楓観察記
~ 出産・入院編 ~
 
         
    入院生活その3 2010年11月  
   
授乳アドバイザーのおばちゃんの他にも、濃いキャラの人たちが次々出てくるので、
入院していた5日間はまったく退屈しなかった。

ナイトナース

スタッフのシフトは3交代制で、朝7時、夕方4時、夜中0時に入れ替わる。
中でもインパクト大だったのが夜中シフトの看護師さん。たぶんイタリア系で
黒目・黒髪のはっきりしたきれいな顔立ちにばっちりメイク。深夜に香水の匂いを
ぷんぷんさせながら現われ、「ハーイ、ナイトナースよ♡」とお色気たっぷりに
挨拶された時は、ここ病院だよね?と思わず確認したくなってしまった。

そんな彼女だが仕事はきちんとしていて、昼間の担当看護師より頼りがいがあった。
出ない母乳をなんとか飲ませようと深夜まで頑張っていた時に、「夜は身体を休める
のが第一、ちゃんと休まないとストレスで出る母乳も出なくなるわよ」と休息を取る
よう促してくれたのも彼女。何かする前には必ず「Are you OK? 」とこちらの意思を
確認してくれる。朝になって交代する前にも必ず様子を見に来てくれて、私が起きて
いるとわかれば「じゃあまた今晩お会いしましょう♡」とにっこり微笑みかけ、
寝ていると思えば邪魔しないようそっとドアを閉めて去って行った。

赤ちゃんへの愛情表現も豊かで、ガイジンには発音しにくい楓の名前もすぐに覚え、
おむつ交換や体温測定で抱き上げるたびに「カエーデ♡ カエーデ♡」と頬ずり
しまくっていた。愛情たっぷりにあやしてくれるのはうれしかったんだけど、たまに
楓のことを「チッチョリーナ♡」と呼ぶので、毎回あのイタリアのお色気政治家の図
が頭に浮かんでしまってちょっと困った。


産後エクササイズ
日本のサイトではよく見かける産後ニッパーやガードル、骨盤ベルト。こちらでは
あまり見かけない。同じ病院で出産した日本人の友達が両親学級で質問したところ、
昔はそういうのを使ったりもしたが、最近はエクササイズで産後の緩んだ骨盤や
筋肉を引き締めるのが主流になっているそうだ。

入院中にこのエクササイズの説明があるというので、どこかに集まってやるのかと
思っていたら、3日目の朝、やけに溌剌とした年齢不詳のインストラクターがやって
きて、30分ほどかけて産後の過ごし方やエクササイズを個人指導してくれた。
曰く、産後6週間までは歩いたり平地で自転車に乗ったりは良いが、重たいものは
持たない、腹筋に負担がかかる動きはしない。それを過ぎたら走ったり泳いだり、
通常の運動はしてよいが、激しい運動は6か月後までしないこと。

ここまで楓を抱っこしながら黙って一緒に説明を聞いていた早番の看護師さんが
「ダンスはしていいの?」と唐突に口を挟んできた。インストラクターが
「そうね、スローなステップならいいけどサンバとか激しいのはダメね」と答えると
「じゃあズンバはどう?」と食い下がる。どうやらこの看護師さん、最近バーゼルに
上陸したズンバにはまってたようで、どうしても一言聞きたくなったらしい。
インストラクターはズンバを知らなかったので「それはどんなダンス?」と聞き返し
たりして、しばらく話進まず。たぶん私が6か月以内にサンバやズンバを踊ることは
ないので、そこは掘り下げなくて結構です・・・。



ズンバのイメージ画像。
今回の登場人物たちの写真はありません。あしからず・・・