天体用にF1.7を使い、スナップ用にF2.0と分けるため程度の良い中古品を買った。
'94年頃フィルムカメラで短時間のガイド撮影をして星像を調べたら、絞っても周辺部は星が放射方向に流れて写ることがわかった。
天体用に使う目的で買ったのではないが、がっかりした。
Nikon FシリーズのNikkor-auto 50mm F2と同様に標準的なガウスタイプで高性能、普及価格の商品を期待していたが、
買ってから調べたら5群5枚構成の変形ガウス(クセノタール・タイプ?)輸出用低価格セット品として作られていることがわかった。
レンズが1枚少ない分F1.7より軽いが低価格化のため鏡筒は材料を流用していて大きさは同じである。
Mシリーズから存在していたが当時の国内カタログには載っていなかったと思う。所有のはKAマウントなのでデジタル一眼の各露光モードを活用できる。
コリメータテストでは実写星像テストと同様の結果だった。
絞り枚数=6枚
リコー製Kマウント交換レンズ。コンパクトカメラのように一眼レフを使いたい為に購入。
類似仕様の他社用交換レンズとして、ニコン:GN Nikkor 45mm、コンタックス:Tessar 45mm が発売されていたが最も安価で入手できるレンズだった。
Kマウントでテッサータイプのレンズが使える貴重な一本だと思う。レンズ・バックキャップ程度の厚さしかない薄型レンズ。マウント部は金属だが周囲はブラスチックで大変軽い。
Kマウントなのに純正PENTAXとヘリコイドの回転方向が逆。
薄すぎてレンズをカメラからはずしにくい。
ヘリコイドの回転と共にフィルター枠も回転する。この3点が不満。
コリメータテストでは一段絞ると十分良い像が得られた。
絞り枚数=6枚
PENTAX SP 購入時についていた。使い始めて40年以上経過し現役引退しているが不備があるわけではない。所有レンズ中最も星野ガイド撮影に使った回数が多い。
絞り枚数=6枚
コリメータテスト像 / pinhole star images
PENTAX SPU 購入時についていた。
スーパータクマーからマルチコーティング化され、Pマウントでの開放測光対応。ピントリング、絞りリングが変更。
絞り枚数=6枚
Super-Takumar55mmF1.8、SMC TAKUMAR55mmF1.8、SMC PENTAX-M50mmF1.7 と10年余りの間に入手した標準レンズのコリメータ像はどれも似た写りだった。
従来品から機械部が更新され2015年発売
低価格・軽い・使いやすい、お得なレンズだと思う。
マニュアルフォーカスはピントリングの回転をセンサーが検知、ステッピングモーターで鏡筒内側が前後に動く構造のため、
カメラに取り付け電源が入っていないと動かない。カメラの電源を切ると鏡筒は自動的に無限遠付近に戻る。
ライブビューの像が光学ファインダーに比べ遅延があるのと同様にピントリングを回してからピントが変わるのに僅かなずれがある。
下図は最短距離まで繰り出した状態。
コリメート像は5群6枚のレンズ構成として優秀だと思う。
フィルター径はCanonでは珍しい49mm
絞り枚数=7枚(円形絞り)
APS-CサイズのEOSで、2絞り絞って使うなら庶民的なこのレンズで星野写真に使えます。
最短撮影距離の時の繰り出し状態。
Canon EOS 用に中古購入。APS-Cフォーマット、EOSマウントのデジタル一眼用標準マクロレンズ。
開放では周辺減光が見られる。星像はフィルム時代のf=35mmレンズより格段に良い。
ピントリングをマニュアルモードにすると精密なピント合わせがやりやすい。
APS専用だがフィルム時代の85mm F1.8 クラスのレンズ程度の大きさ・重さがある。
このレンズの光学系はペンタックスとトキナーが共同開発。2008年よりCanonとNikon用はトキナーで製造販売。
Pentax用はPentaxがTokinaと異なる外観のを販売している。
しかし2012年秋のトキナー社カタログから消えてしまった。
ニコンから同等性能の安価なマクロが発売されたためと思われる。
トキナー製は生産終了になった。(2016年2月記)
絞り枚数=9枚